資料「エデン地区の歴史」
――エデン地区の歴史
著 不明
エデン地区――正式名は「エデン自治地区」であり、ヨーロッパの片隅に存在する中規模自治地区である。
人口10万人、総面積は600km²であり、中央、北、南、西、東地区と区分されている。周辺の小国からしても小規模ではあるが、鉱石資源や貴重な石油資源が埋蔵量されており、周辺の重要なエネルギー供給源となっている。
しかし、街中は崩れて風化した廃墟が並び、生活環境は劣悪である。犯罪、差別、貧困、飢餓、さらには疫病まで蔓延している名前とは真逆の存在と知られている。
――歴史
2060年代、第三次世界大戦の戦火が世界を包み、終末の時が近付いていた世の中。人々はなんとか生き延びようと、戦争と無縁の理想郷……「楽園」の建設が叫ばれた。
そうして数年、周辺から集まった人々が多額の資金を使い、人々が安心して暮らせる理想的「エデン自治地区」を作り上げた。
核や化学兵器の脅威に曝されぬよう、各国の都市から遠く離れた地に作られたエデン地区は目的を果たし、戦後も人々を守り抜いた。
しかし、人類文明の衰退による物資不足や政治の混乱、権力争いにより徐々に平和は崩壊していき、現在は見るも無惨な姿へと変わってしまった。
現在のエデン地区の政治を担う「エデン地区管理局」は上層部が腐敗し、圧税、物価高騰、差別の放置、インフラの管理不足、治安維持の不徹底など、市民の負担は増えるばかりである。
また、資源を狙うゲリラなどのならず者兵士が度々エデン地区を襲撃し、市民の安全を脅かしている。治安組織、「インターセプト」が対応しているも、人員不足により満足に防衛が出来ない状態である。内戦が起きる可能性も否定できないため、更なる人道危機が予想されている。