資料 「ダアト病と感染者の特徴」
――ダアト病と感染者の特徴
著 不明
ダアト病とは、数十年前に突如としてエデン地区を始めとする周辺地域に発生した原因不明の奇病である。
何らかの感染性病原体により感染すると推測され、現時点では10代の若い女性に感染が多く確認されており、感染者は「ダアト人」と呼ばれる。
感染すると、肉体に変異が見られ、「人間とは別の動物の特徴」が出現し、肉体構造が変化するという症状が確認されている。
例を挙げると、犬や猫の耳や尾が生える、馬の蹄が生える、羊のような角が生える、鳥の翼が生える、蛇のような鱗が部分的に出現する、蛸やクラゲのような触手が出せるようになるなど非常に多い症例が確認されている。
さらに身体能力も強化され、超人的な力を手にする者もいるとされている。
以下に、ダアト病の変異を種族として分類したものを挙げる。
《マール族》――犬、猫、馬などの哺乳類の特徴を持つダアト人種族。耳や尻尾などが生えており、ダアト人の中で最も人数が多く大半はマール族である。非常に優れた運動神経を有している者が多数存在する。
《ベヌウ族》――鳥類の特徴を持つダアト人種族。翼を持ち、空を飛ぶこともできる。また猛禽類の特徴が出現した者は非常に良い視力を手にすると言われている。
《テティス族》――海洋生物の特徴を持つダアト人種族。タコの触手やサメの尾を持つ者などがおり、水中での活動が得意である。全体的に見ると少数である。
《ウァジェド族》――爬虫類の特徴を持つダアト人種族。蛇やワニのような鱗が皮膚に出現したり蛙のような跳躍力を持つ者もいる。また、人によっては生物から出る赤外線を見ることができるようだ。
ダアト病に感染した者はその奇怪な見た目から差別されることが多く、社会問題になりつつある。
中には奴隷のように人権を根本から否定される扱いを受けるダアト人も存在するようだ。治療法は存在せず、感染ルートも不明なため、感染者は増加傾向になっている。
しかし、ダアト人は動物の耳や尾が生えただけであり、普通の人間と大差はない。大切ななのは、差別を無くし、普通の人間と共存していく理解力である。