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悪魔の涙  作者: 紫聖
10/19

10.夜空に瞬く

2011年初投稿が、重いです。

ちょっと残酷な表現があります。

苦手な方はご注意くださいませm(__)m

遅くなりましたφ(..)


ある女性が似つかわしくない建物へ、入って行った。華やかなドレスに、目鼻立ちが整った顔立ち。

瞳は少し勝ち気そうな灰紫。

入って行く建物は壮大だが、古めかしく灯りはあまりにも少ない。


「旦那様がお待ちかねです。」


掠れた執事の声に、その女性は頬を紅潮させた。

一番玄関から遠い部屋に向かう。


「お連れいたしました。」


中から返事が聞こえて、通される。

女性はうつむきがちで、何かを待っていた。


「下がれ。」


執事は足音も立てず、去った。

手を引かれ、女性の身体はソファーに投げ出される。男は馬乗りになり、露になった白磁の肌に、歯をたてた。


「…………や。」


痛みはほんの一瞬。そのあとの女性は恍惚とした表情を浮かべている。

悪魔にとって、人間の女の血は美酒だった。


「事は進んでいるか?」

「……はい…!」


男は含み笑いをほんの一瞬だけ漏らした。

女性はキスをねだるように、手を伸ばす。


「褒美だ。」


軽く音を立てて唇が重なり合った。










ティアはぼんやりと、自分が使っているリラックスルームのソファーに座っていた。

父の病の事実を知ってから、数日が過ぎていた。

明日には馬車で自宅に戻る手筈になっている。

病状については何も聞いていなかった。

いや、聞きたくなかったのだ。

お父様はきっと軽い病。

すぐに善くなるはず。そう信じたいのに…………。

あの日の胸騒ぎは止んでいない。

むしろ、ざわつきは大きくなっているような気さえする。


どうして、私はこんなにも無力なのかしら……。


何もできない。

ここに居ても、フェアリット邸に戻っても。


弱くて、ただ、祈るだけ。いつの間にか闇に包まれ始めて、柔らかな月明かりが一筋。

瞬く星はどこか儚げで………………。







神様、父をお守りください……。









「アスキス、奇妙だと思わないか?」


書斎で病状についての文書を見ながら、イヴァンは問いかけた。


「はい。聞いたこともない症状です。医者も首を傾げていると。」


「ああ。体中に紫色の痣ができ、その箇所からの出血。粘膜が極度に弱くなり、少々の刺激での出血。

それだけじゃない。男爵を隔離して治療しているわけでもないのに、新たに発病が確認されない……。」


そこで一旦、イヴァンは息を吐いた。

もし感染する恐れがあったなら、やはり彼女をここに留めようか、という考えもあったのだった。


「最後にフェアリット男爵に会った時、病の"におい"は全くしなかった。」


少しでも病の兆候がある場合、直感的に感じることができる。

互いに黙り込む。頭のある部分に、もやが存在しているような違和感。


「イヴァン様、推測ですが…………。」



「言ってくれ。」


「悪魔による故意なもの、術による呪いではありませんか?」




頭がすっきりと、もやが霧散したようだった。

それと同時に、イヴァンの顔から血の気が退いていく。


「何故フェアリット男爵に術をかける必要がある?」






出てくるのは疑問ばかりだった。



読んで下さる皆様ありがとうございます!

お気に入り登録が400件越えて、嬉しい限りですO(≧∇≦)O !!


タイトルはとても悩みました。3つの場面があり、迷いに迷い………。

『夜空に瞬く』に致しました。

これからも遅筆な作者にお付き合いくださいませ。

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