第19話:お隣さんは騒がしい
クー君は今何をしているのかな……。
勉強?
食事中?
魔法の練習?
それとも……。
あ、私リファです。最近沢屋さんの家に居候させてもらっている見習い魔女です。
お、覚えていないですか……? 第16話に出てきたんだけど……グスン……。
あっ、すいません……。私昔からすぐ泣いちゃう癖があって……。おかげで子供の頃は『泣き虫リファ』って呼ばれるほどの有り様で……ううっ……。
ああっ、またすいません……。私、涙腺が弱すぎるっていう特殊体質なのかな?
よいしょ。気を取り直して勉強でもしよう!
沢屋さんは仕事で家にいません。私一人、静かにお留守番。
テーブルの上に勉強道具を置いて、よしやるぞ! と喝を入れる。
ズゴォォンッ!
――ッ?
い、いきなり壁の向こうからすごい音が……。
ズダララララララララララッ!
なに、なんなのッ? 何かの連射音が聞こえるけど!
『クロウ君っ、そっちに行ったわよ!』
『モモグリさん、ゴキブリくらい自分で始末しなよ〜……』
壁の向こうからクー君の声が!
そ、そういえばクー君ってお隣に住んでるんだった……。
ああ、でもあまり暴れてると壁が壊れちゃうよ……。
『くらえ、私の必殺究極奥義……』
『わーっ! 消火器なんか取り出さないでよ!』
『ふっ、冗談よ冗談』
う〜ん、なんだか困ってるみたい。
ここは私も手伝ってあげるべきなのかな?
困っている人を見かけたら助けてあげなさいっておばあちゃんに教えてもらったし……。
…………。
よしっ!
私は側にあったペンを手に取り、チョイと振りました。
……これだけで魔法は終わり。成功したかな?
『いやあぁぁッ! ゴキブリが破裂した! クロウ君、体液とかが床に飛び散ったじゃない!』
『ぼ……ボクじゃないよ! ボクは何もしてないよ!』
『勝手に破裂するニトロなゴキブリなんて存在するわけないでしょうが! さすがの私でもそれぐらい分かるわよ!』
『でもボクは何もしてないんだよー!』
…………。
余計なお世話……だったかな? ごめん、クー君……。