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インスピレーションで書いたお話

心臓の臓器移植をした女の子の話

作者: 知美

献血の駐車場の看板を見て、浮かんだインスピレーションに従って書いてみました。

ミキの中には二つの感覚がある

対象物に対して

冷めた感情

ウキッワクッとする感情


この二つの感覚に最初は戸惑った

だって、アタシじゃないみたいだから

だって、アタシは元々クールな反応しか出来なかった


感情を素直に表すことが出来なかった

でも、今は違う


感情を我慢することが出来ない

感情を表さないでいると、機嫌が悪くなる

そして、それが顔に出る


今まではそんなことはなかった

だって、アタシはクールでポーカーフェイスだったから

そんなアタシがクールでポーカーフェイスじゃないなんて……


納得できない

それに、友達が離れてしまった


「クールなミキが好きだったのに……」

「ポーカーフェイスじゃないなんて変……」


その言葉に気付き、アタシはふさぎこむ


“前のアタシに戻りたい”


そんなこと思ったって無理なのに

アタシが生きるにはこれしか方法がなかった


心臓移植しか……


だから、医師からこんなことを言われたとき、意味がわからなくて固まった


“感覚が変わるかもしれません”


その言葉を聞いて、臓器移植をする前はなんとも思わなかった


臓器に感覚が宿るなんて知らない

例え、医師から言われても信じられない


だって、したことがないから

でも、今は、それを体感してる

信じざるを得ない

納得するしかない

「そうなんだ」って


それからのアタシは明るくなった

そして、新しい友達もできた


「こっちのミキの方が好き」

「可愛い」


そんなことを言ってくれる人が増えた


本当はもっと素直に自分の気持ちを表現したかった

でも、それを出来なかったアタシがいる

でも、臓器移植のお陰で

心臓をアタシにくれた女の子、家族のお陰でアタシは今、スゴく楽しい


感情を表現する楽しさを知った

最初は恥ずかしかったけど、今は違う


感情を表現する度に嬉しくなる


この心臓の持ち主は些細なことにも感情が生まれるから時々、イヤになるときもある

だけど、こんな感覚の持ち主も居るんだと知れた


アタシの世界が少しだけど広がった


「ありがとう……」


その小さな呟きは誰にも聞こえない

だけど、アタシにだけ聞こえていれば良い


桜の樹に触れながら言った言葉の直後、アタシを呼ぶ声が聞こえた


「谷咲ミキさん……、ですか?」

「……はい」

「あの、ボクと……付き合ってください」


きっと、クールでポーカーフェイスなアタシだったら、素直に嬉しがることができない

その上で、多分、相手を傷つけてしまうか言葉が出てきたはず


でも、今は違う


初めて告白されたわけじゃないけど、涙が出てくる


きっとこの心臓の持ち主告白に対して、たくさんの思いがあるのかもしれない


「あの……──」

「大丈夫、イヤなわけじゃないので……」


アタシは新しい感覚を胸に、告白の返事をすることにした



読んで頂き、ありがとうございます。やっぱり物語を書くのは楽しいですね。


それから、話の設定等は全て、作者の想像で、創造したものです。

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