第12話:お正月
お正月の話です。
「んむ〜」
私とクロウ君はおしるこを食べています。
「クロウ君。きなこ餅も食べたいなぁ」
「これ食べ終わったら作ってあげる」
それにしても暇。テレビは見飽きたし、他にやることもないし……。
「クロウ君。初詣にでも行こうか」
ということで、近くの神社にやって来ました。既にたくさんの人で賑わっています。
「モモグリさん……。なんでそんなにおめかししてるの?」
「私プラス着物イコールヤマトナデシコという簡単な計算結果からよ。これで男性の一人ぐらい寄ってくる筈!」
「そうかな……」
……お。
ほらほら、早速一人私に近付いてきたじゃない。年の初めに彼氏をゲット! ビバ、ヤマトナデシコ!
「世界の恵まれない子供達に救いの手を! 募金していただけませんか?」
ボランティア活動かい!
でも地球に優しい私はふんぱつして二千円札を寄付するのでした。今時二千円札ってレアじゃない?
とりあえずお参りでもすることにした。
お賽銭(ふんぱつして五百円)を入れて、パンパンッ! と。
今年こそ、今年こそ素晴らしい出会いがありますように……。本当に頼むよ神様。八年間同じことを願ってんだからいいかげん叶えてよね。
「さて、クロウ君は何をお願いした?」
「立派な魔法使いになれるようにってお願いしたよ」
普通ね。っていうかダメね。そこは『モモグリさんがより美しくなりますように』って願わないと罰が当たるわよ。
「モモグリさん。くじ引きがあるよ。今年の運勢を占ってもらおうよ」
「ふっ……。そんな結果がわかりきっているものをわざわざやる必要はないわ。でもどうしてもやりたいと言うなら『優しくて美人』の私が代金を支払ってあげるわ」
「優しくて美人を強調しなくていいです。でもありがとう」
クロウ君はくじ引きの棒を引きました。そして紙を受け取りました。
「なんて書いてあった?」
「う〜ん……」
私は紙を見せてもらいました。
どれどれ……?
『微妙』
…………。
こんなのアリなの? さすがの私もびびったわよ。
「今度は私がやる」
『微妙』なんて言わせない。『超大吉』とか出なさい!
とりゃあぁっ!
『無理』
なにが!
この野郎め。私のなにが『無理』だってのよ。出会うのが『無理』なの?
もう一回やってやるわ!
『また来年頑張ろう』
コラくじ引き! 私を見放すな!
もう一回!
『ピョン吉』
ナメてんのかくじ引きめーっ!
「落ち着きなよモモグリさん。……あ、お守りが売ってるよ」
「あらま。じゃあお守りでも買おうか。くじ引きはダメダメだし」
ふんふん。交通安全に、受験生専用のものに、恋愛が上手くいくものに――買ったぁ!
ふははは! これで今年こそ彼氏ができるってもんよ!
「さあて、そろそろ行こうか。帰りにドーナツでも買っていこうか」
「なんでドーナツ?」
「『円(縁)がありますように』って」
「う、うーん。それは上手い例えなのかな?」
それはそうと、今年もよろしく!