表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/26

13 悪神の影

迷宮の卵が盗まれたお話しです。

そして女神イースは?

「迷宮の卵が盗まれた~!」

「どーすんのよ!」

「犯人はだれ!早く見つけないと!探しにいこうよ。」


俺たちは男神達同様に婦神達の男あさり・・・ちがうちがう・・・悪魔捕獲狩りを観戦している。


小学校時代に運動会の玉入れの練習の時、互いのチームがムキになって、もう一度やり直しを繰り返すように、時間を何度も巻き戻していた。


はたから見れば悪魔の方を応援しそうになっている俺たちがいる。


ガンバレ悪魔!


心の中で、婦神達の蹂躙という名の悪魔調教を目にすると、絶対に逆らってはいけないという深層心理が働くのは気のせいだろうか。


俺の妻たちはというと不敵な笑みを浮かべながら手を叩きながら興奮している。


さすが閻魔コウキはいい仕事をする。出来のいい結界・・・時空間制御神術は霊魂の状態でも肉体を創り、苦痛や汗・涙・血さえ流させる。


傷つく乙女は助けたくなるし、汗かく女神は素敵だ。


でもどうやら違うかも、悪魔が血反吐を吐くたびに目が輝いている。


ふー・・・気にするのはやめよう。


迷宮の卵をなくなる瞬間を確認しようにもいろいろな物が目について気になってしまってそれどころではない。


俺たちも参戦しないといけないと考えていると、周回を重ねていた悪魔狩りが終わりを告げた。


俺たちは立ち上がり慌てていた。

「迷宮の卵が盗まれた~!」

「どーすんのよ!」

「犯人はだれ!早く見つけないと!探しにいこうよ。」


艶やかに艶やかになった婦神達は汗をぬぐってこちらに来た。


妻たちは羨望の眼差しを向けた。


「カッコいい。ファンになりそう。」

「テラ様、御召し物が汚れていますわ。天使の羽で織ったタオル使ってください。」

「フォス様もお飲み物が用意しております。それにこちらの服に着替えてください。」


俺は心の中で妻たちを見て大女優が微笑んでいる!と羨ましく思ったのは言わないでいよう。


っておい。話がそれた!

「迷宮の卵が盗まれたんだ!もう一度、悪魔狩りをしよう。俺も参加する。」


そのとき、婦神のあとを追いかけるようにブラックシュレが戻っと来た。


「ご主人様、何を慌ててるんですか。」

「クロ!お前の目の前で迷宮の卵が盗まれたんだぞ。慌てずにいられるか!」


ブラックシュレは無表情のままというか、何事もなかったようにシュレ軍団が接待している神様たちのところに行こうとした。


やはりそういうことか。ニブイ俺でもなんとなくわかる。

「犯人がここにいました。サキ!イリヤ!お前たち調教ってものをしてみたくはないか!」


クロは忍者のように姿を消した。と思ったら、猫の首をつかむようにイースがクロの上着の首袖を指先でひっかっけていた。


「その調教とやら、私も参加してもよろしいかしら。いたずらにはいたずらで返してもいいですわよね。」


「あきらめろクロ。みんな何か無性にいじめたくなる衝動にかられているんだ。しばらく大人のおもちゃの気持ちになれ。」

「助けて~」


キャットファイトは俺だけではなく。男神達を喜ばせたことは間違いなかった。

それもそのはず、暴れ足りなかった婦神もムチを取り出し参加しだすとか・・・カオスです。


地球神アースが俺の隣に来て、これはこれで生中継してもいいかな、なんて言い出す始末。


思わず俺はこけてしまった。


「やっぱり、さっきの様子も神々に中継してたんですよね。」

「ははは、ばれた。反響が凄いし、いい稼ぎになるんだよ。」


この神はホント悪びれないな。まあ、神様のやることはすべて間違いないからいいのか。

俺は無理やり納得した。でも・・・稼ぎって賭けまでしてないよな。今度確認しよう。


そのときテラが横に来た。

「パパ。倍率はどう。次はクロが犯人の場合,5倍より下がった?」


胴元と仕掛け人がここにいます。やらせ確定してますよ。絶対、賭けてるよ。思わず俺は喉からでそうだった。


「あのー・・・すいません。この茶番はなんでしょう。」


俺はコントを見ているようで思わず頭に?マークを浮かべながらテラに聞いた。


「そういえば、打ち合わせきいてなかった?ケイスケは寝てたっけ?」

「おいおい、いつの間にか俺?共犯?ってどういうこと?」


テラは俺の胸ぐらをつかんで耳元で低い声で囁いた。


「何を言ってるのかケイスケさん。作戦よね。作戦。わかってるよね。」

「イエッサー!大佐!作戦あります。指令内容がうまく伝わっておらず・・・」

「言い訳はいらないわ。もう一度説明するわね。」


優しく女神テラは教えてくれた。作戦とは御使いや迷宮の卵が強奪される可能性があるからアースと相談して神々に大々的に注目させるというものだ。


中継内容の賭け事もその一環だ。


そして、今回の迷宮の卵は興味があったシュレが分身して、誰かが盗むというものだ。当然、一番側にいるクロが犯人なのは間違いないが、それだけでは本当に盗む奴の正体がわからないから、偽物を仕込んでいるとのことだった。


「まー見てなさい。偽物はすでに盗まれているから、今からクロに接触する中に本物の迷宮の卵を盗む奴がいるかもしれないからね。ちなみに本物はすでに私が安全な場所に移したわ。」


「そういうことなら、わかりました。任せてください。二つ目の偽物の迷宮の卵を盗ませるように仕向ければいいんですよね。」


俺は少し安心した。しかし、1個目の偽物を盗んだあそこにいた悪魔も婦神達が押さえているから、神達に紛れているかもしれない何者かをあぶりだす作戦を実行する。でも本当にいるかわからんが女神テラのいうことだから間違いないだろう。


「ブラックシュレが盗んだ犯人だぞ。本物の迷宮の卵をかえせ。さっきなくなったのは偽物だろう。本物をかえせ。本物の迷宮の卵を・・・誰か、そこのクロいシュレを捕まえてくれー!」


少し演技が臭かったが、犯人はもれなく釣れてしまった。


俺の声とともに、レッドシュレの影から素早く飛び出した何者かが、ブラックシュレから何やら盗んだ。そして、そのまま、影の中に消えていった。


アイドルシュレ達は一つ戻った。女神テラは親指を立てて、俺にウインクした。俺は頷きシュレを保護した。


先ほどまでのキャッツファイトに騒いでいた神々もようやく、この状況になり冷静さを取り戻した。


アイドルシュレでなくなって男神達はテンションも下がる。


女神イースは大声で叫ぶ。

「悪魔がまだ潜んでいるかもしれないぞ。アダムとイブを守れ。」

女神イースの眷属たる天使たちが現れ、祝福を与えたアダムとイブを保護するように天界に消えていった。


それを合図に後からきた神々も天界に消えていった。


最後に残った婦神フォスもウインクして帰っていった。

「捕まえた悪魔の中に最初の偽物の迷宮の卵を盗んだ奴がいるからいろいろ聞き出しておくぞ。それに、悪神の調査はしとけ。またな!」


「え?えっー!!悪神も紛れていたの???かなりやばかったかも。」


イリヤは飛び跳ねて驚きながら女神フォスを見送った。


「悪神がからんでいるそうよ!」

「悪神?って何者?」

「そこから~。まあ、いいか。教えてあげる。魔神、邪神、悪神の違いって判る?」


俺はいきなり悪神についていわれたので、何が何だかわからなかった。同様にサキもわからなかったがイリヤが説明してくれた。


悪魔がある者たちに崇められると・・・

例えば悪魔達に崇め信仰されると魔神として祀られる。その信仰の力で悪魔は魔神に変わるのよ。


同じように例えると、邪神の場合は天使や精霊の類が人々に崇め信仰されるとその信仰の力で邪神に変わるのよ。妖怪の場合は怪神と呼ばれる場合もあるのよ。


でも悪神は全く違うのよ。人に災いや害を与える神のことを悪神というのよ。

戯れのすぎる神様なのよ。悪気はないのが厄介なのよね。


俺はやなことを考えてしまった。

「神々の中に悪神が混ざっていたかも・・・狙いは、アダムとイブ・御使い達・迷宮の卵・・・まさか全部!!戯れがすぎるぜ。」


サキは冷静にしていたが少し怯えたように言った。

「私たちが目的だったかも。とりあえずシュレを調べましょう。神々と一番接触したからね。」


閻魔コウキも近くに来ては現在の状況を話した。


「大地はすべて、迷宮の卵になりました。私の時空間神術の効果は先ほどの悪魔捕獲が終わったので解きましたが、魔結晶の一部に映像と時空間神術を封じてありますから、気になることがあれば、もう一度体験することも可能ですのでご承知してください。何かヒントになるやもしれませんので。」


さすが抜かりないな閻魔コウキ。多分、悪神がいたとしても証拠は残さないだろう。身代わりにやらせたかもしれんが・・・


そして、シュレも駆け寄ってきた。

「女神テラ様。それにご主人さま。仕込み完成しております。やはり、偽物の一つは煉獄に運ばれました。それに、影にもっていかれた偽物は異世界のとある魔王のもとに運ばれました。」


GPSがついてるのか思うぐらい素早い対応に俺はびっくりしたが、さすが式神だったシュレ、隠密事はたやすいのであろう。


女神テラは頭を抱えながら答えた。


「やはり、煉獄にいった最初の卵は邪神がらみか。新たな異世界を作りたいのであろう。2つ目の卵は厄介だな。間違いなく悪神だな。ダンジョンを増やし、人間に厄災をもたらせたいのであろう。それも陰から魔王さえも操っておる。どうしたものか。」


地球神アースは笑いながらテラに話しかけた。


「ケイスケ達はちょうどハネムーン中だろ。いい刺激になるから、ついでに異世界も煉獄も行かせたらどうかな。ネギでも背負わせてさ。」


「それをいうなら、甘い蜜をもってきますよ。ハネムーンだけにね。」


俺は悪魔達があえて残した12の霊魂やそれに御使いの秘密、それに魔人間の祖となるアダムとイブに、迷宮の卵・・・ハネムーンどころか大冒険にもなりそうな予感に胸を躍らせていた。

イリヤもサキも興奮が止まらないようでのろけだした。


「異世界ハネムーンアドベンベンチャーって、ケイスケっぽいね。ロマンティックでありハードボイルドも満点だわ。癖になるかも。」


「そうそう、出会いも完璧で女の子も男の子も増えたり、ハーレムっぽいし。ハネムーンにしてはエロティックだよね。それに、ミステリー要素も加わってなんか神秘的で奇跡待ちもあるかも。ちょっとや、そっとでは、やめられないわね。」


そんな会話をしていると、閻魔コウキは恐る恐る切り出した。

「身の危険が迫るかもしれません。奥様方。もしよろしければ、拠点をきめてみてはいかがですか。この時空の狭間という不安定な場所を行き来されるには、そのたび危険がふえるやもしれません。ですから、本物の迷宮の卵をお使いになられては?」


そういうと、女神テラは本物の迷宮の卵をこの時空の狭間に開放した。


「ケイスケよ。いつでも迷宮の卵は元に戻せるから安心しなさい。それに、時空の狭間に迷宮の卵を使ってお前の神殿を創れば、いろいろな異世界に冒険にいけるぞ。」


俺は女神テラこそ俺にとって悪神ではないかと・・・あまり深く、これ以上は考えるのはやめておこう。


それに、時空に放った迷宮の卵を恨めしそうに見ているシュレが、何だか可愛く見えたからOKにしよう。


そして、シュレが物欲しそうな目から物欲にまみれた目に変わった。


「卵が神殿や楽園になって、いろんな異世界に繋がれば・・・大量に変わった珍しいお宝が・・・ウヘェウヘウヘウヘェ」


シュレさん心の声がダダ漏れだよ。痛い娘だよ。


「いろいろな異世界の季節に合ったリゾートや観光・・・そして、珍しい料理においしいグルメ・・・ウヘェウヘウヘウヘェ」


こっちにもいたー!!女神イース!!こっちに、もどってこーい。

サキもイリヤも新しい楽園に神殿という我が家が手に入ると喜んでいる。


負けましたわ。どーにでもなれー!!半分俺も喜んでいるのは確かだった。


それにしても当初の目的を言わずにはいられない俺がいた。

「女神イースさん。ご希望の勇者は手に入らなかったけど、代わりに妻子もちの俺じゃダメかな。」


女神イースはアースとテラの前でプロポーズともとれる発言に顔を真っ赤に染めた。

「しょうがないわね。勇者が手に入らなかったから許してあげるわよ。ケイスケでいいわよ。」


ツンデレですよイースたん。ちょっとかわいくおもってしまった。


それを見て妻のサキとイリヤは釘を打つように止めをさす。


「悪魔がなんの目的で絶滅寸前まで残したの呪われた12の霊魂じゃ、勇者は難しいしね。それにアダムとイブを預けても悪神の影もあるからね。しょうがないか。」


「そうそう。御使い達のこともあるし、異世界の魔王も関わってほしいしね。もしかしたらいい勇者が現れるかも。そのときまでならいいかもね。」


サキもイリヤ達はなんだかんだいっても、女神イースを認めている。まーパーティーメンバーとしてだろうが・・・でも、女神テラとアースが描いた結末もそうだったかもしれないしね。俺は神々が羨むような男気を見せてやるぜと誓った。


そして、みんなのいる前で大声で叫ぶのであった。


「シュレ、閻魔コウキと供にまずは迷宮の卵を孵化させるぞ!そして、イース!俺たちとハネムーンアドベンチャーしようぜ。シュレも頼むぜ!」


「愛してるはケイスケ。」

「わたくしもご主人様。」


照れながら女神イースはつぶやいた。それに続くシュレ。


同じようにサキもイリヤも大声で叫んだ。


「愛してるケイスケ!!」


俺たちの絆はより深くなっていった。

次回は拠点づくりのお話です。


毎度変わらずブックマークのお願いです。

出来ればご評価していただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ