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第18話:なりきりセバスチャン

 こんにちは、クロウです。一応魔法使いなのに魔法をあまり使っていません。

 さて、仕事から帰ってきたモモグリさんは上機嫌でした。基本的にいつも上機嫌な気はするけど……そこはあまり気にしないでおこう。

「クロウくーん! ケーキ買ってきたわよーッ!」

 ジャーンと言いながらケーキをお披露目。

 おおっ、美味しそうなショートケーキ、チョコケーキ、チーズケーキ、レアチーズケーキ、モンブラン、フルーツケーキ、ロールケーキ……、

「買いすぎでしょ」

 ちなみに全部二個ずつある。

「じゃあ今日の晩ご飯はケーキにしよっか」

 ボクは普通のご飯が食べたいです。ケーキはデザートにしてください。デザートは別腹とか言いながら食べたいです。

「エレガントに紅茶を淹れましょうねぇ。こらセバスチャン、さっさと紅茶を用意なさい」

 せ、セバスチャンってボクッ? 誰だセバスチャンって! ああ、それよりも結局はケーキが晩ご飯になるのか……。

 足を組み肘掛けに肘を置いて口元に手を当てながらボクに命令をするマッサージチェアに座るモモグリさん。もはや女王様なのか単なる疲れ切ったオバサンなのかはわからない。

 ただ逆らうと酷い目に遭うので大人しく命令に従ってしまう弱いボクだった。

「ブリヂストンの紅茶が飲みたいな〜」

 そんなのないです。

 紅茶はスポーツ用品じゃないよ。

 雰囲気だけで言ったでしょ貴女。

「セバスチャン、紅茶を淹れたらわらわの元にケーキを持ってきてたもれ」

 この独裁者め!

「はい、ケーキ」

「やり直し」

 なにが。

「もっと紳士的に、そしてよりセバスチャンっぽく! 貴方はセバスチャン、セバスチャンになりきったつもりで私に接するの!」

 何を言ってるんだろうかこの人は。セバスチャンって誰ですか。

 ハッ、もしかしたら『セバスチャン』じゃなくて『セバスちゃん』なのかもしれない! 女? オカマになれってことなのッ?

「オカマは嫌だよ!」

「はあ? 何言ってんの、ぶっ飛ばすわよ」

 マズい、女王様の機嫌を損ねてしまわれたみたいです。体内から邪気を放ちまくっていて近寄りがたいです。即刻

「死刑!(この場合、殴る蹴るの暴行)」と言われてもおかしくない状況です。

「早くしないと『手術中に体内に綿を入れたけど、それを取り出し忘れた刑』にするわよ?」

 リアルに嫌だ!

 ボクは仕方なく独裁者様のためにセバスちゃんっぽくケーキを運びました。

「け、ケーキでございますわよ……」

「マイナス四百二十七点」

 低いー!

「もういいわ。普通に食べよう、普通に」

 最初から普通にしてください。

 いや、そんなことこの人に言ったところで無駄か……。

 ボクの目の前に所狭しと並ぶケーキ達。カロリーたっぷり。だけどこんな物じゃお腹は満足しません。ケーキは少しだけ食べて、後でコンビニ弁当でも買って食べよう。

 モモグリさんは……。

「いただきまーす」

 笑顔でケーキを口に運ぶ。

 口元を手で隠し、二回、三回とゆっくり噛む。

 そして、

「ん〜! 美味しい!」

 と女子アナが美味しい物を食べた時のようなリアクションをした。

「いやあ、普通に美味しいわ。思うんだけど、なんで女子アナってああいうリアクションしかしないんだろうね」

 知らないよ。女子アナ全員がそんなリアクションするわけじゃないでしょうに。

「でもさ、モモグリさん」

「なにかな?」

「昨日女子アナの人がケーキを食べているのを見たから自分も食べたくなったんでしょ?」

「そうよ」

 水着の時といい、この人はテレビからの影響力が激しいです……。

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