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第4話 身体強化と完全包囲

圧倒的文章力不足…っ!!

(う……ぅ……)


 意識が戻り始める感覚


(また、やられた……クソ!)


 2回目だからなのか直ぐに意識がハッキリとした。

 身体を起こし、辺りを見回す。


(見える範囲にドラゴンはいないな……)


 立ち上がると違和感を感じる。


(ん? なんだろう……なんとなく身体が軽い……)


 僅かな違和感、だが自分の身体だからこそ僅かな感覚の違いに直ぐ気がついた。

 その場で軽くジャンプしてみる。

 軽くジャンプしたつもりだった。


「えっ?!」


 凛としては本当に軽く跳んだつもりだった、しかし実際には視界が大きく変わる、体感としてはこれまでの全力の垂直飛びよりずっと高い、自分の視点だから正確には分からないが、1メートル位は飛び上がった様に感じる。


(なんだこれ! 軽く跳んだだけで今凄い跳び上がった……)


 凛は考える、この現象は何故起こったのか、そして思い出す。

 あの2回目の死の瞬間、目の前に映った自分のステータス


(そうだ……ステータス! まさか――)


 そう思い呼び出したステータスを確認すると、そこに映し出されたのは予想通りだが驚く内容だった。


 名前:リン クサカベ

 HP:78

 MP:27

 Lv:5


(やっぱり……さっきより更に上がってる……でも何でだ? デスペナで下がるなら分かる、でも何で上がってる?)


 デスペナルティ、所謂デスペナとは RPGを始めとしたあらゆるゲームに採用されているシステム。

 プレイヤーや仲間が死亡した際になんらかのペナルティが発生するシステムで、所持金が半分になったり、持っていたアイテムが消失するなどのペナルティが発生する。

 そしてデスペナの中には獲得していた経験値が減り場合によってはレベルが下がると言ったものも存在する。


(この世界ではやられても経験値が入るのか……あんな戦闘とも言えない一方的にやられただけの結果だけど、そう考えれば、まぁ理解は出来る……か)


 自分の中でこの現象に完璧とは言えないが、納得出来る点が見つかり、思考を切り替える。


(まぁ、とりあえず移動しよう……マップは――やっぱり特に死んだ地点から動いた様子はないか)


 現在地を確認し、動き出す。


(それにしても死んでから復活までどのぐらいの時間が掛かるんだ? 目が覚めた時にドラゴンは居なくなっているから、直ぐ復活する訳じゃ無いんだろうけど……まぁ直ぐに復活したらループして延々喰われそうだしむしろ助かるけど……)


 殺されて、直ぐ復活して、また喰われる、そんな想像をして身震いする。


(そう言う意味じゃ良かった、未だになんで生き返っているのかもよくわからないし、そもそも殺される時の痛みはかなり辛い……生き返れるのだって条件とかあったら次はもう無いかもしれない……)


 生き返る条件すら分からないこの状況で楽観的な考えは危険だと自分に言い聞かせる。


(やっぱりあのドラゴンに見つかるのはマズイ……いくらレベルが上がったからってLv48のドラゴンにLv5で勝てる見込みは無い、なんとか見つからずに移動する方法を考えないと……)


 そこで真っ先に思いついたのはマップだった。


(やっぱりこのマップに頼るしか無い、最初は表示されたんだ……何か条件があるのか?)


 凛はマップを開きドラゴンを表示するように意識を集中する。

 しかし――


(だめだ表示されない……ある程度近くないとダメなのか? いや、街は表示されている。 距離は関係無いと思うけど……何で最初は表示されたんだ……)


 そこで最初にマップに表示された時を思い出す。


(あの時、俺はパニックで大声を出した。 そして直後、見つかって襲われた……あの時は表示されてた。だけど2回目には目視出来る距離まで近づかれても表示されなかった。 その違いはなんだ?)


 状況をまとめていく。

 1、自分との距離は関係無い可能性が高い。

 2、自分が認識しているか否かも関係無い。

 3、相手に認識されているかも関係無い。

 4、表示は黄色か赤でされる。恐らく相手が認識、敵対心を持つ相手は赤く、それ以外は黄色くなる。


(こんな感じだと思うけどやっぱり何か条件があるはず――)


「ガアアアアア!!!」


 思考を遮る咆哮が耳に届く


(クソ! 見つかった?! マップは――ダメだやっぱり表示されていない! また喰われるのか! 痛いのはもう嫌だ! それにまた生き返る保証も無い! なんとか逃げないと!)


 そう思いドラゴンを探して視線を巡らせると予想外の光景が飛び込んできた。


(なっ!? 二匹!?)


 そこには二度も自分を襲った緑色の鱗を持ったドラゴン、そしてそのドラゴンと対峙する様に青い鱗のドラゴンが空を飛んでいた。


(冗談じゃない! 一匹だって手に負えないのに二匹なんて絶望的だ!)


 二匹のドラゴンとは目測で300メートル以上離れている上にお互い牽制しているのか仕掛ける様子もなくお互いを視界に収めていた。

 傍目から見れば恐らく対立している。

 ならばこの隙に逃げ出せる可能性があった。


(あっちの青いドラゴンは初めて見るヤツだ…あのドラゴンは…)


 そう意識すると視界に情報が表示される。


 [ブルードラゴン Lv52]


(ブルードラゴン…見たまんま…え…?!)


 凛の視界に驚きの光景が映し出される

 それはマップに表示された数十個の青い光点だった。


(なんで!?今まで表示されてなかったのに突然…それにこれ…全部ドラゴンなのか?!)


 マップには目の前の青いドラゴンの他にも草原の彼方此方(あちこち)に反応があった。


(それにこれ…多分あの青いヤツしか反応してない…ッ!まさか!?)


 ここで凛に強烈な予感、むしろ確信に近い閃きが走る。


(グリーンドラゴン!)


 その思考は目の前の緑のドラゴンの()()()()()


(クソ!やっぱりだ!!何が融通の利く機能だ!!)


 凛の予感は見事に的中する。

 目の前には先程より更に光点が増えたマップ


(マップに表示する条件は()()()()()のイメージが必要なのか!)


 正解に辿り着く、実はそれ以外にも他者に呼びかけ、相手に認識される事でもマップに表示させる事が出来る。

 最初に襲われた際にマップ表示されたのは、直前に叫んだ言葉

「誰か」というか言葉がドラゴンに認識されていた為だった。

 しかしその時の凛には知る由も無い。


(だけどこれで少しはマシになった!)


 マップに表示された眼前のドラゴンは共に青い光点だった。

 恐らくまだ気がついていないと思った根拠、


(ゲームで言えば青はまだ見つかって無い、黄色は恐らく警戒状態、赤ならターゲットされている状態って事だ!…多分)


 不安はある、だがこのままここに居れば確実に見つかり喰われる未来しか無い。

 ならば逃げるしか無い!

 そう判断した凛はすぐに行動に移す、

 マップを頼りにドラゴンに完全に背を向け、走り出した。


(マップのお陰でヤツらが動けばすぐに分かる!兎に角今は距離を稼がないと!)


 そう思い走り出す、だがここに誤算があった。

 今回蘇生した時から急激に変化した点、ジャンプ力が向上していた事に驚いたが、強化されたのはそれだけでは無かった。

 だが凛は蘇生後、ドラゴンの補足に注力していた為、最初に感じた違和感に確認をしなかった、忘れていた。


「うわあ!!」


 駆け出そうと脚に込めた力が、強すぎた。

 その過剰な力は、地面を抉り、些細ではあるが周囲に聞こえる音を立ててしまった。

 その上、驚きのあまり声を上げ、イメージから大きくかけ離れた自分の動きについて行けず、つんのめって転倒してしまった。


 致命的なミス


 ジャンプ力が強化されていた事に気がついた時点で確認しておけば起きなかったミス、突然の走力向上という常識外の現象。


(クソ!なんだこれ!)


 当然の様にマップに表示された二匹のドラゴンは


(黄色!?警戒されたのか!)


 慌てて振り返るとそこには凛を捉えた四つの鋭い瞳


「ガアアアアア!!!」

「キュイイイイ!!!」


(見つかった!でもまだ襲ってくる様子は無い、お互い牽制し合ってて動けないのか!マーカーも黄色のままだし、今のうちだ!)


 ターゲットされて初めて赤に変わる、それが分かったのは収穫だが、今はそれどころでは無い!


(クソ!ジャンプ力の時に気がつくべきだった!そうだよ、ジャンプ力だけじゃ無い可能性の方が高いに決まってる!確認しておくべきだった!)


 凛は今回マップの機能を把握する為に、マップに集中しつつ警戒する意味も込めて蘇生後もひたすら歩いて移動していた。

 今回のミスはその慎重さが裏目に出た。


(だけど、そうと分かれば…!)


 凛は直ぐに体勢を整え、()()()()()()()()()


(うわぁ…なんか…気持ち悪い!でも制御出来る!)


 ゆっくり走ったつもりでも、圧倒的に速い

 経験に無いほどの速度に驚くも徐々に速度を上げる事でなんとか姿勢を維持して走る!


 その速度は(はた)から見ればドラゴンの速度にもひけを取らない程だ。


(全力で走ってるけど息も苦しく無い!これなら振り切れる!!)


 幸いにもマップ上では二匹のドラゴンが追ってくる様子は無い。


(よかった、このまま一気に街まで走り抜ける!)


 そう思い、街の場所を確認しようとマップ見た凛は


 その信じたく無い変化に


「…は??」


 思わず間の抜けた声を零した。


 それは――


 自分を中心とした十数個の青い光点が――


 波紋を広げる様に――


 赤に変わっていく光景が原因だった。



凛君無双の片鱗…?

それよりも一体いつになったら凛君は自分のスキルをしっかり確認するのでしょうか…

(多分次話です。)

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