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あの人

作者: momiji


あぁ、いつもあの背中だ、いつも輝いて見える、私の果ての先を行くあの背中


あの人を見るたびに嫌悪感に襲われる、自分はなんで頑張ってこなかったんだろう

あの人のように頑張ろうとしたこともあったが私には無理だった、あの人はいつも特別だ、私とは違う

あの人の香水の匂いを嗅ぐだけで吐き気がする、

喋るときの唇の動きが嫌いだ、目を見て話してくるのもあまりにも眩しい

あの人のやることが全て私への当てつけのように思える


「今夜一緒に飲みにでも行きませんか?」

「えっ、私とですか?」

「うん、たまには女二人で飲みにでも行きましょうよ、親睦会ってことで!」


意外だった、私なんかが頭の片隅に入っているとすら思ってもいなかった




「何か悩みとか無い?」


ビールをグイっと飲んだかと思うといきなり聞いてきた


「はぁ、悩みですか、一つあります、他の人と比べちゃうんですよね、何やってもうまくいかない

他の人が輝いて見えるんですよ・・・」


まぁこの人のことなんだが


「あぁ、私もね、あなたみたいな時があったの、何やってもうまくいかない、先を行く人が輝いて見えるの、あまりに眩しくて現実逃避していた時もあったぐらい」


「えっそうなんですか、私からしたらそんなの想像もできないですけど」


「ふふ、私も完璧人間じゃないのよ」


この人も同じ経験をしてきているということなのか


「私はねそうやって自己嫌悪に陥ってからがスタートだとおもうな・・・」


「どういう意味ですか?」


「他の人が眩しく見えるのは自分が努力してきている証拠なの、努力すらしない人は自己嫌悪にすら陥らない、誰だってそう、小学生だってテストで良い点取れなかったら嫌でしょ?」


「はぁ・・・」


この人の話は全く理解できない、そもそも成功してる人からこんなこと言われてもなぁ・・


「良い?努力してると見える世界が変わってくるの、他の人が輝いて見えたりするわけ!そこがスタートなの!ああいう風になりたいなぁとかさ、ま、この先生きていけばわかるときがくるよ、あなた私より若くそのことに気づいたんだから私よりできるはずなんだよ!」


気づいたと言われてもピンとこないがどういうことなのか


「でもさ、こんなこと言っておいてなんだけど限界ってどうしてもあるのよね、他の人が輝いて見えたままなの、自分の成長が感じられない、ますます自分のことが嫌になっていくけど努力する以外に道が無いの・・・」


あの人は私の目をじっと見つめながらそう言った

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