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すわんぷまん  作者: SAME
22/33

1回の張り込みから(1)

 家電量販店(こんな小さな町にも進出してきてる)に向かいデジカメやICレコーダーなんかを購入した後、バッテリーの充電ついでに図書館で当日の天気を確認した。風向は西、風力弱め……風がそんなにないんじゃ、汚染物質が飛んできた可能性も低いかもなぁ。


 充電完了まで漫画を読んで時間をつぶし、図書館を出たのは大体3時ごろだった。


 はー、もうこれだけで帰りたいな。すげー充実してる休日じゃんか。


 でもそんな訳にもいかない。予定通りに動かないと。


 目をつけていた大きな木は、松ではなくオンコ(イチイ)だった…チクチクの心配はないが、はじめに手頃な枝がなくて、登り棒のように手足だけで進まないとならない。俺はデジカメだけポケットに入れて、後の荷物は根元の隅に置いておくことにした。


 流石に息切れがするころ、ようやく座っても大丈夫そうな場所へたどり着く。俺は命の危険を感じながらも片手で双眼鏡を構えた。


 いたいた…。


 白いワゴンだ。けれど駐車場じゃなく棚橋さん家の真ん前に止まっている。昨日は駐車場出入口に陣取っていたようだけど、ただ場所を移動しただけなのか?まさか、婆ちゃんを連れてこうとかしてるんじゃ…て、んな訳ないか。さてと、いつ動くかな?



 10分ぐらいたって、大分飽きてきたころ。


 車が急に動き出した。見失わないように、慎重に双眼鏡を動かす…えーと、南東の方…なんだ、やっぱ風向まったく関係ないじゃねーか!やがて、大きな建物の陰になって車は見えなくなってしまった。

 むこうは町はずれだ。車はそんなにスピードが出ていなかった。ということは、大体あの辺に『基地』なり『アジト』なりあるのか。どうするかな、近くまで見に行った方がいいかな。

 …あまり遅くなると学校に潜り込めないから、もう戻るか。


 深追いは行けない。なんせこっちは素人だからな、最初の張り込みなら、このぐらいの収穫で充分だろ。


 そろそろ枝地帯を抜けて幹だけになるから、足元を確認しようと思ったその時、ふと、下の方に黒い物体があるのに気が付いて首を伸ばすと、そいつと目ががっちりあった。黒い服にオッサン顔…その手には置いておいた俺の荷物を持っている。


 「…あ」

 「あ、お前は今朝の!」


 やっべー!!武闘派黒集団のオッサンじゃん!!


 「そこで何をしているんだ。こら、降りて来い」

 「なんだよ、降りれと言われて降りる奴なんかいるかよ」


 俺は慌てて上へ移動して、枝に腰を下ろした。


 危なかった。もう少し気付くのが遅れていたら、枝もなんもない幹にしがみついた状態で男とやり取りしなきゃならなかった。それは手が痛すぎる。

 黒服は木の周りをグルグル周った。しかし、適当な足をかけるところが見当たらなかったのだろう、やがて悔しそうにこちらを見上げている。(登り棒は苦手らしいな)


 男がいつまでも動かないので、俺は声を張り上げた。

 「何でこっちに構うんだよ、オッサン仕事しろ仕事!」

 「ここに来たのは不審者をみつけたからだが、それがお前だというのはどーも怪しい。何か隠していることがあるだろう。大人しく白状しろ」


 「押入り強盗がよく言うよ、こっちは善良なる一般市民だぞ!」

 「一般市民がそんなことするか!」

 「することもあるだろ!」


 どーすんだよ、この状況。


 飛び降りるか?……だめだ、死ぬ。高くて死ぬ。せめてもう少し幹を降りなければ。そこら辺の人呼ぶか?第3者がいればおかしなことはできまい。誰も居なけりゃ、ここで夜を明かしたっていい。あのオッサンは木に登れないみたいだし、降りなけりゃどってことはないさ。


 ――ん?


 「……そうだ。後ハシゴも持て来てくれ…では」

 オッサンは電話を切ると、ニヤリと勝ち誇ったような表情を見せた。


 うわあああ!! 仲間呼びやがったー!!


 まずい、早く考えないと。


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