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第22話:お願い紺ちゃん

 とある喫茶店にて。

 ワタクシ桃栗秋子は友人の塩田紺ちゃんとコーヒーを飲んでいます。

 クロウ君はいません。なぜなら私達は仕事帰りだから。

「ねえ秋子、私って電話以外だと久しぶりな登場の気がするんだけど」

「まあクロウ君があんたを拒んでいたからね」

「そんなぁ! クロウきゅう〜ん!」

 そりゃああんなにしつこいと会うのも嫌でしょう、と真面目に考える私。クロウ君にとって紺ちゃんは猛獣のような存在でしょうね。

「ねえねえ秋子、お願いだからクロウ君に会わせて〜!」

「ん〜、どうしよっかなあ……」

「お願い! なんでもするから!」

 ほう、なんでもすると……?

 そうかいそうかい、それじゃあ……、

「紺ちゃん」

「なんでありましょうか秋子隊長」

「今度あんたのお金で温泉に行かせろ」

「お、温泉……?」

 首の傾げて何かを考える紺ちゃん。きっと紺ちゃんの脳内コンピューターが緻密な計算をしてフル作動しているんでしょうね。


 1.クロウ君と温泉。

 2.クロウ君と混浴に入る。

 3.クロウ君の素肌が見られる。

 4.夜、一緒の布団で寝る。

 5.クロウ君を抱き枕にする。

 6.ウッハウハ。


 おおかたこんな感じでしょうね。

 その証拠にほら、さっきからにやけっぱなし。

「秋子! いいでしょう、温泉に行きましょうッ! 何故海じゃなくて温泉なのかはあえて聞かないでおいてあげる!」

 それは前に行った旅館にまた行きたくなっただけなんだけどね。たしか名前は『下暮温泉げぼおんせん』。テレビじゃ気軽に言えない名前よね。

「じゃあいつ行こうか。今週? それとも来週?」

「私が行きたくなったら」

「え〜っ! 秋子は気まぐれだからいつになるかわからないじゃない! 明日行こうよ明日!」

「それは無理」

 明日だって仕事があるんだから温泉に行ってるなんか暇はないでしょうに。それともなにか、まさか仕事を休むつもりかい貴女は?

「お願い秋子、具体的な日付を決めて〜」

 なんかさっきからお願いされまくっているような気がするけど、クロウ君関連の話題になるといつもこうなのであまり気にしない。気にしたら負けだ。

 もう無視してさっさと帰りたくなってきたけど、このまま放っておいたらウチについてきてまで

「お願いお願い!」と言ってうるさくなるんじゃないかと思う。さすがにそれはイヤ。

 仕方ない、適当に都合の良さそうな日は……。

「土日は? 週休二日制だから一泊二日できるでしょ」

「いつの土日?」

「んなもんすぐに決められないわよ。とりあえず土日よ、それ以上は決められないから」

「ん〜、まあいっか」

 ふう、なんとか納得してもらえたかな。

 その後紺ちゃんと世間話をし、私はクロウ君が待つ自宅へと帰った。

 さて、クロウ君は紺ちゃんと温泉に行くことをどう思うかしらね。間違いなく嫌がるんだろうけどさ。反応がちょっと楽しみ。

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