第44話:ささやかではございますが、どうぞお納め下さい
フリージアちゃんはマホーツ界へ帰りました。今回も人間界での生活を満喫したみたいです。よかったよかった。
それはさておいて、私のお母さんから小包が届きました。手紙もあります。
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寒風身にしむ、冬支度の季節となりました。
秋子へ、お元気ですか? お母さんは元気すぎて、熱血スポーツ漫画を真似てうさぎ跳びでトレーニング中です。朝晩欠かさずやっています。そしたら足首の骨を折っちゃいました。えへっ☆
それはそうと、美味しいみかんをたくさん送ります。いっぱい食べてください。いっぱい剥いてください。そして指が黄ばむがいいわ!
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ということで、お母さんは星マークを使うほど元気みたいです。
みかんがたくさん入った箱が届きました。
みかん、みかん、みかん、みかん……とにかく山盛り。いくつあるのかわからないけど、とにかくたくさんある。
「あれっ、そんなにたくさんのみかんどうしたの?」
クロウ君は嬉しそうにみかんを眺めます。
「私のお母さんが送ってきてくれたのよ」
「ああ、あの変な手紙を書くお母さんね」
否定はしないけどね。
とりあえず一つ食べてみた。
皮を剥きまして、豪快に丸々一つを口に放り込む!
ん〜、うんうん、みかんだわ。まさにみかんね。おいし。
クロウ君はチマチマと筋とか薄皮を剥いてやがります。
んなもんチョップしてやります、チョップ。チマチマチマチマしてんじゃないわよ。ガバッと食べなさいよガバッと。
「どういう風に食べようがボクの勝手じゃないか」
「ふんっ、あんたのお好みで食べさせないわよ。オコノミー禁止」
「オコノミーって、エコノミーみたいな感じに言われても……」
「この家では私がルール。私が神。私に逆らうと天の裁き(ビンタ)が下るから、これからは常日頃から言動に注意しなさい」
「うわ、すっごいジャイアニズムだ!」
「ジャッジメント!」
「あうッ!」
言動に注意しろと言ったばかりなのにね。
まあしかし、こんなにたくさんのみかんがあるわけだし、せっかくだから何か料理でも作りましょうかね。
フルーツポンチ? ジャム? それとも……。
やっぱりやめよう。めんどい。
「モモグリさん、せっかくだからリファやロゼ達にも分けてあげたら?」
「それもそうね。いつもお世話になってるし、少しぐらい分けてあげよっか」
とりあえずそれぞれ十個ほど。これぐらいで充分でしょ。
「じゃあクロウ君、瞬間移動の魔法を――」
「そんな都合の良い魔法は使えないから、さっさと車で行こうよ」
使えない魔法使いね、まったく。今までロクに約に立つ魔法を使った記憶がないわよ。本当に魔法の勉強をしているのかしら?
「モモグリさん、聞こえてるよ……」
「だってわざと聞こえるように呟いたんだもん」
「ああ、嫌味ですね。嫌な人だ……」
「ジャッジメント!」
「んぶッ!」
だから言動には注意しろと言ったばかりでしょうが。学習能力がないわねぇ。