第17話:水着、買っちゃった
バンバンババンバ〜ン!
ウ〜ウフフフ〜ン(ハミング)。
秋子は今日も美しすぎるぜぇ〜!
……ってな感じでいつにも増してハイテンションな私、桃栗秋子です。
ちなみに即興で作った歌です。横ではクロウ君が複雑な眼差しで私を見ています。
私がハイになっているのには理由があります。コレです。
「ジャーン! 水着買っちゃった!」
清楚で真っ白なビキニ。ほど良くセクシーさがアピールできます。
「まだ三月。時期早すぎだよ」
もっともなツッコミ。もっとも過ぎて反吐が出ちゃうわ。
「甘い、甘すぎるわクロウ君。ここのジェンガ、抜けるかな? って思って思い切り引っ張って積まれたジェンガを崩すほど甘い!」
「はあ……?」
「ある日突然気持ち良く泳ぎたいなぁ、って思う時があるでしょ? それよ」
「ただ単に昨日のテレビのハワイ特集を見て影響されただけでしょ」
「えいっ」
「あ痛ッ!」
余計なことは言わなくていいの。思わず左フックが炸裂しちゃったじゃない。
「そこで私は考えた。じゃあ泳いじゃえばいいじゃん、あわよくば彼氏をゲットしちゃえばいいじゃん……ってね」
「ふぅん」
相変わらずつまらない反応ね。紺ちゃんの家に放り込んでやろうかしら。
「ということで、ちょっとコレ着てみるから評価してね」
「えっ?」
「似合うか似合わないかでいいから。それじゃあよろしくね〜」
えっと……。
視点が変わってこんにちは、クロウです。
いきなりモモグリさんの一人ファッションショーが始まるらしいです。はっきり言って興味ありません。
しかしここで逃げると後が恐ろしいのでちゃんと評価してあげようかと思います。
そそくさとお風呂場に行き着替えをしているであろうモモグリさん、相変わらずやることが唐突です。
「モモグリさん、まだー?」
「もうチョイ待ってー!」
お風呂場から聞こえるモモグリさんの声。声のトーンがいつもより張りがあります。それほどまでに自信があるのかな? すごい自信家だな……。
「お・待・た・せ!」
ノリノリな足取りで現れたモモグリさん。
…………。
温泉旅行の時も少しだけ見たけど、わりとスタイルが良いということにボクは驚いた。
うん、性格だけ除けば美人さんだね。
「クロウ君、評価」
「はいっ?」
「似合うか似合わないか、さあどっち?」
似合う。うん、似合う。
正直に答えたらモモグリさんはガッツポーズをした。
「私……グラビアアイドルになれるんじゃねーかな?」
それは無理。
正直に答えたら『革のベルトでビシバシ叩いてやろうかオーラ』をたっぷりと放たれたので謝っておいた。
「さて、じゃあ早速近場の健康ランドにでも行こうかな」
温水プールとかじゃないんだ。
……ん?
確か近場の健康ランドって……。
「モモグリさん」
「なに?」
「そこ、確か改装するからって今休業中だよ?」
…………。
「なんですってーッ?」