19 結婚のご挨拶
「きゃー、助けて、変態。スケベ。見ないでよ」
「誰かー。のぞきよー。あっちに行きなさいよ。」
このパターンってもしや・・・やっぱり、地球神アース様。俺たちについてくるのはいいけど、会う女神、会う女神に、変態、痴漢、のぞき魔って言われてる。待ったく、どこの見慣れた変質者だよ。
それにしても、天界の楽園でスナップ写真の撮影するからって、シュレ達も寝ないでついてくるなんて・・・何かあるな!!
多分、男神からの貢がれてくるアイテムがすごいのかもしれないな。このまま、本当に天界の究極アイドルになってくれ。でも、くれぐれも、女神達の恨みを買うな。
そんなことを考えながらも、天界にある神の居住区ともいえる、アンドロポリタンという都市についた。
天界にもいくつかの都市があるらしい。イリヤいわく、宇宙にある銀河の数だけ、天界の都市がある。そこには、人間のような姿の神や、ファンタジー世界に出てくるような、獣人の姿の神も住んでいる。都市によっては、竜やエーリアンの神までいるそうだ。
今回、イリヤの両親神が住む天界の都市はアンドロポリタンで地球神アースが住むシルキーポリタンの2倍の神達が住んでいる。
2つの都市は隣接しており、数十億年後には一つの都市になると神々は言っている。
どうして一つの都市になるかというと、アンドロポリタンはもともと、2つの都市だったが、2つの都市の王ともいえる、神々が融和によって合併した。
文化交流のたまものであった。この流れで、シルキーポリタンの神々も見習えてばかりにアンドロポリタンの神々と技術協力を行い始めた。
その一環として黄泉の国とも言われる、死者の国同士がまず、異文化システム交流を行っていた。
それが、異世界勇者召喚というものであった。悪く言えば、害のない・・・言い換えれば、無能だった人間をとりあえず、別の銀河に送って様子を見ることである。
言い方を変えれば、運命に逆らって死んだ者や不幸な死に方、もしくはマヌケな死に方をした者を救済するという名目で、哀れみと弱った心に漬け込み、希望を植え付けるという、詐欺師みたいに騙し、別の銀河の異世界に送るということだ。
救いがあるとすれば、罪悪感からか、別世界に行ったとき、能力アップもしくはスキルアップしてもらえることであった。
各々の銀河における、黄泉の国ではモニターすべく、閻魔達がもつ最先端の神術を駆使して、送った勇者達をモニターするのであった。
例えば、よくゲームであるような、勇者がスキルを確認するためのオープンウィンドウシステムやスキルゲージモニター、魔法バックのアイテム管理システム何かも、この閻魔達の勇者管理システムの一環である。
互いの閻魔達の高度な技術により、互いの情報集めてながら、都市同士の合併を模索しているといっても過言ではない。
そんな話をイリヤに教えてもらいながら、アンドロポリタンにある、とある立派な宮殿にやってきた。
「久しぶりだわ。懐かしいー。変わってないな。本当によかった。」
そういうと、イリヤは手を広げ、その場でクルクルと回りだした。とても、懐かしく、思わず踊り出していた。
あまりのはしゃぎっぷりで、イースもサキもイリヤに引っ張られながら喜びを分かち合おうとした。そのとき、宮殿の奥から2神が現れた。
「どちら様ですか。何をはしゃいでおる。ここはアムの神殿と知っての事かな。」
「アム。怖いわ。」
[ユア。大丈夫だよ。アムがついてるから安心して。」
「なに、この茶番?昼ドラの見すぎなんじゃない。」
「おかげでテンション落ちたわ。引くわー。」
「あらあら、いいじゃない。若いって。」
俺は明らかにイリヤの両親神ではないっと気付き尋ねた。
「すいません。突然、ここは女神イリヤの住んでいた神殿ではないのですか?」
俺が目の前にいる、カップル神に聞いた時、イリヤが、スリッパで馬鹿カップル神をド突いた。
「アム、ユア!いつから神殿持ちの神になったのよ。私を忘れたの?ひどくない!」
カップル神のアムとユアはイリヤの顔を覗き込むと、顔を見合わせて驚いた。そして、涙を流しながら叫び出した。
「お帰りなさいませ。神姫イリヤ様。ご無事で何よりでした。エーン。エーン。」
「心配したんですよ。連絡の一つも下されば。すぐにでもかけつけましたのにー。エーンエーン。」
「そうですよ。神姫様に何かあれば、御使いとしてこの命に代えてもお助けに参りましたのに。ウウウウッ。」
「消息が消えたとき、どれだけ御大神が心配したことか。ウウウウッ。」
イリヤは抱きついてきたのをひょいとよけ、二人の顔を何往復もビンタした。
「そんなことより、いつから、御使いから神になったのよ。連絡くらいよこしなさいよ。って私の消息わからなかったんだっけ。アハハハ。」
元御使いだった2神は顔を腫らしながら正座をして答えた。
「異世界に封印された神姫様がこちらに帰ってきてからしばらくした後、今度は忽然と神姫消えてしまわれて事情がわからないかもしれませんが、こちらもいろいろあったんですよ。御大神様は神姫様の功績やその他のご活躍もあり、その功績により大神殿地区の方に住居となるご神殿を移され、御使いの我らも、神に昇神していただきました。それゆえ、こちらを拝借させていただいております。」
「よかったわね。晴れて神になれて。それより、ホントに探したのー。正直に答えなさい。」
アムとユアは額をつけながら、土下座して目で確認している。
「すいません。御大神様も私たちもバタバタしていたので・・・ホントに申し訳ありません。」
「フン。まあ、いいわ。それより、父と母は元気かしら。今の御使いに連絡を取ってくれない。父と母に用事があるの。」
「それなら、我らがご案内させていただきます。」
そういうと、いそいそと、アムとユアは立ち上がり、転移石を用意した。
「今から、御大神様の神殿に向かいますが、一つだけお伝えいたします。イリヤ様のお姉様のアリア様が戻られています。くれぐれも昔のような騒ぎだけは起こさないようお願いいたします。」
そういうと、転移術が発動して、一瞬に別の神殿についた。先ほどの神殿とは、くらべものにならないような、豪華なつくりと、あたりの壁や床も光が輝いている。
「おやおや、お客様とおもったら、アムとユアではないか。今日は何か用事があるのか。」
俺より、小さいが割腹のよい白い髭を携えた神が歩いてきた。
イリヤはアムとユアを押しのけて髭の神様に抱きついた。
「ダディ。ただいま。」
抱きつかれて尻もちを搗きながら、イリヤの頭を撫でた。
「お帰り。イリヤ。このヤンチャな神姫め。今度はどこに行ってきたのかな。マミーも心配してるんだぞ。マミー。マミー。イリヤが戻ってきたぞ。」
アムとユアもハンカチで涙を拭いている。
おくから、バタバタと駆け寄る足音が聞こえてくる。
「イリヤなの。イリヤが帰ってきたの。バタン。」
おい。新喜劇の神様がいるといわんばかりのヘッドスライディング。イリヤは手で目を覆い隠した。
「もーやだー。マミーったら。あいかわらずおっちょこちょいね。段差もないのに転ぶなんて。」
イリヤは母神にかけより、手を伸ばして起き上がらせた。
「痛たたた。そういう。イリヤだって、相変わらず戦いに明け暮れていたんでしょう。だから、戦う神姫って呼ばれるんだから。もう少し大人しくしないとお嫁に貰ってくれる神が現れないわよ。まず、二の腕、何とかしなさい。」
イリヤは手を放して俺の腕に巻き付いてきた。
「心配、ご無用です。こんな私にをもらってくれた旦那様がいますから。ベーだ。」
手を離された母神様は思わず立ち上がろうとしたが腰が抜けて立ち上がれない。
「イリヤ。が?結婚した?まさか、そちらが旦那さん?パピー早く私を持ち上げて!!腰が抜けたのー。早くー。」
「マミー。すまん。私も腰が抜けた。イ、イ、イ、イリヤ!まさか、本当に結婚したのか?結婚できたのか?お前が?それにマミーにただいまをいう前に、結婚の報告はさすがに驚いたぞ。」
俺はこの親神はどんなイメージをイリヤに持っていたのか気になってしまったのは事実だが、ここはスマートに結婚の報告をしないといけないと思い、二神を軽々と抱え上げ、近くにあった椅子に座らせた。
「はじめまして。私は勇神ケイスケといいます。女神イリヤと結婚しましたので、ご報告に参りました。本来なら、結婚する前に来るべきだったんですが、愛ふかき故に、事後報告という形になりました。ご容赦願います。これからは、我とイリヤともども、長い目で見守ってください。」
「それにケイスケの妻はイリヤだけじゃないのよ。マミー。こっちがサキ。そしてイースよ。今は、ケイスケの嫁は3神だけど、もっと増えるかも。だって勇神だからね。」
サキもイースもイリヤの両親神に挨拶した。
複雑そうな顔だったがイリヤの両親神は結婚を喜んでくれた。
そして、たわいもない世間話から、異世界の事情を愚痴り始めるのであった。
「まったく、驚くわね。まさか勇者が神になる時代が来るなんて。」
そんな会話から始めり、勇者システムを皮肉を言い始めた。
人はおろか魔物や魔王すら駆逐する力を秘めたる者、そして、時には女神すら破壊しうる力を持つ者。それは、神が、与えた神の恩恵を受け、人ざる者になった者。
大抵の勇者はその巨大すぎる力故に、命が狙われ。実験道具や戦争の道具にさえさせられる。
それゆえ、隠遁な暮らしを望み、ある者は復讐の鬼になる者までいる。また、人嫌いに陥り、魔王になるものまでいる。しかし、攻略者と言われる勇者は英雄となり、王となる者ものもいる。
しかし、神々の視点から見れば、勇者や救世主を投入しなければいけないほどに、世界が乱れてしまったからに他ならない。だからこそ、戦争や魔物災害などによって疲弊した世界では勇者システムは必要であった。
イリヤの父神は懐かしそうな顔をしながら、遠い日の思い出も話を始めた。
「今となれば、戦乙女たちを率いながら、イリヤが戦神姫と呼ばれて異世界を闊歩してた頃が懐かしいな。丁度そのころ、突然、イリヤが女神として世界を救うといって出て行ったのが最後だったのー。パピーはイリヤがようやく星神になりたいというようになってうれしかったなー。大人になったと喜んだのがこないだの事だったのー。」
イリヤは恥ずかしそうに顔を染めた。そして、アムが奥からお酒を持ってきたので酒をあおった。
「恥ずかしい。戦神姫っていつのころよ。でも、世界の理や心理万象を知らないと、星神にはなれないし、丁度、パピーが治めていた星が滅亡回避するために、異世界化したから女神降臨したのよ。」
イースは地球のことを思い浮かべて話に入ってきた。
「星が滅亡ってことはやっぱり、星の住民がなんかをやらかしたの。」
「そんなところよ。世界が乱れすぎたのよ。だから、少し他の知的生命を入れたのよ。そうしたら、争いが起きてね。破壊兵器文明は滅んで、剣と魔法の世界になっちゃったのよね。」
「それでも、悪や欲望は忍び寄って魔王が生れたって感じかな?悪の進化ってところね。」
「魔王に封印された女神を助けるべく、そこに、勇者転生で現れたハーレム王ケイスケ。」
その言葉に反応した両親神は立ち上がった。
「まさか、ケイスケって。イリヤを助けていただいた。英雄王ケイスケ。異世界で100人を超すハーレムを築き、後に、人口問題さえを解決させた伝説のスケベ・・・いや、伝説の勇者。まさか、勇神になってイリヤの夫になっていただいたとは。まことにめでたい。」
「良かったわね。イリヤちゃん。初恋の相手と結婚できて。まさか、後を追っかけて本当に連れてくるとは思わなかったわ。イリヤ、幸せになってね。」
両親神は大粒の涙を流しながら、イリヤを抱きしめながら、娘の結婚を心からお祝いした。
そのとき、ユアが俺に耳打ちした。
「イリヤ様の姉上様のアリア様がこちらに見えます。お気をつけください。」
言い終る前に、光と供に、神々が現れた。
「ただいま戻りました。あらお客様?」
「マミー。リーちゃんも帰ってきたよ。誰がきたの?」
「アリア姉さま、リリア。ただいま。」
イリヤはアリアとリリアと呼んだ女神と抱き合った。
嬉しそうなイリヤは俺に、アリアとリリアを紹介した。
「ケイスケ。紹介するわ。私の姉のアリアと、姉さんの娘リリアよ。ご挨拶をして。
そして、こっちがケイスケ。私の愛する旦那様よ。」
「始めまして。ケイスケさん。未亡神のアリアです。私の神姫リリアです。リリア、新しいパパよ。挨拶して。」
「はいママ。リリアです。これからよろしくお願いします。パパ。」
「あのー。いきなり、対神距離を詰めてくると焦りますよ。アリア様。それに、冗談にのっかてくるなんて、お茶目な娘さんですね。ハハハ。」
アムとユアが気を付けろといったことがなんとなくわかった気がする。気をしめてかからないと、なし崩しにされるタイプだな。やばい!
俺が身構えるより、スリッパでアリアとリリアにパッスンと突っ込むイリヤがいる。
「やだな。お姉さまったら。亡くなった義兄様が泣きますわよ。」
「いいのよ。あんな奴。蘇りもせずに、宇宙の彼方に消えた奴の事なんて。・・・・誰か酒もってこい。今日も朝まで飲むぞ!」
「お母さま。出会いはすぐ目の前にありますよ。恋はお熱くですわ。」
2回目、巨大ハリセンでアリアとリリアにパッスンと突っ込むイリヤがいる。
「次は拳だからね。あまり調子に乗るなよ。それより、ケイスケ、姉は未亡神っていうのはホントなのよ。」
そういうと、簡単に説明してくれた。
「パパが管理していた星をアリア姉様と結婚して、引きついたんだけど、あまりにもイチャイチャしていたんで、その間に星を破滅させそうになったのよ。そしたら、人類が滅亡仕掛けたとき、悪魔が現れ、異世界間ゲートやダンジョンを設置して異世界化したのよね。その責任をとって、お兄様は異世界に消えたんだ。悪神の汚名をつけられた義兄は見事に討伐されちゃったんだよ。だけど、くさっても神だから、心を入れ替えて蘇るはずなんだけど蘇ろうとしないんだよね。もしかして、今頃、邪神になってるかもね。」
「もう、私ったら、罪作りの女神なんだから。もう!ケイスケさんも私と罪を重ねない。」
「結構です。それより、イリヤはその異世界を何とかしようと、頑張ってたんだよね。すごいぞ。」
「イリヤ姉さまったらパパの事好きだったの。リリア嫉妬しちゃうから。」
3回目、巨大ハンマーでアリアとリリアにバッシンと突っ込むイリヤがいる。
サキとイースは義理の肖像画と飾ってある写真からプロファイルした。
「女神イースです。ご無沙汰しております。アリア様。そして可愛いリリア神姫ちゃん。私もケイスケの妻になったんですよ。旦那様は戻らないって本当ですか。もしかしたら、黄泉か煉獄あたりで修業しているのではないですか。」
「妻のサキです。初めまして。アリア様。リリア様。もしかして、すでに居場所に心当たりがあるのではないですか。それに、すでに、居ない方が良いと思っているのですね。その様子では、騙されたんですね。ああ、なるほど、わかりました。」
さすがサキ、心を読みきったな。サキは俺と、イリヤとイースを引っ張って、内緒話を堂々とアリアに指を指しながら行った。
「そうよ。そのとおりよ。今は煉獄の牢屋にはいっているわよ。私たちの家族を陥れようと画策したのよ。だから、牢にぶち込んでやったのよ。」
「ママ。次は大丈夫だよ。もう騙されないから。私も一緒にいい男探すからね。安心して。」
イリヤの父神がとぼとぼと近寄り話を始めた。
「星の管理に失敗した義息子は、儂の星を他の神々で賭けにしたんじゃ。でも、ケイスケが魔王を倒してくれ女神も救ってくれたから、儂の星は救われたんじゃ。そうでなければ、他の神々のおもちゃになっていたにちがいない。後からそのことが発覚して、関係した神々もろとも、反逆神罪で牢屋にぶち込まれてる。もう、アリアともよりを戻すこともあるまい。よかったら、ハーレム王ケイスケよ。アリアもリリアも面倒見てくれないか。いいよなマミー。お主はこの異世界の救世主だからな。」
イリヤは顔が真っ青になっている。
「私は知らなかった。義兄様がそんな・・・私はてっきり、異世界にしてしまった責任を感じて神殿から出て行ったのかと思ってたのに・・・」
百年の恋が冷めたイリヤはアリアとリリアの手を握った。
「アリア姉さま。リリアちゃん。私たちと一緒に旅しようよ。私がいい男神見つけてあげる。なんなら、ケイスケでもいいわ。パパとママもOKしたからね。」
おいおい、イリヤさん。ウソをつかれたとか、騙されたとかでの復讐の形を間違ってませんか。俺は寝とり属性ないですよ。もちろん、寝とられ属性もないけどね。