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新竹家物語-しんたけのいえのものがたり 序 前史、あるいは悪夢(1)

…6500万年まえ、時が揺らいだ…時空震である。 それは今でも時の節と腹を揺るがせてきている。 …ある夜少年は幻臭と空が“キーン…”と唸っているのを聞いた。…発病前の少年の前史であり、悪夢としか言いようのない出来事であった。…時空震には大きな恐怖が伴っていた、…だが、…どんなに巨きくても、祓えない恐怖はない…。




  









         『 新 竹 家 物 語 』



 こ の 物 語 は 著 者 個 人 の 空 想 上 の フ ァ ン タ ジ ー

作 品 で あ り 、 登 場 す る 人 物 ・ 集 団 ・ 組 織 ・ 地 名

・ 作 品 も 架 空 で あ り 、 万 一 類 似 ・ 同 一 の 名 称 が

あ っ て も 意 図 や 他 意 も な く 一 切 の 関 係 ・ 関 連 は

あ り ま せ ん 。

 … な お 、 フ ァ ン タ ジ ー 故 に 個 人 差 は あ る も の

の 読 書 中 、 無 意 識 脳 を 覗 か れ て い る ば か り か 、

喰 わ れ て い る よ う に お 感 じ に な る か も し れ ま せ

ん 。 … で す が 、 一 方 著 者 自 身 も 同 様 の 無 意 識 的

な 神 経 情 報 や 夢 内 容 を 出 し 入 れ さ れ て い る … 時

に 盗 み 取 ら れ て い る と 、 思 考 の 淀 み の 狭 間 に 、

フ ト 感 じ る 事 が あ り ま す 。

 … 著 者 側 に お い て 、 そ の 帳 尻 は マ イ ナ ス の よ

う な 気 も し ま す 。 「 何 故 著 作 ま で に 数 十 有 余 年

も 費 や し た か ? 」 … が そ の 根 拠 で す … 、 此 所 は

お 互 い 様 と い う こ と で 宜 し く お 願 い し ま す 。

 ま た 本 編 中 、 病 状 ・ 困 難 状 況 の 回 復 の 道 筋 の

中 に 神 話 や 宗 教 説 話 を 曳 い て い る 部 分 が あ り ま

す が そ の 解 釈 を 巡 っ て の 登 場 人 物 描 写 と ご 理 解

い た だ き た く 、 実 在 と の 関 連 な く 万 事 架 空 で あ

り ま す 。

 … し た が っ て 、 引 用 ・ 抜 粋 ・ 剽 窃 等 の は 問 題

あ り ま せ ん が 、 如 何 な る デ ー タ ー ベ ー ス と 言 え

ど も 、 デ ー タ ー ベ ー ス と な り う る 意 味 ・ 意 義 ・

根 拠 は 本 編 に は 全 く あ り ま せ ん の で 悪 し か ら

ず 。



           『 新 竹 家 物 語 』


   ー ヒ ル コ コ ン プ レ ッ ク ス Ⅲ   (序)前史あるいは悪夢

                    羽 仰 史 多 朗  著



 統 合 失 調 症 に よ る 、 統 合 失 調 症 の 方 が 抱 え る

苦 悩 軽 減 の た め の 、 直 観 仮 名 で 想 い 兼 ね る 『 新

竹 家 物 語 』 … 従 っ て 健 常 ~ マ ジ ョ リ テ ィ ー 側 の

迫 害 ・ 攻 撃 対 象 の 贄 と し て 書 か れ た も の で は 無

い こ と も 明 言 す る 。



 お の ず の こ と わ り

… 自 の 理 …

佐 治 版 竹 内 流 自 然 、 そ の あ り よ う

… こ の く に の 言 葉 だ か ら こ そ 出 来 る こ と

疾 身 の 真 心 、 素 朴 よ り 発 ち 歴 史 ・ 時 を 遡 る 、

      … 光 の 大 義 か ら 時 下 る の で は な い 、

         … ひたすら、疾 身 よ り 遡 る …

 い に し え の 縄 文 ( と き ) を 思 い か ね 、 繋 ぐ 。

 数 珠 の 如 く 開 闢 ~ 極 縮 。

 あ る い は 極 縮 か ら の 開 闢 を 繰 り 返 す …

 … 反 復 宇 宙 … す が す が し き か な …

 黙 霊 ― 絶 対 温 度 3 度 な る 背 景 放 射 。




 〽 天 の 川 い に し え 繋 ぐ 寿 賀 の 宇 宙 ( と き )


    数 珠 が ご と し と 黙 霊 ( も く れ い ) 諭 す







-------前史 悪夢Ⅰ …発病前、羽仰少年の前史である…

・…東京大空襲:1945.3.10 

昭和20年3月10日(土)~24年後 これに重なること…昭和44年3月10日(月)…

・思い出したかのように嘉寿江婆ちゃんが三月十日のこの日は、昔あったこと

を少しだけ話してくれることがあった。…子や孫に恵まれ今は幸せな嘉寿江婆

ちゃんだか若いときは大変だったようであまり昔のことは話さないひとなのだ

が…。折に触れ三月十日に反復された物語りの欠片を繋いでゆくことにする。

…ただ、嘉寿江婆ちゃんの瞳の奥から漏れ出るハレーションの光は【物語りの

要項…語り部-婆ちゃんの“ココニイテモイイ”】はなかった・大戦を肯定す

る要素もなかった。

・…そう現実界の悪夢である。

・…1945年3月10日土曜日早朝。寒い日に限って嘉寿江という少女は鼻

の奥の痛みとクレゾールの幻臭を感じていた。…少女は珍しく耳には殆ど聴こ

えない振動…優しいはずの空が唸っていて…目が覚めた。その時、市場通りも

縁日通りもにはタービンエンジン四発・超高空航行可能の重爆撃機飛行B29の

大編隊来襲の情報が荷揚げられた、…通りは不安でひしめいていた。じき空襲

警報のサイレンが吠え続け鳴り止まなかった、街全体は悲鳴を上げた。…北の

空から東にかけて“キーン”と空が悲鳴を上げ、幾つもの爆発音はとうとう唸

りのように途切ず…と空と地面全体を覆ってしまった。

・<ある年、嘉寿江婆ちゃんが、このハナシを子供達に語っているとき、工場

の終業のサイレンがなった。子供達は口々に“うるさい!”といい耳を塞いだ

…嘉寿江婆ちゃんの目は濁った…だが…、…じき…。ホンノ直…“うるさいよ

ねぇ…。でも爆弾は降ってこないのよ。”…そ~いう婆ちゃんをみると、目の

ハレーション~曇りは晴れていた。>

・…キーンと謂う空の悲鳴と地面全体唸りが続いた。時化こみ酷い湿気で曇っ

ているように感じた、炎火で、全天が明るかった。…惨いハレーション…南西

の空は紅かった…だが。爆弾が降り注ぐ東北~深川の空は恐ろしい白色だっ

た。夜明けには酷く早すぎた空だった。

・…北風にのって京橋区入舟町にも小巻バター商店の本館にも火の粉が粉雪の

ように振ってきた、嘉寿江婆ちゃんの兄謙一にいちゃんは屋根に登り火の粉を

払った。…聴き手の子供達は空が白んでいたのか恐ろしい白い火炎で照り返さ

れたのか分からない…白んだ空の彼方に小さな白銀の十字架が幾つも幾つもキ

ラキラしていた。

・<<…婆ちゃんの話を聞いていた子供達は…、“このキラキラ”は憑依し脳

裏にハッキリ映って見えていた。>>

・屋根に登り箒で火の粉を払う兄の姿と、点のようなB29の編隊を二階の物干

しから嘉寿江婆ちゃんは仰ぎ見ていた。…兄は異様なくらい必死だった、…ほ

ぼ狂乱に近かった…”コン畜生!”…“なんて奴らだ”…と。…狂乱にはワケ

があった…。京橋界隈だけでなかった世界は空も地面も亡霊どもが延々と唸り

をあげていた…命の不協和音が…嘉寿江婆ちゃんの母寿椰-おおきいおばあち

ゃんが虫垂炎で身動きがままならなかった…というのもあった。

・…「どうするの!」…少女も<<聴き手の子供達も>>言った。

・…

・“ここに焼夷弾が振ってきたら、延焼がここまで来るようなら”…“燃えて

いないところか燃え尽きた瓦礫ににげな!”…明治生まれの気丈な嘉寿江婆ち

ゃんの祖母-津真-小さいおばあちゃんは怒鳴った、“あたしゃ寿椰さんの面倒

を見るから<<恐らく曾祖父栄三ものこる…>>、謙一・嘉寿江はにげな。”

・<<小巻家は米国~連合国を甘く見ていた。曇っていたのは東京の空だけで

はなかった【鬼畜米英】?とんでもない!邪魔なゴブリン(東の夷敵=ゴブリ

ン)に“悪魔”の汚名を着せ呪う【堕天使米中】!…焼夷弾なるもの:非戦闘

員{近代戦のタブー}の住居…なかんずく木造家屋を攻撃対象とする、爆発力

はないもの高温で激しく“青白く燃え続ける”ゼリー状の油脂…だから空が白か

った。…投下も目標の周りを炎で閉じ込んで網の目状に焼夷弾を投下する絨毯

爆撃と呼ばれていた。…非戦闘員攻撃しないという暗黙裏・近代戦のタブー

{ジュネーブ条約を厳密に辿ると陸戦上の規定…}ヒロシマ・ナガサキの鮮烈

さに目が移るが殲滅作戦の非道さ~周到さでは東京大空襲も充分酷い…では“

ナゼ…”…『“悪魔”の汚名を着せヒト種から外せる呪い』があったからこそ

非戦闘員を殺傷することが罷り通った…ということである。>>

・<<世界は空も地面も亡霊どもが延々と唸りをあげ拡散していた。西の果て

では『マンハッタン計画』というのが粛々と進められていた。核爆弾を米国の

国家事業で進める…のであるが計画の現場の人間に全体像を想像させない~鳥

瞰できないくらい極度に断片化された極微の『ミッション“ズ”!』が…不協

和音…も完結していた。>>

・…幸い…戦略的に京橋区・日本橋区・麹町区等は官庁街…燃えない鉄筋~煉

瓦をさけ、近代戦のタブーを犯しても『ヤルキ』を官庁街の連中に示したかっ

た…木造家屋が密集するセイント=ルカ国際病院近隣の入舟町・新富町・湊町

・小田原町・築地町あたりは忌避された…と嘉寿江婆ちゃんは語る。

・…業火は一向におさまる気配がなかった、延焼の炎は隅田川を越え八丁堀ま

で及んだ、チョロチョロ燃える火は南下し桜川の北端まで来ていた。桜川の南

端の小巻バター商店の本館があった。嘉寿江婆ちゃんの母と“おにいちゃん”

の謙一おじちゃんはその様を見守った。…住居・商店からチョロチョロと幾つ

か延焼の焔が続いていた。

・…そのとき。フワッとあるいがボッ~と桜川の北端に立ち並ぶ家並み全て窓

から火が噴き、…まもなく屋根が崩落していった。嘉寿江婆ちゃんのハナシは

ここで止まる、…幸い火は桜川で堰き止められた。…

・…後日(恐らく翌日)嘉寿江婆ちゃんの母寿椰は病院に搬送され、延焼の対

処として小巻バター商店の本館も含め入舟町・湊町あたりの木造家屋は取り壊

された。燃えカスからは鼻の奥にツンと刺すような痛みとクレゾール臭のよう

な匂いが圧倒した。

・…世界は空・地面は狂騒の亡霊どもが延々と唸りをあげていた…命の不協和

音…このあたりから食料事情がさらに酷くなったと嘉寿江婆ちゃんはいう、も

とより公的な食料配給制度を決断した裁判官が飢え死にした噂もあり、食料事

情はヤミに完全に依存していた。嘉寿江婆ちゃんの父-栄三は結核を患い徴兵

を免れていた…この食料事情が父-栄三に牙をむいた。…3・10の東京大空襲以

後、東京市は市民に疎開を指示した。小巻家は父-栄三の療養も兼ねて静岡県

の伊豆多賀に疎開した、…先駆けていた人造バター=マーガリンの特許は明治

製菓に先を越された…とは言え…蓄財力があってもヤミの物価は高く父-栄三

の結核はどんどん進んだ、父-栄三のセンイント=ルカ国際病院の入院があっ

たと羽仰は思う、…疎開先を母-寿椰の実家、京都の狭山に身を寄せた。…嘉

寿江婆ちゃんは言う、“もう少し食料事情が良ければ…”、…亡霊どもが延々

と唸りをあげていた…命の不協和音…結核の猛威も進行も穏やかだったのかも

知れない…と、結核治療薬『ストレプトマイシン』も間に合ったのだろう…

と。

・…命を繋ぐはずの“お金”もヤミの亡霊どもが延々と唸りをあげふくらんで

いった…不協和音で汚いまま、食料事情は戦後の方が酷かった…小巻家…主に

兄-謙一“坊ちゃん”がヤミ市で毀れてくる仕事を拾って、燃え残った命を繋

いだ。…小さなホントウに微々たる浄財を試み~抗った。

・…長い時間がかかった。だが…

・<<…羽仰は小巻家に…吉祥の麒麟を招いたのだと…思う。>>

・<<そう!…麒麟。霊能の類を羽仰に引き寄せたのは小牧の力>>

・…三月十日あるいは十一日は麒麟の様に…。…そう!麒麟のように!…少女

(嘉寿江婆ちゃん)はカーテンと窓を開けた。夜空はキーンと、果てもなく晴

れ上がっていた。…いや…晴れていたはずなのだが、時化こみ酷い湿気で曇っ

ているように感じた、市場(…もはや裏巨金蠢くヤミ市でない…市場)から漏

れ出た照明、車のヘッドライトで全天が明るかった。…ハレーション…輻射さ

れたのは光だけではなく騒音・騒音もそうであった。…築地の卸売市場界隈は

搬送のため精霊どもが延々と唸りをあげていた…命の不協和音。…明るく照ら

された空は青く止めどもなかった…そんな様に見えた気がした、だが夜明けに

は酷く早すぎた。

・…とは言え…現実界の悪夢である。





前史、あるいは悪夢(1)終了です 前史、あるいは悪夢(2)が続きます。 エピソードは(2)で終了予定です。

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