第49話:実技試験・目指せ二百ポイント以上!
――あっという間に今度の真夜中。
時計が零時になったところで、秒針はピクリとも動かなくなりました。学校の仕業ね。
「時間は今から三時間。ボクはモモグリさんを守りながらできるだけ多くの魔物を退治する」
いつになくクロウ君のことが頼もしく見えます。
すると、どこからともなく眼鏡をかけた男性が現れました。瞬間移動ってやつ? 凄いなあ。
「……今回クロウの監督をするカンムです」
あら懐かしい野郎ね。家庭訪問以来じゃない。
「……説明。クロウはパートナーを傷つけてはいけない。その場合……減点。別にパートナーと協力して戦っても構わない……が、加算される点は少なくなる。戦闘不能、もしくは時間が経てば終了。以上」
相変わらず暗いわこの野郎。
「……準備はいいか?」
「はい!」
とクロウ君。魔法使いハットを被り直し、ゴルフクラブを手に持つ。
「時間がきたら知らせる。くれぐれも気を付けるように」
カンム先生はストップウォッチを取り出し、
「試験……開始」
地味〜に試験が始まったのでした。
誰もいない町の中。
街灯が朧気に道を照らす。
私はスポーツシューズを履き、軽やかなステップで魔物を探す。
「モモグリさんは極力戦わないでよ」
なんか言ってきやがりました。
「私だって戦いたい」
「それだと点数が少なくなるって言われたばかりじゃない。ボクは良い成績を残したいんだ」
ふんっ、真面目君め!
ちなみにカンム先生は私の家で待機です。離れていても魔法で私達の様子が分かるらしいです。
と、その時――!
「モモグリさん、後ろ!」
「むむっ!」
民家の屋根からまん丸で透き通った謎の物体が飛び降りてきた。ぷよぷよとした体質で、触ったら気持ち良さそう。
「クロウ君、もしかしてコイツが魔物?」
「うん、ゼリインって呼ばれてる魔物だよ! ここはボクが魔法で――」
「死ねやーッ!」
「蹴ったーッ!」
私がサッカー日本代表並みの蹴りでシュートしてやりました。ゼリインとやらは壁に激突、ぐちゃりという嫌な音をたてながら飛び散りました。
「ふっ、口ほどにもないわ……」
「ボクがやるって言ったのに! モモグリさんは大人しくしててよ!」
うっさいバカ。
『Eランクモンスター撃退。しかしパートナーの戦闘参加により減点。クロウ、二ポイント獲得』
頭の中にカンム先生の声が響いた。テレパシーってやつかしら?
「ほらぁ、モモグリさんが余計なことするから点数減らされた」
「ところでEランクって何?」
「それぞれの魔物に定められた強さのことだよ。強い順からABCDEってなってる。今倒したゼリインはEランク、一番弱いランクの魔物だから倒しても貰える点数は低いんだ」
Aランクの魔物……見てみたいわ。きっと巨大で凶暴でカッコイいに違いないわ。うーん、ボッコボコにしてやりたい!
「それなのにモモグリさんが倒しちゃうから、ただでさえ少ない点数がより少なくなっちゃったんだよ!」
「ちなみに聞くけど、クロウ君が一人で戦った場合、どのぐらいの得点が貰えたの?」
「よ、四ポイントぐらいかなあ……」
どちらにせよ少ないわよ馬鹿。
「試験を合格するためには、最低でも二百ポイントは獲得しないといけないらしいんだ」
「うわ、全然足りないじゃない!」
「だからなるべくたくさんの得点を稼ぎたいから、モモグリさんは引っ込んでてって言ってるんだよ」
私に向かって引っ込んでろ、ですって?
あーもう、なんて生意気なコになったのかしら。私の心の中でクロウ君に対する評価が一億ポイントぐらい下がったわ。
ま、冗談だけど。