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第2章26話 プロローグ

「助けてくれ。殺される。」

「何があったんだ。」

「もうだめだ。こんなところにいたら・・・」


そいつは、そのまま意識がなくなった。どうやら、気絶したようだ。


「おーい。ジンが逃げ出してるぞ。」

「もう捕まえたの~。早い。」


イースは不機嫌そうに俺を叱りつけた。訓練の一貫で、精神的にも追い込んで、さらに逃亡させ、あらゆる面から追いつめる。最終的には絶望感をあたえ、逃げることは無理と理解させるという訓練だったらしい。


それにしても、サバイバルファッションというか、なかなかの鬼教官に見えるぞイース。俺も、鍛え直してもらおうかな。


そんなことを考えていると、時月に3日ぶりに戻って来た際、ダンジョンコアのメイがホログラムのような形で現れたときにいわれたのを思い出した。


「マスターケイスケ。大変です。ダンジョンポイントが急上昇が止まりません。もしよろしければダンジョンポイントを活用してくださいませ。」


俺は何が何だかわからなかったが、ダンジョンコアファミリーとダンジョンマスターコンビもフォログラムで現れた。


どうやら会議中をしていたらしく、俺が帰ってきたのを幸いに相談してきたのであった。


「神様がダンジョンに滞在するだけでダンジョンポイントってものが増えるのか?メイ」


ダンジョンポインが増える通常ケース

・人や動物・野獣・魔物の類がダンジョン内で死亡する。

・人や動物・野獣・魔物の類がダンジョン内で長時間滞在する。

・ダンジョン内で廃棄物を投棄する。


ようはダンジョンが生命エネルギーや固形物からエネルギーを吸収するときに、余剰分をポイント還元するものである。そして、神の御業で創られた迷宮の卵から生まれたダンジョンだからこそ、神のご加護ともいえるダンジョンポイントが派生するのである。


このダンジョンポイントはある意味で特殊ギフトであった。それは、そのポイントを使うことによりダンジョンモンスターやダンジョンアイテムを生産することが可能にするのであった。それに、初期にダンジョンマスターが設定した迷宮を拡張することや、トラップを追加することも可能にするものであった。


「ダンジョンポイントが急造した原因は、まさか、時空のハザマで漂っている、大陸の欠片をまた時月が吸収したのか?」


「違います。女神様たちと悪魔らしき者達が派手なアダルトパーティーをやっているもので・・・」


しおらしく、メイはうつむいた。


「ごめんな。みんないい大神様たちなのにな。メイは悪くないぞ。」


「エーン。エーン。エーン・・・」


ダンジョンコアでもトラウマが生まれるようなアダルトパーティーって・・・かなりグロイのか?いやいや、ダンジョンコアならグロくても大丈夫だろう。だとしたら淫靡な世界なの?ありえるかも・・・


「少し刺激が強すぎたなメイ。ちょっと言ってきてやる。」

「いいの、私も混ざりたいだけだから。でもダンジョンコアは余所の人に会っちゃいけないの!」


幼女の姿に騙されたぞメイ。さすが、神が創った迷宮の卵・・・でも、メイを人に姿にしたのは俺だ・・・趣向も似るのか?でも、ダンジョンコアの核は悪魔たちだからそっちだな。間違いないと俺は思い込むことにした。


とりあえず、パーリィナイトが開催している城に向かおうとしたら、気絶したシャイターンを目の前におき、イースに会ってしまったのだ。


「ケイスケ。帰りが遅い。私たちがいなくて寂しくなかったの!」


「すいませんでした。」


「いさぎよいな。何かやましいことがあるな。ケイスケ。それにしても、イリヤとシュレはいっしょじゃないのか。アース様は戻ってきてるのに・・・おかしい。」


「ハハハ。シュレはアンドロポリタンで買い物中です。あと・・・サキはいないかな?」


後味の悪いしゃべりをしていた俺に見かねてか、何かを察したアースはため息をついた。


「テレパシーで呼べばすぐ出るわよ。何かあったのね。」


イースは緊急家族会議を招集するようにサキに連絡をしていたが、何か様子が変だ。そのとき、俺の上空にサキが降りてきた。


「ケイスケ。これでアンドロポリタンとの密約は上手くいったのね。次はシルキーポリタンをさらに固めましょう。」


「はあ?何々?今回のケースは織り込み積みなのサキ。」


「だって、ケイスケのやることでしょう。妻はなんでも知っている。聖女から女神になった私には、未来や運命さえ作り変えることができるのよ。ウフフフ。」


怖いよサキ。俺はお前の手の平で踊らされているの?もしかして、俺って逆ハニートラップなの?この先、ビーナスホイホイにかかる女神が可愛そうだよ。


「サキさん。フィクサーテラと悪党達はお元気ですか?」


「獄卒調教はあと三日で終わるそうよ。それに、私たちが連れてきたジン達の獄卒化は取りやめたんだ。だって、せっかくのジンでしょう。だからダンジョンフロアマスターに教育することにしたのよ。」


イースは俺の肩を叩きながらニヤニヤした。


「ケイスケ。後で、体験してみる。お母さま直伝の獄卒調教コース。それとも、私の十八番おはこともいえるフロアマスター育成コース。両方でもいいわよ。その代り、寝かせないからね。」


「両コース同時体験でお願いします。それに、イースとサキのダブルコーチを希望します。」


俺はゾワッとした感覚にときめかずにはいられなかった。ヨダレが止まらん。


「でも、私たちも、アンドロポリタンでショッピングに行きたいのよね。でも、彼女たち、アンドロポリタンの通貨はあるのかしら?」


「お金の件は安心してくれ、それに、アイテムコレクターのシュレがいるんだから、お金が足りなくても、錬金レシピと素材だけでも持ってくるから。」


俺は、サキとイースにイリヤと新たに俺のハーレムに加わったアンドワーズの話をした。そして、アンドロポリタンの通貨と呼べる指輪をサキとイースに渡した。


嬉しそうなイースとサキは指輪をはめてうっとりした。


「池の鯉には餌をあげまくるケイスケって、ホントにいい旦那様。」


「もっと光物がついた指輪もいいな。それにネックレスもついでに欲しいな。」


「ネックレスもアクセサリーもいいものがあれば、用意するよ。それより、この指輪について話さないとね。」


俺はウィンクをしながら指輪について説明をした。そして指輪の使い方や頭に浮かぶステータスについて説明をするのであった。



勇神ケイスケ

現金 12,200,000,000,000A

総合預貯金 0A

総合投資  0A

総合ポイント 48G


婦神サキ(元聖女・元賢者)

現金 12,983,685,846,589A

総合預貯金 0A

総合投資  0A

総合ポイント 48G


婦神イース

現金 12,581,685,846,589A

総合預貯金 1,000,000,000,000A

総合投資  25,365,851,964,321A

総合ポイント 48G


指輪の使い方を俺が、サキに教えているとシルキーポリタンの指輪と似ていると話しながら説明した。


驚いたことに、サキは俺より、アンドロポリタンのお金を持っているようだ。どうやら、異世界で勇者より長生きで賢者と崇められたことによるものだとイースは説明してくれた。


それにしても、アースが元アンドロポリタン王族だったせいか、イースは総合預貯金と、総合投資がずば抜けて多かった。


ちなみに、ジンクラフト工房事件解決で総合ポイント48G、等配分されているみたいだな。


「ちなみにサキ、話を変えるけど、メイがダンジョンポイントが貯まりまくっているけど何か使うものあるかな?」


「ダンジョンポイント???ッて?何?」


ですよねー。わからないよねー。俺もさっき知ったばかりだけど・・・俺が説明しようとしたら、イースが説明をしてくれた。さすがである。


「この時月どう改造するってはなしでしょう。適当に作ると、やり直しってまたいわれそうだしね。そうだ、コンセプト決めようか。」


「いいね。何にする。」


「女神のパラダイスダンジョンにしようよ。」


やばい、このままだと、本当に女神だらけのダンジョンになりそう。

それに、例の時空のハザマの大地に眠るお宝回収も絶対に今後絡んでくるからな、どうすればいいのか・・・それに、閻魔コウキとも約束していた、死後の世界の発展に寄与する計画もあるし・・・・わからんぞ・・・


俺は遠くは見つめ考え込んでいたら、思い出したかのようにサキが叫んだ。


「そうだ、それより、テラ様と閻魔殿のお知恵を借りて、バージョンアップしたのよ。」


「なに、なに?バージョンアップって?」


イースがサキの肩に手を乗せ、後ろから俺の顔を見て、ニヤニヤしだした。


「ケイスケ。サキの魅惑のルームの勉強部屋がスキル付与部屋。ううん。スキル習得完了部屋になったんだよ。ケイスケも使いなよ。とりあえず、私たちが使い方教えてあげる。良いでしょうサキ。」


「そうねイース。使い方を教えないとね。ウフフ。」


なになになに?この連帯感?怪しいぞ!教えるって???わからん。


「ダンジョンポイントの件より大事なの?何、使い方って?」


俺は2女神に腕を組まれたまま、サキの魅惑のルームに導かれた。


「へー。これがサキの魅惑シリーズのルームか、普通の女の子の部屋というより、なんかエレガントでビンテージ感が半端ないな。それに、全体的にはロココ調でありながら、アンティークでおしゃれだな。」


「あんまり、ジロジロ見ないで、女の秘密を隠しているんだから。それより、ここに座ってよ。」


「そうそう、ケイスケ。このカプセル凄いんだから。じゃーまず。美容師スキルね。」


俺は何が何だかわからぬまま、部屋の隅にある日焼けマシーンのような酸素カプセルらしき物の中に座らされた。


そして、ゆっくり、カプセルの蓋が閉まると同様に、リクライニングがたおれながら、俺をゆっくりと仰向けに寝かせるのであった。


「ケイスケ。スキルはセットしてあるからね。いくよ、10カウント数えて。」


俺はもはや、如何とでもなれ、と思いながらカウントを唱えた。


「10・9・8・7・6・・5・・4・・・3・・・に・・・・ぃ・・・・・」


俺は一瞬、目の前が明るくなり、数字をカウントそしている記憶をなくしてしまった。


しかし、思い出したように息を吸いながら、深呼吸をしてカウントを終えた。


「ハッ、フー、すぅー。はぁあ。2・・・1・・0。」


透明なカプセルの蓋がゆっくり開きながら、リクライニングが起き上がってくる。


俺は、何が何だかわからぬまま、ゆっくりと腰を上げて、カプセルから出た。


イースとサキは目を輝かせながら俺を見つめている。


「何、ジロジロ見てるんだ。」


イースは手をあげてサキにアピールした。


「ハイ。私が一番ね。サキ。いいでしょう。」


「しょうがないわね。イース。でも次は私よ。」


「ケイスケ。私を綺麗にして。お願いね。」


俺はますます訳がわからないまま、イースが手を引っ張ってドレッサーの前に連れて行った。


イースはドレッサーの前にある椅子にすわり、もう一度、俺に鏡越しに行ってきた。


「私の魅力を引き出してね。もっと綺麗にしてよ。」


そして、呆然と立ちすくんでいる俺に、サキは俺の横に道具一式を持ってきた。


「イースの髪の毛を切ってあげて。霧吹きにクシ、ハサミ・・・パーマもできるよ。」


「サキさん。理容師でも美容師でもないぞ。いきなり、髪の毛を切ろって言われて、ハイ、刈上げですねっていえるかー!」


イースはクスクス笑いながら鏡越しで笑っていた。

「髪は女の命よ。大事に切ってね。」


「笑っちゃだめよ。イース。失敗するかもしれないんだから。ケイスケ。落ち着いてよ。試しに、まず、後ろ髪を揃えてみれば。」


俺はサキに言われるまま、霧吹きでイースの髪を濡らした。


驚いたことに、俺は凄腕のプロの美容師のようなふるまいでクシとはさみに持ち替え髪の毛を切っていた。


「どういうことだ、俺ってもしかして、美容師の才能があるのか???毛先をそろえず、あそばしちゃってもいいかなイース。」


イースは嬉しそうに、鏡越しの上目づかいで、俺に話しかけた。


「すごいでしょう。サキがテラ様にスキル付与の神術を教えてもらったのよ。それに閻魔様にも時間時空制御神術を教えてもらったんだから。」


「え??どういうこと?まさか、さっきのカプセルに入って10カウントすると、美容師になれるの?」


「美容師だけじゃないわ。ありとあらゆるスキルや祝福といったギフト能力が付与できるのよ。」


「まさか、勇者召喚でよくある、スキル付与の神術がここで出来るの?」


「そうよ、いろいろできるけど、いきなりスキルMAXも可能よ。」


俺は、本物の美容師のように、話ながらイースの髪の毛を散髪を終えた。


「イース変わって、次は私よ。」


サキは切り終えた髪を魔法で掃除して、イースを立たせた。


そして、新たな道具セットを俺に渡しながら、鏡を背にして椅子に座った。


「次は私よ。ケイスケ。マジックネイルをお願い。」


「マジックネイル??爪にマニュキュアをするだけじゃないの?」


俺が驚くより、イースが飛び上がって驚いた。


「美容師スキルMAXってネイルも可能なの?それもマジックネイルもOKなの?」


「すいません。そもそもマジックネイルってなんだよ。サキ。炎属性や氷属性の魔獣の爪をつければいいの?」


2女神は逆に俺に驚くのであった。


「知らないの?最新のマジックネイルのトレンドを?っていうか、サキさん。ホントに美容師スキルMAXにしたの?」


「イヤですわ。イースさん。美容師スキル以外にネイルはもちろん、ファッションコーディネーターのスキルとエステシャン、それにスポーツトレーナーやヨガのスキルの類までMAXスキルを網羅してインストールしときましたわ。」


「あのー、サキ。俺をどうしたいんだ。」


サキとイースは女神テラのようなオーラを纏いながら見つめた。


「頭の中でウインドウを思い描いて。ケイスケ。」


「簡単よ。ゲームの初期設定みたコマンドを選ぶだけなんだから。それに、無詠唱なのよ。」


俺は言われたように頭の中でウインドと呼ばれるステータスを思い浮かべた。


サキはすかさず、細かな指示を出した。


「まず、ネイルケアは鏡面研磨でお願い。次に右手は親指の色はロゼカラーをベースにして、マジックネイルは重力魔法のNo,4にしてよ。あと、細かく魔宝石を散らばしてね。模様は右手と左手は別にしてよ。次の人差し指は・・・・」


俺は先に言われるがまま、特殊な鬼の手のように、右手と左手をマジックネイルとマジックハンド紋様を施した。


「ケイスケ、最後はこの悪魔の手のようになった呪祖手を、普通の手に見えるように魔法をかけて終了よ。」


嫉妬に満ちた顔でイースはサキを睨んだ。


「ずるい。サキばっかり。私は髪切ってもらっただけなのに。私もやってもらうんだから。ケイスケ、私は手と足のマジックネイルをやってよ。」



俺はいつの間にか、妻たち専属のスーパー美容師に仕立て上げられた。


サキとイースは化粧と服を選びながら上機嫌になっていた。そして、言い忘れていたかのように、イースは話し出した。


「そうだ、ケイスケ。サキの魅惑の美容部屋にいる時は外の時間は止まっているんだよ。サキが閻魔コウキ殿から新たな時空間神術を教えてもらってリメイクしたのよ。すごいでしょう。」


俺は完全に別次元の空間となっている、このアイテムに戸惑いを覚えた。


「まさか、このルームに勇者召喚に使われる、スキル付与の神術のパワーアップ版を搭載しているのか?」


「それだけじゃないのよ、サキったら、魔導書マニアでしょう。ケイスケがいないから、ここぞとばかりに、閻魔の神術版の神導書を完成させちゃったのよ。時間が余ったからって、お母様以外の婦神たちからいろいろなギフトやスキルの研究までしてたんだからね。」


「女の見えないところの努力には脱帽するよ。そういうイースはどうなの。」


「私はジン達の教育につきっきりよ。でも、おかげでダンジョンのフロアマスター育成プログラムの卒業は間近よ。こうご期待ね。」


俺は初めて聞くワードに戸惑った。


「もしもし、イースさん。ダンジョンフロアマスター教育って何ですか?」


「あれー?言ってなかったっけ。獄卒育成プログラムは時間がかかるから、ダンジョンのフロアマスター育成プログラムに変更するって?」


「時間がかかるからって、テラ様達と一緒にやれば可能だろ?」


「元悪魔を獄卒にするのと、ジンを獄卒にするのと教え方が違うのよ。っていうか、ジン達は婦神たちにやり方にビビってるのよ。だから、心やさしい、女神イースが直々に教えることにしたのよ。」


「ふーん。まず、メンタルからやってるのか?ほどほどにしろよイース。」


俺はこの不毛の会話、どうしてダンジョンコアが俺に直接ダンジョンポイントの采配をたずねたか、察しがついてしまった。


みんな俺がいない間、好き勝手に自分の趣味に、はしっていたかがよく分かった。

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