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天使の言の葉  作者: 鈴呂
9/15

9 夢

 発信プルルルル カチャッ

「はや!」

 早朝三時だというのにワンコールで素早く取った相手はbebe姉、朱李はおつとめを終え璃子のマンションを後にbebe姉にスマホで連絡。「おわたよ、べべ姉」


≪朱李ちゃぁぁん お疲れぇぇ怪我はなぁい?≫

「うぃ」

≪明日は、お店休みだからゆっくり休むのよん、おやすみちゃぁん≫

「おやすみね、べべ姉」仕事が終われば必 連絡。これも決まり。


 朱李は【暗中飛躍あんちゅうひやく】も終わり、夜が明けぬうちに帰途につく そして向かった先は見上げただけでは、最上階まで見えないくらいの高級マンション 十分過ぎるほどのセキュリティーを解除し中に入って行く。

 乗ったエレベーターは、最上階に止まり、我が家に到着。

 玄関のドアを開け室内は真っ暗、朱李は汗ばんだ服を徐に脱ぎ捨てバスルームへと向かう。

 軽くシャワーを浴びて体にタオルを巻いたまま寝室へと向かった。朱李は裸のままベットに潜り込。

 布団の中で、もそもそとしているうちに、いつもと状況が違う事に気付く。


  「うにゃ?」


 何か居る。朱李は悲鳴を上げベットから逃げるように落ちた音が室内に響く。

 そこに先に寝ていたのは可憐、眠そうに眼を擦りながら、明かりを点けると可憐の横には藍唯が、寝ていた。


「朱李? おかえり」


 ――――か、可憐! 誰かそれ!


 朱李は吃驚した表情で、藍唯に向かって指を刺した。驚くのも仕方なく朱李と可憐は同居で、しかも同じベットで寝ているという仲。 其処に藍唯という知らない人間が寝ていれば当然のように朱李は驚く。可憐は、口元に人差し指をくっ付け「しー」と静かにという合図を送る。そして、藍唯は寝たまま二人はリビングへ移り、可憐は朱李に藍唯が何故ここで寝ているかということを説明した。

 それは、藍唯が今日から家族の一員になった事


 絆――――


「藍唯ちゃんいうのか? 可愛い家族ができたよ」 

「そうね ってどうでもいいから、なんか羽織りなさい朱李、せめて下だけでも」

「うひひ、私の裸に萌えたか、可憐」 可憐は、赤面し顔をそむけた。 

「きゃははは 可愛いな可憐」

「わ、私は、明日仕事だから寝るよ!」そう言って不貞腐れ可憐は寝室に戻る。朱李は其の後姿を見ながら「うふ、怒った」

「さて、朱李も藍唯ちゃんと可憐と一緒に寝る。 藍唯ちゃんとは、明日遊ぼう」

 朱李もそう言って寝室に向かう。まだなにも着ないままで。

 可憐 朱李 そして藍唯三人が同じベットで眠り、その日、藍唯は初めて【いとけない】笑顔で寝ていた。



 


 東雲、板金塗装小虎屋***


 


『慈雨』


 俺を呼ぶ声 誰だ……


『慈雨ご飯だよ。 起きて慈雨』


 お前は、藍唯。 お前……声が


『ん? 声がどうしたの?』


 藍唯の声が聞こえる。 そして今、俺の目の前にいるのは裸のままエプロンだけを着けた藍唯。


 お前、なんて格好してるんだ!


『慈雨が、喜ぶと思って……似合わない?』


 いや、全然似合ってパねえ。


『嬉しい』


「あ、藍唯!」


   ―――夢。


 目が覚めた慈雨は、何故か自分の叫び声と共に、両腕をあげたままの起床。

「夢か……」

 慈雨は、腕を下ろし我に返ったように周りを見渡して起き上がった。『なんて夢だよ』客観的に捉えた自分が恥ずかしくなり、赤面。

 昨日の出来事が脳裏から離れない、藍唯が女の子だった事が、慈雨にとって相当衝撃的だったのだろう。 ベットから起き上がった慈雨は、煙草を銜え火を付ける。時計を見ると時刻は六時半、外は晴れ、すっかり明るくカーテンの隙間から日差しが差し込んで蝉時雨が始まっていた。 

 今日は【恒例の十五日】Brigitte Bardotはお休み。  

 スマホを見るとbebe姉からのメッセージ。

≪夜、七時Brigitte Bardotにて集合。キスマーク≫


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