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11 迷宮の卵(中編)

今回は御使いの説明回といったところです。

設定がややこしくて申し訳ない。


「魔王がいないダンジョンってずるくない!」

「そうよ、そんなロマンチックな迷宮あったら私が囚われのお姫様になりたいよ!」


イースとイリヤが喰い気味で俺と女神フォスの間に入ってきたが、すかさず女神テラがサキとイリヤのパンツを引っ張っていた。


女神テラは軽くお尻を叩きながらニヒルに笑った。


「オホホ。やだはしたない。女神がそんな風にしてはいけませんわ。」


「お母さま。すいませんでした。つい興奮してしまったもので。」


「テラ様、私も以前ダンジョンに封印されていたもので。いやはや。ははは。そうだ、言い忘れましたわ。封印されていた御使いは何とか堕ちずにすみました。よかったです。」


俺はイリヤとイースの喰いつき気味で引いていたが、一緒にその光景を眺めていたサキも興味がわいたらしく、落ち着き払っていた先ほどの態度を一変させて、目を輝かせながら女神テラとフォスに尋ねた。


「急にすいません。女神フォス様。それに女神テラ様。無知な私にも教えていただけませんか。取り急ぎ、御使いって天使様のことですよね?羽もあることですし・・・」


女神フォスはサキの質問に少し呆れていたが女神テラはサキの頭を撫でながら答えてくれた。

「聖女サキ・・・いや、もう天界人サキといった方がいいか。サキよ。天使、御使い、神徒、使徒の違いがわかるかな。そうだ、側近、侍従、使者、従者の違いの様だといえばなんとなく理解できるだろ。」


頭の良いサキは初めてクイズが解けた子供の様に手のひらに握った拳を叩いた。大きく頷き、ひらめいたようだ。


「テラ様、天使は神の兵だから側近としたら、神徒は神獣の類だから使者、そして使徒は当然、従者。残る御使いは神様の身の回りをお世話するメイド・・・侍従的存在ですね。」


女神テラは微笑んで頷いた。女神フォスも腕を組みながら一回転しながらニコニコしながら説明した。

「よくできました。神々は楽園の土で神に似せた人間の祖を創った話しは知ってる。でも創造物の最高傑作は天使なのよね。この違いはわかるわよね。神の兵としての天使。神の身の回りのお世話や神の代行をする御使い。武力は天使の方が勝るかもしれないが、神の代行者たる御使いは神を神たる存在にしえるものといえる。優秀な御使いを持つ神はそれだけ格が上なんだよ。」


少し悩んだようにサキは質問した。

「そんな優秀な御使いが何で滅亡寸前の土地に封印されてたのかしら。」


その質問なら俺が答えてやるサキ。

「天使も御使いも神様を愛しているんだ。愛深き故に囚われの身になったんだと思うよ。」


女神テラは遠くを見つめながらサキの手を取った。

「天使は聖なる存在に恋するのよ。例えば創りし神以外にも、人間の女・・・聖女や修道女に恋する者なのよ。でも常に神の側にいて、神の身の回りもするメイドや侍従のような御使いが恋するのは、やはり美しい女神や男神なのよ。でも、たまに美しい天使にも恋するけどね。」


「でも、神の近くにいるなら囚われの身になるなんて・・・いや・・・悪魔って元は天使ですよね。まさか、恋した天使が悪魔に・・・堕天使を追いかけて・・・」


俺はサキの落ち込んだ顔を見たら少しやるせなくなった。何とか明るい顔がみたいとおもった。そしてつい口走った。


「元気になった御使いに新しい恋をみつけてやろうぜ。サキ。そうだ、御使いの為にリリスを創るって言ってたから直ぐに立ち直るよ。」


女神フォスは俺が臭いセリフを言ったもので、人差し指で突っついた。


「知ってるかしら、神や女神も死んで代替わりするときがあるのよ。例えば、神が穢れて神堕ちするのよ。もしかしたら、御使いが美しい女神の為に禊をおこなって力が失い、自ら封印たりしてね。」


会話の途中で踊りだした女神達・・・イリヤとイース。

「そうよね。イケてる御使いなら、己の身をかえりみず女神に捧げるよね。なんてロマンチック話しなのー。イースも早くそんな御使いを見つけなさい。」


「ふんだ。私のことなんて…今からですわ。それより、本当のところ、あの御使いの話しが聞きたいですわ。」


その場にいた女神達全員大きく頷いたが、女神テラだけは御使いを指さした。


「地獄の破壊者・・・悪魔の救世主・・・悪魔王ルシファーの肉体とともに復活させる計画に使われる死滅大地に封印された御使い・・・危険な香りしかしない。理由はともかく、神離れした御使いには監視が必要なのよ。四六時中の監視よ。だから、清らかな妻を与える方がいいのよ。」


女神フォスも同意したように話した。

「そうよね。アース様たちも死滅の大地から何とか新たな種をつくるみたいだしね。」


そういうと、神々が今やっていることについて女神テラが神の御業の説明をしてくれた。


悪魔たちが用意したベースの大地プラス、12の滅亡直前の異世界の大地がくっつきたデスゲーム会場となった大地からの希望などの奇跡に繋がる思い・温もりの回収


悪意、悲しみ恨み・・・不の感情の回収


悪魔の体から霊魂や業といったカルマを凝縮させ魔結晶を作る


死んでいった人間や血・肉、そして悪魔(元天使)の体を大地に戻す。同時に12名の使徒および御使いの御霊を回収


13の滅亡の大地を融合させるために集めた穢れと呼べる流体で大洪水をおこす。


大地に中心に魔結晶を沈める。大地にあふれ流れている穢れとともに、魔結晶にすべての穢れと呼べる流体を取り込む。


楽園と呼べるほどによみがえった大地から男女の魔人間の祖(魔法がつかえる人間)を創る。(寿命は約1000年生きられる。)


元天使(悪魔)と御使いの体が朽ち、大洪水で清められた大地に一滴の願水と迷宮の呪符そして,希望の塵灰で大地を『迷宮の種』に変える。


俺たちは質問を重ねながらテラとフォスに質問し続けた。そして、そんな止めどもない、会話をしながらも、俺たちは疲れが出たのか一人二人と気絶したように寝てしまった。


俺は、騒がしいさに目が覚ました。すでに、サキもイリヤ、そしてイースも起きており、神々とともに騒いでいた。


その光景はうらやまけしからん光景といってもいいかもしれん。

裸の魔人間と光り輝く御使いが新たな体とともに光だし、神々に囲まれながらも抱き合い、愛の言葉を交わしている。


今一状況が飲み込めないので、やじうまのように囃子たてている地球神アースに尋ねると今まさに新たな生命が産れるかもしれないといった。


「大変!産れる!今にも産れそうだよ!」「慌てないで!ゆっくり!大きく深呼吸して!」「これぞ!まさにこれぞ神秘!」


サキもイリヤもイースも興奮しっぱなしである。冷静に閻魔コウキに状況を説明してもらった。


俺達が寝てしまって約12時間で大地を覆った洪水が引き、大地が清められた。大地が光りだすと自然と穢れといえる物が大地の奥深く沈んでいた魔結晶に吸い上げられた。


そして、神々が大地に降り立ち聖なる光を大地に注ぐと、男女の魔人間が産れ現れた。男はかの地に堕ちた有名な大天使に似せて創られた。それは、悪魔に落ちてしまった天使達に敬意を払うためでもあった。


女は美の女神の座をほしいままにした女神と、その座を争うほどの美貌を持った女神を足して2で割ったような、美の女神達のいいとこどりをした絶世の女神を彷彿させたようだった。


こんな女神がいたら惚れない男神はいないだろうと思ったが、多分、神々たちの願望のたまものであろうことは確かであった。


その男女の神々しさ、さえ感じさせる魔人間は神の姿を感じさせるほどであった。


御霊魂の状態の御使いはいち早く反応した。失った依代となる身体を作り出した。

男の近く行くと髪をさわり、膝をつかせた。手に絡みついた髪から新たな女性を創りだした。その女性は男と双子のようであった。そして、男と女性の背中にとある紋をそれぞれに与えた。


互いのとある紋が光ると、男と女性は一言つぶやきあった。幾久しくと・・・


御使いも二人を見つめながら信託を与えた。

「12人の子を授けよう。その子たちと出会う者に幸あれ。新たな大地に神が再び降臨できえますように。」


その言葉とともに神々しい美しい女が御使いのもとにひざまづいた。そして、御使いの足の甲に口づけすること願い出た。御使いは優しく女の手をとり、立つようにうながし、そのまま、抱きしめ口づけした。


女の背中にとある紋が浮き出ると光り輝き始め、黄金色に輝く透き通る羽まではえてきた。

そして、二人はより強く抱き合った。ときに強く、ときに優しく、愛の囁きとともに。


側にいた神々は二人の愛を喜び合った。祝詞のような祝いの歓声とともに新たな命が生まれるのを神々は感じた。


俺はようやく愛の奇跡を目の当たりにしていると感じたとき、サキとイリヤが俺の腕を強く組んでいることにうれしく思った。


そして、空から光が御使い達を包んだとき、新たな小さな生命とよべる神使が創られた。

次回は迷宮の卵が完成します。

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