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17. スイーティーナイト (後編)

「あーあー。いいー。いいわ。あー。すごくいい。」

「可愛いいよ。こっちはどうだい。いいじゃないか。」

「そこは、だめ。いやーん。優しく。噛まないでー。」

「なめすぎ。でも。嫌いじゃないわ。そうよ。そう。」


ごらんのように、ピンクシュレとグリーンシュレは野生の人間・・・もとい、アダムとイブに服を着せようとしている。


楽園?の土から作った魔人間の祖とはいえ、裸でいさせるわけにはいかないが、アダムにしてもイブにしても、知性がたりないのか子犬のようにじゃれてくるらしい。


「なにやってるのよ。服を着せなさい。風引くわよ。」


「さすが、天然ちゃんと計算ちゃん、さりげなく俺たちに、手伝わそうとアピールしてるぜ。」


「でも、あの仔たち。本当にアダムとイブって名前でいいの?男と女でも同じ体から作った双子みたいなんだし、それに、可愛い名前をつけてもよくない?」


俺は意外と、イースの世話好きさと、イースの思料深さに感心した。

それに、サキがいたら、なんて答えるのかなーなんて思ったら、俺は思わず空を見上げた。


「アース様・・・何やってるんですか?そんな上空で?手に持ってるのは、カメラ?」


天界にも、カメラあるんかい!って心のなかでツッコミを入れてしまった。


「これは、なんじゃ・・・カメラといえばカメラだが。記録用に用意したものじゃ。別に、男神達に、アイドルシュレ達の写真を売りさばこうなんて思ってないからな。」


いいっちゃったよ。娘のイースがいるのに・・・拳を鳴らしちゃってるよ。


本気だよ。イース・・・・ボコ。グフ。バキッ。・・・


ほどほどにしなさい。


イヤは卑しく汚い汚物をみるように細目になりながら石を投げる。


「アース様、まさか、アイドルシュレ達とアダムとイブをイチャイチャさせるために、天界の楽園から連れ戻した訳ではないですよね。」


アースの目が泳いでいる。確信氾だな。さすが婦神達の夜の女子会に出禁になっていることだけはある。


そういえば、◎Mパーティーナイトはもとから、男神禁止だったな。と思っていると、アースから以外な事をいってきた。


「天界の楽園から連絡がきたから迎えにいったんだぞ。やはり、無知な魔人間でも、一部の神から怒りを買いかねないとな。だから、ケイスケ、ある程度、知恵を身に着けさせて原始の惑星に放つほうよいぞ。」


ありがとう。アース様。でも、口から血が流れて、ボロ雑巾のような状態をみると、お礼はいいたくないよ。


「それでまず、シュレ達を捕まえて、アダムとイブに服を着させてるんですか。でも、上空から撮影しなくてもいいのでは?」


「いやいや。私も忙しいのでな。他のシュレ達の写真を撮らないと・・・」


「アダムとイブは置いてってください。こちらで対処しますから。」


そういうと、アースの顔から血の気が引いている。頭を殴られているようにも見えている。

わかりやすいよ。まったく。娘が泣いてるぞ。


イースはカメラを取り上げようとした瞬間、アースは用事を思い出したといって消えてしまった。


イリヤも呆れたように、アダムとイブのもとに駆け寄りシュレ達から与かることにした。


「モモ。ミドリ。仕事に戻っていいわよ。少しなら、この仔たちの面倒を見てあげるから。」


そういうと、なーんだというようにミドリは頭の後ろに手を組んで行ってしまった。モモは深く頭を下げお辞儀をして、宝玉を二つ出す。そして、ニコッと笑ってその場から離れた。


イースとイリヤは不思議そうにつの宝玉を眺めている。興味深々のようだ。俺は自慢するように宝玉を取り上げ説明した。


「この宝玉は聖なるオーブと言われるもので、俺が勇者だったとき、ハイエルフから貰ったものなんだ。使い方は簡単でオーブに触れながら、呪文を唱えるとオーブの中に入ることができるんだ。なんと、長寿のハイエルフはこれで睡眠とるんだぞ。お肌の状態から若返りまで完璧にしてくれる魔道具なんだ。乙女の必需品といっても過言じゃないぞ。」


俺は聖なるオーブをアダムとイブに使おうとしたとき、イリヤとイースはオーブを俺から取り上げた。


「まさか、アダムとイブにオーブを使おうとした。」

「違うわよね。婦神達はオールだけど、私たちはちゃんと睡眠とるんだから、気を使って出してくれたのよ。」


イリヤイースも聖なるオーブを使う気満々だな。お前たちどう見たって、見た目が女子高生なんだから美容とか気にするなよ。


「イリヤもイースも、どうしても、オーブを使いたいならもっといいのがあるけど・・・」


俺が言いかけると一歩前にでながら、鼻息を荒げながらすり寄ってきた。


「どうしても、オーブをアダムとイブに使わせたいならしょうがないな。ハイ。」

「で、聖なるオーブよりいいのって何。妻たちに使わせたいものなのよね。」


興奮している2神を見ながら、俺は少し動揺しながら説明した。


「いやー。なに。そう興奮しなくても・・・そうだ。前世でサキが大賢者だって言ったよな。その大賢者サキ使っていた睡眠道具があったんだけど、俺も旅をよくしていたから、携帯できて完璧に体調を整えるアイテムを真似して作ったんだ。それをサキにも使ってもらって、いろいろ改良したんだ。美肌美容効果はもちろん、若返りや大怪我からの再生まで、できる寝具カプセル。サキに言わせると聖なるオーブを参考にした睡眠道具よりもっと上質で優雅な寝具って絶賛していたものなんだ。」


「そんな良い物があるなら、早く出しなさい。」

「そうよ。サキだけ。ずるーい。」


そういいながら、2神は聖なるオーブを俺から取り上げさっさ、アダムとイブを封印するごとく、聖なるオーブに入れてしまった。

俺は本気で怒っている風に見えたが、大きなことに気付いてしまった。


「すまん。多分、今、ここにシュレがいないから<魅惑のスイートルーム>は直ぐにだせないんだ。もう一つ上位アイテムの<魅惑のサロン>は、サキの魔法バッグにあるんだが・・・」


「ううう。サキだけずるい。」

「そうよ。すこし、中学生に見えるのはそのせいなのね。やられたわ。」


俺はそれは違うぞ。とつぶやいた。もとから童顔で幼いように見えるんだサキは。と心の中でフォローをした。


「勘違いするなよ。前世で大賢者と呼ばれる前は、普通の勤勉な魔女学生だったぞ。俺を育ててくれたし。それに魔女だから、変装の勉強を一生懸命していたんだからな。」


「あら、変装という名のオシャレの勉強をしていたのね。だから、妙にブランドにこだわって良い物を身に着けているのね。」


「そうよ。さっきのボンテージファッションも、テラ様が用意してくれたなんていいながら、口紅の色や化粧もオリジナル感かもしだしていたわよね。崩して着こなすとか、シールタツーも決まっていたし。髪の毛も金髪にしていたし、ブルーのカラコンも、外しのカラーに桜色の皮手袋で女の娘を演出していて完璧だったわ。魅惑のサロンって私もほしいよ。」


サキは、魔力が速攻回復するだけの上位互換にしていたけど、女の秘密がつまった魅惑のサロンって絶対改良してると確信してしまった。


「桜色の手袋が血に染まらなければいいけど。そうだ、俺たちのスイートルームを魅惑のスイートルームと魅惑のサロンの機能を付けてつくるよ。それに、レストルームもバスルームも魅惑仕様にしよう。期待していいよ。」


「さすがケイスケ大好き。ありがとうついでに、ウォーキングクローゼットもランドリーもすべて魅惑仕様で作ってね。」


「ケイスケお願いね。家の中全部だよ。パントリーもだよ。魅惑のスイートハウスにしてよね。」


「任せとけ。移動用の乗り物もすべて魅惑仕様にしてやるよ。」


俺に対しての好感度がうなぎ上りになっていくのがわかった。それにしても、アダムとイブは相変わらず、子犬のように走り回っている。


「そうだ、イース。イリヤ。アダムとイブに新しい名前つけようか。さすがに、アダムとイブじゃかわいそうだろ。」


「サキがいないから、名前候補だけならいいんじゃない。」

「そうね。サキの事だから、真名『マナ』は重要とか言いそうだもんね。」

「ポチとタマみたいにつけたら怒りそうだしね。」


俺はサキの顔を思い浮かべた。そういえば、子供の名前を生まれるまで決めなかったとき、殺されそうになったっけ。役所に提出するぎりぎりまで二人でヤンヤと揉めてたな。


俺が遠い昔を思い浮かべた顔をしているとイースもイリヤはぶつぶつ言い始めた。


「お城の名前も、この楽園も湖も名前がないわね。」

「ダンジョンコアファミリーも名前を付けてないよ。決めることいっぱいあるわね。」


なんとなく気が重くなったので湖の近くに走っていった。俺は、湖畔に腰をおろし天を仰いだ。

「イリヤー。イースー。考えるのはやめだー。こっちに来いよ。空でも見ようぜ。」


俺たちは、腰を下ろして空をみた。時空のハザマのこの世界でも、空の一部も世界から切り離されているようだ。朝も昼も夜もある。月の欠片や星の欠片もある。当たり前のように太陽の欠片がこの世界を照らす。はみ出し者たちの世界でも、世界を創る。


時間が忘れ去られた世界で、生きていく者達を永遠にする世界・・・


イースとイリヤの手を繋ぎながら、無い時・無の刻から必死に同じ時間と感じようとしていた。


そんな時だった。

バシャバシャ、バシャバシャ・・・。と、湖面を走ってくる。


「主様、このシュレ達が必至で働いているのに、見せつけるように寝てるんですの。」


俺の顔を上から覗き込むようにブルーシュレがいた。ラッキーとばかりに、ブルーシュレに手を伸ばした。


「アイ、いいときに来た。かつて俺が使っていた魅惑のスイートルームを出してくれ。」


アイはしまったいう顔をしている。なんかやな予感がする。


「あはは、魅惑のスイートルームは壊れてしまいまして・・・」


「ホントの事をいったほうがいいぞ。アイ。いや、シュレ、お前使ってるんだろ。」


「すいません。ついつい。出来心で。あんなに素晴らしいアイテムはないので、この約90年間欠かさず使っております。」


「わかったよ。魅惑のスイートルーム好きに使っていいぞ。その代わりに、俺は新しいのを錬金するから・・・そうだ、サキの魅惑のサロンの秘密について知ってるか。」


「それはもう。できれば私も欲しいぐらいです。だからこそ、サキ様の魔法バッグを・・・


狙いはそれだったのね。シュレ・・・そんなに乙女心をくすぐる一品なのか。


俺は、シュレが知っている魅惑のサロンの秘密と、こんな効果がほしいなどという、妄言を聞いて、神聖魅惑のロイヤルスイートルームを急造した。


「ケイスケすごい。あっという間ね。」

「凄すぎッていうか、あんたが使ってる、錬金魔法部屋って時を止めてるのかい。」


「よくわかったね。これも魅惑仕様で疲れ知らずなんだよ。それに、携帯カプセルタイプで持ち運びも便利だからね。」



そんな会話をしていると、アイは喜びの舞を踊りながら、仕事に戻っていった。


イリヤとイースはジーッと俺を見つめた。


「貴重なアイテムを使うのでがっかりしてたから、ついでに、端材で、シュレにやる魅惑のスイートルームをリホームしてやったんだ。」


「どんな風にしたの?」

「まさか、サロンの性能つけたりしてないわよね。」


見透かされている。さすがだよ。当ってます。


でも、新調した魅惑のロイヤルスイートルームを味わってしまえば文句はないはず。俺はおもむろに魅惑のロイヤルスイートルームを展開した。


「奥様たち、シャンパンを片手にアロマスチームエステはいかがですか。快楽というマッサージのご用命はこのケイスケがとりおこないます。」


この言葉で勝ち誇った顔でサキを呼びに行ったのであった。


その後、すっきりした顔の2女神はもちろん、サキも眠れる野獣に変わってしまったのはいうまでもない。


神聖魅惑のロイヤルスイート・・・恐るべし。

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