第25話:下暮温泉リターンズその一
クロウです。
なんかモモグリさんとシオダさんとで温泉に行くらしいです。次の土曜日に出発するらしいです。
交通手段はモモグリさんの自動車です。今モモグリさんと一緒に洗車しています。
「へいクロウ君、水ぶっかけてちょうだい!」
「はいっ!」
モモグリさんはわりと真面目に作業をしています。自分の車なんだから当たり前か。
「まったく、最近またガソリン代が上がっちゃってさ〜……。これだから困るのよね〜……」
なんかブツブツと独り言を呟いています。
そして、
「クロウ君、ガソリンを出す魔法は……」
「ないですね」
そんな会話を交えながら洗車していると、お隣のサワヤさんがやって来ました。コンビニの帰りらしく、ビールの入った袋をぶら下げています。
「お、洗車か。俺の車もたまには洗わないとな」
「あんたも車持ってるんだ」
「まあな。八人ぐらいは余裕で乗れるぜ」
「ふうん……」
あ……モモグリさんが笑顔になった。あれは何かを企んでいる顔だ。気を付けてサワヤさん!
「和夫、あんたの車貸しなさいよ」
「なんでだ?」
「今度の土日にクロウ君を連れて友達と温泉に行くのよ。だから貸しなさい」
「別に構わないぜ」
あっさりOKしちゃったよ。モモグリさんに車を貸すと大変なことになるよ。他人のものだからって無茶な運転をすると思うよ。ヘタしたら事故に遭うよ。
「その代わり俺もついて行くぞ。お前の運転は信用ならないからな」
さすがサワヤさん、わかっていらっしゃる。ボクは心の中で拍手を送った。
心なしかモモグリさんの不機嫌そうな表情を見た気がするけど、気にしない。
「友達と出かけるって言っても、相手はどうせ塩田だろ? 俺が加わったところで問題ないっしょ」
「まあね。でもあんたの分の旅費は自分で出すのよ」
「そんなの当たり前だろうが。じゃあリファも一緒について行くからな」
り、リファも行くの……?
それはちょっとオススメできないなあ。だってリファは……、
「クロウ君、なにボーっとしてんのよ。水ぶっかけて!」
「……あ、はいっ!」
みんなで温泉か……。
うん、すごく不安……。