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すわんぷまん  作者: SAME
11/33

伝播が目ざめるとき(午後1)


「グッドアフタヌーン、エブリワン?」

「グッドアフタヌーン、ミスター平田」

「ハワイユ」

「ファィン、サンキュー。アンジュー?」

「ファイン、センキュー」


 中学でもないのに、授業の最初にこの御決まりフレーズが繰り返される。「今から英語の時間、という切り替えの為だ」と教科担当の平田先生は言うのだけど実際どうなのだろう。

 しっかし、いつ聞いても、「How are you」が「ハワイユ」に聞こえるなぁ。ハワイの湯かよ…さすがだぜ、ミスター平田。


 俺はミスター平田の文法説明を右から左に聞き流し、数ページ後ろにのっているスヌーピーの漫画を眺めていた。・・・昼飯食った後の文法はちと眠い。あ、そーだ、写し絵してみよう。 ヒマだし。俺と左はレポート用紙を破って教科書に乗せた。


 「おい」


 丹野が何やら後ろで言っている。うるさい奴だ。

英語は2クラスに分かれて授業を行っている。俺は英語キライ、丹野はでき悪い。ダメなBクラスは出席番号順に座るから、俺のすぐ後ろが丹野になるわけだ。丹野が『ワ行』とか『ラ行』の苗字だったらよかったのにな。

 教科書の絵を写すのは意外と骨が折れる。どんなに抑えていても、紙がずれるし。


 「無視すんなや、コラ」


 ようやく小さいキャラを描き終えたので、左の作品と見比べてみた…さすがに微妙に違う。腕は同じでも、机やノートの質感は変わってくるし、もっといえばシャープペンの芯の具合の影響も・・・


 「おいっ」


 ドカ、ドカドカ


 丹野が神経質に椅子を蹴りだしたので、俺はしぶしぶ振り返った。

 「んだよ、うっさいな。努力して無視してんだから空気読めよ…つーか、何で俺だけ」

 「そっちの椅子には足届かねーの」

 左はちらりと俺を一瞥したが、そのまま無言で写し絵作業を再開した。ちぇ。最近、俺嫌な役回りばっかじゃね?

 「・・・で?何のご用ですか?授業中ですよ」


 丹野は黙って右側を向いた。そちらに視線を向けると、慌てて前を向く3~4人の生徒がいる。別のクラスの奴か。俺らのクラスと違って馴染んでないからなぁ、この分身状態が気になるのも無理はない。

 「昨日、散々お前らにいじられたからな。お か げ さまで、もう慣れた」

 「そうじゃねーよ。コレだコレ」


 そういって丹野がこっそりYシャツポケットから出したのは・・・

 ちょっとまて、またスマホかよ!



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