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セントラリア戦記~元王族護衛騎士の戦い~  作者: ふふふ
第1章 天覧試合
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第1章 ①雨中の出会い、その男ギリギリ生き延びる。

大雨の中、男が一人、露店の柱にもたれ項垂れていた。

「もう、いいよな。そっちへ行っても……」男はつぶやく。

今は雨季、しかも今日は土砂降りの夜で、店を開けている者は酒場くらいだった。


数分後、この雨では客は来ないと、酒場の若い女店主が店じまいのため外の看板を片付けようと店先に出た。

そのとき、向かいの店の柱の下で雨にうたれる男に気づき、声をかけた。


「おい、あんた!そんなところでボーっとしてると風邪ひくよ!」


男はゆっくり顔を上げ女店主を見ると、よろめきながら立ち上がった。

「すまないな、もう何日も飯を食っていないんだ。俺はもう…いいんだ。気にしないでくれ。」

男はそう言うとまた柱にもたれ座ろうとした。。店主は慌てて声をかける。

「ちょっと待ってよ!そんなこと言われても放っておけないじゃないか!

 この雨で、もう店じまいしようと思ってたところだし、

 残り物でいいならタダで食わせてやるよ。店の前で野垂れ死なれるのも困るしね!」


男は、またゆっくりと顔を上げ、女店主を見て、

「すまないな、確かにこんなとこで死ぬのも迷惑だ。」

と言い放ち、よろめきながらその場を去ろうとした。


女店主は、去ろうとする男の腕をつかみ強引に店の前に連れてきた、

「声かけちまったんだからどこで死なれようと迷惑だよ!!

飯食わしてやるってんだから素直に受け入れなよ。

とりあえず、店に入る前にこれで体拭いてくれ!」と言い男に布を渡してやった。


男は受け取り、身を包んでいた皮の鎧を拭き上げ、店の中に入り一番近いテーブルに着いた。

女店主が店の残り物の食事をドンと机に置く。かなりの量だ。

男の目に少し生気がもどり、手づかみでそれを勢いよく食べだした。

「まだ、生きていていいのか…俺は。」男は小さく呟く。

女店主は厨房の掃除をしてくるからと、店の奥に入っていった。


数分で全て食べ終わた男は、厨房で掃除をしていた女店主に声をかける。

「ご馳走様。ありがとう。食器を洗って返すからシンクを使わせてもらうが良いか?」

女店主は驚きながら、

「はぁ!?あれだけの量をもう食ったのかい!?」と言うと、


「あぁ。美味かったよ。本当に。多分3日ぶりのまともな食事だった。」

と言い、男は厨房に食器を持って入った。


「片づけは良いからさ、なんであんなところで死にかけてたか教えとくれよ。

あ。まだ名乗ってなかったね。私はダリア。ここの美人店主さ。

あんたの名前は?なんで飯も食わずに、こんな雨の中で死にそうになってたのさ。

仕事はないのかい?」

確かに女店主・・・ダリアは美しかった。

背が高く、腕や足も長い。栗色のロングヘア―にはっきりとした顔立ちをしており、よく笑う。

彼女目当てでこの酒場を訪れる男も、それなりにいるほどだ。

自分で美人店主と名乗るところも彼女の親しみやすさを体現している。


「あぁ、俺も名前、言ってなかったな。

 俺はセント。仕事は、その日暮らしの何でも屋ってところだ。

 雨季の終盤は、仕事がなくてな。あのざまだったよ。

 助けてくれてありがとう。もう少し生きてみることにするよ。」


ダリアは食器を洗いながらさらに聞き返した。

「あんたのその鎧。

 皮の鎧だけどかなりしっかりしてるし、王国の紋章もあるけど、兵隊さんじゃないのかい?

 まさか盗んだものとかじゃないだろうね。」


男は少し戸惑いながら、

「いや、安心してくれ。盗品じゃない。

 ただ、俺が王国兵だったのは昔の話だ、この鎧も……返さないとな。」

と言い、うつむいてしまった。


ダリアは気まずそうにしながらも質問を重ねた、

「国軍にいるとき、なんか嫌なことでもあったのかい?」


「いや、先の戦争でな…。逃げ出してしまったんだよ。俺は。」

とセントはうつむきながら答えた。


そんなセントにダリアは元気よく、

「ま、まぁ生きてるだけで十分だよね!

 そうだ、あんた仕事がないなら、うちの手伝いしないかい?

 飯の世話くらいはしてやるよ?」

と提案した。


セントは顔を上げダリアを見ると、少し考えたのち、

「い、いや。ありがたい話だが、俺は料理なんて作れないし、酒のこともわからないんだが。」

と不安を吐露した。


ダリアは大笑いして、

「あんたにそんなの期待してないよ!

 酒場ってのは、まぁ荒くれも多くてねぇ。

 しょっちゅうっって訳じゃないんだが、店で暴れる奴もいるのさ。

 あんた兵隊さんだったんだからその辺のこと任せるよ。

 何もないときは掃除と配膳してくれれば良いからさ!」

とセントに仕事内容を告げてやった。


セントは安心し、

「それならできる!ぜひやらせてもらうよ。」と快諾した。


セントは酒場の配膳係件用心棒になった。



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