第3話:こんな感じ
ハァーイ、永遠の美女・桃栗秋子でぇ〜す。えっ、調子に乗るな? ふふっ、まだまだ本当のウザさのうちの三分の一しか出してないよ!
っていうことでね、魔法使いのクロウ君がウチに来てから一週間経ちました。で、クロウ君の住む世界について色々聞いたので発表します。
・マホーツ界
魔法使いと魔女か暮らす世界。安直なネーミングよねぇ。他にも妖精や魔物もいるんだって。
ちなみに私達の世界は『人間界』って呼ばれてるらしいよ。
・マホーツ界魔法学校
マホーツ界の子供を立派な魔法使いや魔女に育てる所。
五歳で入学、十五歳で卒業。九年間通学して残りの一年間は人間界で修行するんだって。
・ライト校長
マホーツ界魔法学校の校長先生。ハゲ。
・クロウ君
十四歳の魔法使い見習いの男の子。顔は撫でくりまわしたくなるほど可愛い。蒼い瞳と金髪は生まれつきなんだってさ。
・クロウ君の帽子
とにかくお気に入りなんだって。
・ゴルフクラブ(アイアン)
魔法使いは魔法を使うためには杖を振りかざさないといけないんだって。
別に杖じゃなくてクロウ君みたいにゴルフクラブでも構わない。むしろ何でもいいらしいよ。ポッキーでもいいんだって。
クロウ君が杖の代わりにゴルフクラブを選んだ理由は、いざという時に打撃攻撃もできるからだそうよ。
「ところでクロウ君。どうやってマホーツ界と人間界を行き来してるの?」
「そんなの世界と世界とを結ぶ空間をちょいちょいって歪ませればいいだけだよ。と言っても、生徒達のレベルじゃそんな魔法は使いこなせないから、学校の先生方に送ってもらったんだけどね。……はい、晩ご飯ができたよ」
食事当番はクロウ君。麻婆豆腐を作ってたみたいね。主にコンビニ弁当で暮らしてきた私にとっては久しぶりのまともな夕食!
「召し上がれ、モモグリさん。ボク特製の『魔ぁ亡豆腐』だよ」
食べたら危なそうな名前ね。もし死んだら来世まで呪ってやる。
でも見た目は普通の麻婆豆腐。ちょっと味見してみましょ。
「……お口に合うかな、モモグリさん?」
「うーむ……」
「どう? 魔ぁ亡豆腐ってマホーツ界の料理――ギャッ! な、なんでビンタするの!」
「意外にも美味しいから」
「そこは褒めてほしいよ! 喜んでもらえてるのにビンタされるなんて、なんか悲しいよ!」
別に喜んでないよ。私より年下なのに料理が上手いからちょっとムカついただけ。