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第33話:打倒キャップ!

 モモグリさんは鮮血のキャップに会ったそうです。殺されなくてよかったとホッとするクロウです。

 キャップはきっとまだこの辺りに潜んでいると思います。どこかに隠れながらボクや他の魔法使いを狙っているのです。放っておけません。

 ということで、モモグリさんは自宅にサワヤさんとリファ、シオダさんとロゼの四人を呼び会議を開くことにしました。

「司会進行役のB桃栗です。ちなみにこのBはbeautifulのBです。よろしく」

 うん、どうでもいいね。

 モモグリさんが挨拶の言葉を述べるとシオダさんが拍手を贈った。飲み会じゃないんだよ。

 ちなみにこの会議はちゃぶ台を囲みながら行われていて、ちゃぶ台にはお菓子やジュースがセットされているからまるで何かのパーティーみたいだ。

 モモグリさんはブロッコリーをマイク代わりにしながら司会をする。

「さて、我々の前に現れた殺人鬼キャップ。これをいかにして対処するべきか、意見のある方は挙手をお願いします」

「あの……はい」

「どうぞリファちゃん」

「こ、校長先生にこのことを伝えて、助けてもらうのがいいと思います……」

「却下」

「え、ええっ!」

 意見を聞いてから却下の判断をするまで一秒も経っていない。っていうかこの意見にはボクも賛成なんだけど。

「リファちゃん、わかってないわね。私はキャップに襲われたの、殺されそうになったの。ものすごい危険な目に遭ったわけね。で、私はかなりムカついたの。仕返しをしてやりたいわけよ。その仕返しの方法を考えるのがこの会議の目的なの」

 えっ、ボクら六人で殺人鬼に立ち向かう気なんですか? 馬鹿は休み休み言ってほしいよ!

 ……あ、モモグリさんに睨まれた。今考えていることがバレたのかな……?

「私は秋子の意見に賛成よ。大事な友人に手をかけるだなんて許せないわ〜」

 シオダさんはやる気満々だ。この人には始めからまともな発言をする期待はしてなかったけどさ。

「強大な敵に立ち向かうってゲームみたいだな。いいぜ、俺も話に乗った」

 さ、サワヤさんまで……! サワヤさんはちゃんとした意見を出してくれると思ってたのに! もしかして人間界の人ってまともな人はいないの?

 くそっ、賛成は三人、反対も三人で五分五分の状態か。共に人間界とマホーツ界の人に分かれている。

 なんとかして考えを改めてもらわないと……!

 ここでロゼが挙手をした。

「はいロっちゃん、発言をどうぞ」

「キャップと戦うんは別にいいとして、何か作戦はあるんかいな?」

 うん、たしかにそうだ。あっちは魔法使いの熟練者、それに比べてボクらは見習いなんだ。戦うにしたって実力の差がはっきりしている。負けるのが目に見えている。

 ……あれ? ロゼ、今……

『キャップと戦うんは別にいいとして ――』

 戦う気アリですか! ロゼも賛成派だったのかよ!

 ああ、これで四対二に……。

 と、モモグリさんは質問に答えた。それはボクを衝撃的にさせる答えだった。

「ノープラン!」

 エエェェーッ! 殺人鬼とやり合うっていうのにノープランですか! 馬鹿っていうか無謀すぎる!

 さすがにロゼも口をあんぐりとさせている。

「でも大丈夫。私は高校生の時体育の成績が五段階評価でSランクだったから」

 いやいやいや、五段階評価なのにSて。んな馬鹿な話があってたまるか。

 ……ん?

 あ、ごめん、馬鹿でしたね……。

「私は五段階評価でMAXだったよ」

 シオダさんはもっと馬鹿だ。

「俺は六だったぜ」

 サワヤさん、限界突破しちゃった。

「というわけでね、私ら三人は負ける気がしないのよロっちゃん」

 それのどこが自信に繋がるんだと言いたい。無茶苦茶すぎるよ人間界の人間。いや、目の前の人が特殊なだけだろうけど……。

「というわけで私達六人はキャップと戦いまーす。これはもう決定しました、変更できませーん」

「ちょっと待ってよモモグリさん!」

  さすがにもう止めないとヤバい。普通の人間が魔法使いに立ち向かうなんて馬鹿げている。それに相手は熟練の魔法使い、それも殺人鬼。殺されるに決まっている。

「モモグリさん、馬鹿なこと言ってないで真面目にしようよ! 本当に殺されちゃうよ!」

 ボクは本気で叫んだ。モモグリさんには死んでほしくないから。

 するとモモグリさんはボクの頭をそっと撫で、優しい笑みを見せた。

「天才と馬鹿は紙一重だと誰かは言った。それなら私はその紙一重を乗り越えて天才になろう。そしてキャップをぶっ飛ばす。だから死にゃしないわ」

 自分が馬鹿だと認めちゃったし、いまいち意味がわからないし。

 でもそう言ったモモグリさんの目は真っ直ぐで強かった。本当に負ける気がしないみたいだ。いや、勝つ気だ。

「ま、作戦はノープランだけどね」

「…………」

 大丈夫なのかこの人……。

 と、サワヤさんが挙手をした。

「せっかく六人が協力して何かをするんだから、チーム名みたいなものを考えないか?」

 チーム名なんて必要か?

 しかしモモグリさんは大いに賛成のようだった。

 今度はシオダさんが挙手をした。

「ザ・マダガスカルズがいいと思います」

 なんだそりゃとしか言いようがない。問答無用で却下された。

「ウチはチーム名なんかどうでもいいと思うけど、三人の成績を合わせてSuper Max Six'sってのはどうや? ちょうど六人おるしな。あ、SはSuperにさせてもろたんやけど」

 微妙……。

 でもモモグリさんはその名前を気に入ったみたいだ。

「じゃあチーム名はSuper Max Six's、略してSMSに決定! みんな、頑張ってキャップをボコすわよ!」

 ということでSuper Max Six's結成〜。

 ……すごく心配。


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