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すわんぷまん  作者: SAME
12/33

伝播が目ざめるとき(午後2)

※※※※※


 何とか内海先生の課題を終わらせて、次のレポートに取り掛かるころ。雄一がふと顔を上げると、あの怪しい白つなぎの一団が駐車場を去っていくのが見えた。あんな空き地に長いこと居たものだ。2~3時間は余裕で経っているだろう。

 前かがみになって一団の進行方向を見てみると、白いバンが歩道を塞ぎ止まっていてスライドドアが開けっ放しになっている。白いつなぎの3人は車に乗り込むでもなく、その横で何やら相談している様だった。


 (完全に不審者だな。警察呼ぶか・・・ん?)


 スライドドアの奥、後部座席の足元に置かれているカゴの中・・・あの中にいるのは、佐々木さんとこのテモ助ではないか?ネームプレートがバカみたいな・・・いや、独特の形と色をしているからすぐわかる(あんなの2つとない)


 雄一は窓の外を睨みながら、通報するか特攻して取り返すか迷った。大体、警官が来る前に去られてしまってはどうしようもない・・・と、相談が済んだのか、白つなぎ達がバラバラに散った。そのうちの一人が棚橋さんの所へ行くのが見える。聞き込みってやつか?


 何にせよ丁度いい!人がいない今のうちにネコを・・・!


 持ちうる限りの瞬発力で玄関まで走り、戸を開けると、酷くびっくりした顔の男が現れた。白いつなぎ・・・あいつらの一員か。


 チャイムが鳴るのと雄一がドアを開けるのが同時だったのだ!


 「!!・・・あ、あの突然失礼いたします」

 「!!・・・あ、いえあの、どうも」

 (おい・・・自分で言うのもなんだが、どうもってなんだ、どうもって)


 「え~、私、気象関係の者なんですが、この前の雷についてね、お伺いしたいと思いまして、ええ、この辺のご近所を回っているんですが」

 「はぁ」

 (気象関係だって?関係ってなんだ、関係って。すっげー怪しい、怪しすぎるだろ)


 先に警察に電話だったか。


 雄一は大いに後悔したが、その表情を『不審』と見て取ったのだろう、白つなぎはすばやく用件を切り出す。


 「何か、ご家庭でありませんでしたかねぇ?ええ、停電、とか、漏電、とか。え~TVが壊れた、とか、もっと他にとか」

 「ございませんね」

 「ございません?」

 「ございません。第一、雷があったことなんて翌日知りましたし。それも駐車場のコンクリが焦げたような色をしているから、って理由だけで、本当にあったのかどうかわかりませんよ。単なる噂だと思っていました」


 「雷以外ないでしょ」

 そっけない雄一の返答に、妙に鼻息荒く白つなぎが否定してきた。


 「だって、焚火でもしたのかもしれないし、花火の跡かもしれないし」

 「は~最近の人は夢がないなぁ」

 夢ってなんだ、雷に夢もヘチマもあるか。


 どこからか、おかしな節の曲が流れてきて、白つなぎがポケットをまさぐった。男は画面を確認すると、雄一に片手をあげて詫びる。


 「ええ、ちょっと失礼」

 このまま玄関の外に追いやって締め出してもよかったが、一寸この白つなぎの狙いに興味を感じて、このまま通話をさせてやることにした。

 大体、何者なんだ、こいつらは。猫泥棒にしちゃちょっと大げさすぎるような。


 「ああ、手短に・・・何?・・・2人?「り」ってことは人間、か?本当か。それはどこだ?」

 白つなぎの声が上ずった。慌てて、ずり落ちそうになった携帯電話を持ち直す。


 「・・・じゃあ、その投稿者を突き止めろ。後でかけなおす!」


 2人・・・?


 いやぁ、とんだ失礼を、などとニコニコしている白つなぎに向かって、雄一は平静を装い話題を変えた。

 「ところで、歩道に止まっている白いバンは貴方のですか?」

 「ええ、お邪魔でしたでしょうな。すぐどけますので」


 「いや、中に佐々木さんの飼い猫がいますよね?どうするんです?」

 「あー、ちょっと邪魔だったのでね、ええ、調査が終わるまで大人しくしてもらっていたんです」

 「早く外に出してやってください。双子の片割れがかわいそうですよ」


 白つなぎは、笑顔のまま左まゆを顰めた。


 「双子・・・?あの猫、双子なんですか?」

 「一卵性の。だから模様とか全く同じでしょ?佐々木さんも珍しいって喜んじゃってね。そうでもなきゃ、あんなおかしなネームプレート2個も特注しないですよ」


 白つなぎが見るからに落胆したのを見て、雄一は自分の読みが当たっていたことを知った。

 こいつは『雷』の調査もしているだろうが、多分主力は『超常現象の調査』なのだ。双子猫の話は雄一のでっちあげだが、昨日の棚橋さんとの会話や目の前の男の言動を考えると、案外そうでもないのかもしれない。



 テモ助は2匹になっている!



 白つなぎはモゴモゴ調査協力の御礼と時間を取らせた詫びを言った後、セカセカと白い車へ戻って行った。窓の外で、猫が2匹(やっぱりか!)解放されるのを確認し、雄一は急いで頭を働かせた。


 落ち着け・・・どうやら白つなぎは『雷』と『物の分裂』が関係あると思っているらしい。いや、関連する何かを知っているんだろう。だから、猫を捕獲した。焦げたコンクリートじゃなく、縁ばっかりウロウロしていたのは、植物でも採取していたか?そして、さっきの電話。この状況で『2人』ったら、太一のことしかないよな。



 知らせないと・・・。



※※※※※

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