1話 河上総司
「そろそろ海が見えてきてもいいと思うんだけど。」
六角家の六角定頼様から体のいい追放措置を食らった俺は、尾張に向かって山道を歩いている。
俺の名前は、緋村総司。もちろん、戦国時代の武将なんかではない。どういいうわけだか、
気づいたら戦国時代の農村で農作業をしていた。それも、子供の姿で。
俺は、紫焔流という大変マイナー流派の10代目だった。元をただせば、北辰一刀流と新陰流と
天然理心流を組み合わせた流派…らしい。
俺は、一応大学まで剣道一筋に取り組んでいた。仲間からも流派について笑われたが、あることを
説明すると彼らの顔は笑顔から恐怖に変わっていった。俺の苗字は、緋村ではない。これは、
この世界で人生をやり直すために勝手につけた。
俺の本名は、河上総司。俺の先祖の家系には、河上彦斎がいる。
まぁ、このままいっても理解できる人は一握りだろう。
彼は、アニメや実写化もされた『る○うに剣心』の主人公のモデルになったといわれている
人物だ。笑っている部活の仲間も俺の実績とその係累を知るとすぐに態度を変えるようになる。
俺が剣道を始めたのは、ある事件がきっかけだった。
小学生5年のころ、河川敷で悪ガキ集団からいじめられたことがあった。
その時俺は、近くに落ちていた角材で全員を叩きのしたうえで、川に突き落とした。
悪ガキ集団は大怪我をしたが、いつも悪さばかりしてる彼らは、俺がやっとという言葉を
信じてもらえず、そのままいつの間にか転校していた。。
俺は、その時にそいつらを叩きのめした快感が忘れられず、独学で剣道を始めた。
本や動画を見ながら、来る日も来る日も練習した。
中学に上がったとき、はじめて道着を着て試合をした。
その時から、これまで俺は負けたことがない。
大学の部活のやつも俺とはやりたがらない。
だから俺は何時も思っていた。俺は生まれる時代を間違えたんじゃないか?
戦国時代に生まれていれば、後世に名を残すような存在になれたのではなかろうかと。
そんなことを考えていた時、俺はこの世界に来た。
それから12年。たまたま、村に現れた盗賊を包丁で殺めた俺は、そいつらの刀を奪い、
その集団を壊滅させた。それが13歳のころだったろうか。
子供が盗賊を壊滅させたと聞いた武士が村を訪ねてきたとき、おれは躊躇わずに
その武士に随行した。
彼は、六角家の武士だった。
それから5年間、俺は六角家の傭兵として、三好長慶率いる三好家と戦った。
俺は常に最前線で戦い、誰よりも多く敵を斬り、加えて一太刀もうけずに、
戦い続けていたことから敵味方ともに俺のことを「剣神」と呼んだ。
「剣聖」と呼ばれていた塚原卜伝とも手合わせをしたが、何度打ち合っても決着がつかず、
その実力を評価され、将軍家から『鬼丸国綱』を頂いた。
本来、足利義昭が織田信長に渡すものであるが、貰ってしまった。
なら、これほど活躍した俺がどうして追放されたのかというと、
別に定頼様の逆鱗に触れたわけでもなく、御家来衆に嵌められたわけでもなく、
俺を内外で散々にほめちぎった定頼様の嫡男、六角義賢の嫉妬によるものだ。
奴は俺を殺したがっていたが、家臣と定頼様の意見もあり、追放という形で終わった。
家臣衆からは、立派な弓と駿馬。定頼様からは、新品の大鎧と鎧櫃、六角家・足利家の陣羽織、
当分の生活費として『200貫(現在の3000万)』。
足利家からは、朝廷に願い出て『正六位上 左近将監』の官位を授けてくれた。
おかげでどこの大名家にいっても、有能なものとして見てくれる。
過去のことを振り返っていると、道が開けてきた。
ふいに視界に大海原が広がった。
観音寺城をでて3日。おれはようやく尾張にたどり着いた。
お久しぶりです。
会社で日直をしているときに不意に書いてみようと決意。
また始めます。
いつ終わるか分かりませんが、お暇な方だけ見てってください