魔王
ルナリアはうめき声を上げながら膝をついて頭を抱え込んでいる。
アマンダはそんなルナリアに対して無防備に近づいた。
「子供のころは私よりも成績が良かったって聞いたときは驚いたわ。でもあたった担当官が悪かったわね。自分の指導方針で貴方を最高傑作にしようとしたけど、やりすぎてあんな結果になってしまうんですもの」
ハヤトは近くにいたゼノビアが飛び出したことに気付く。
だが、そのゼノビアはルナリア達に近づけなかった。見えない壁のようなものがあるようでその先へ進めないのだ。
「そ、それは卑怯! ルナリアちゃん! 意識をしっかり持って!」
人によっては記憶が蘇る時に痛みで気絶することもある。それを戦いに組み込んだことをゼノビアは卑怯だと言った。
だが、アマンダはどこ吹く風だ。
「卑怯の何が悪いの? 正々堂々戦って負けるくらいなら卑怯な手を使っても勝ちたいわ。負けて得るものがあるという人はいるだろうけど、それは負けても死なない人だけが言えることよ」
そう言ったアマンダは何かに気付いた感じになり、ゼノビアに笑いかける。
「それに今はどっちが魔王になるか勝負しているのよ? 魔王ならこれくらいやるでしょ?」
そんな話は聞こえていないのか、ゼノビアは見えない壁を叩きながらルナリアに気絶しないよう呼び掛けている。
ハヤトも見えない壁のところまで行き、ルナリアに声援を送ろうとした。
「……まって」
直後にルナリアから声が聞こえた。
「え? 待って? 待つわけないでしょ? 魔王が命乞いなんて惨めよ?」
アマンダはデュランダルを振りかぶる。
その瞬間、両手で頭を抱えていたルナリアが膝をついたまま顔をあげた。
アマンダは後ろへ飛びのいた。驚愕の表情でルナリアから必要以上の距離を取る。
それを見たハヤトは一瞬何が起きたのか分からなかった。ゼノビアも同様で呼びかけが止まっている。
(アマンダさんは驚いたというレベルの顔じゃない、あれは恐怖を感じたときの顔だよな? それに仮想空間なのに息苦しい気が……)
アマンダやゼノビアも同じなのか、仮想現実であるにもかかわらず息を切らすように呼吸をしている。
そんな状況でルナリアがゆっくり立ち上がる。両手で頭を抱えている上に長い銀髪が顔にかかってハヤトからは表情が見えない。見えるのは正面にいるアマンダくらいだろう。
「ルナリア、貴方……!」
そのアマンダは素手であるルナリアに対して武器を構えて警戒している。いままで構えていると言っても肩の力を抜いた構えだったのだが、今は相当な警戒をしているのか、両手をクロスさせるようにして構えていた。
「……まって」
またもルナリアが言葉を発する。
「待って……じゃないわね。最初が良く聞こえないわ。なんて言っているの?」
アマンダが警戒したままそう尋ねる。
「謝って!」
「……え?」
「皆に謝って! 酷いこと言ってごめんなさいって謝って!」
鳩が豆鉄砲を食らったような顔という言葉がある。ハヤトは豆鉄砲も鳩も実物を見たことはないが、今、自分はそんな顔をしているんだろうなとぼんやりと考えた。
アマンダとゼノビアも同じようで、ぽかんとした顔でルナリアを見つめている。
ハヤトは簡単に事情を聞いている。アマンダはクラン戦争のイベントでアンブロシアがブラックジャックに負けたとき「使えない」と罵った。
それに対してルナリアが怒りアマンダに「謝って」ととびかかるものの、返り討ちにあったという経緯がある。
「記憶を取り戻して最初に言うのがそれ? 他に言うことがあるでしょうに。貴方の頭の中ってどうなってるの?」
「記憶があろうとなかろうと皆と一緒にこの世界で生きてきた。問題があるのはアマンダが皆を罵ったことだけ。それを皆に謝って!」
「純粋なのか馬鹿なのか分からないけれど、私は謝らないわよ。謝ってほしいなら私に勝ちなさいな」
「もとよりそのつもり。謝るまで殴る」
「気絶するほどの痛みの中、そこまで言えるとはたいしたものね。でも、武器を手放した貴方に勝てる可能性はないわよ――オーバークロック」
アロンダイトとエクスカリバーは床に転がっている。通常、武器を手放してもアイテムバッグへ戻るだけだが、なぜかルナリアの両手から離れている。
アマンダとルナリアのちょうど中間点にあるが、アマンダはその装備を取らせまいと先に超絶バフスキルのオーバークロックを使用した。
だが、ルナリアは全く慌てる様子もなく、両手を軽く突き出すようにして構える。
「素手で勝てるわけないでしょう!」
ハヤトが辛うじて目で追える高スピードでアマンダがルナリアに接近する。そして剣で突き刺すように攻撃した。
ハヤトはその剣がルナリアに刺さったと思えたが、そんなことはなかった。
ルナリアはその攻撃をアマンダの右側に回転するように躱しながら、アマンダの右腕を掴み抱え込む。そのまま関節を極めて体重を乗せながらアマンダを地面に叩きつけた。
ハヤトがそれを理解できたのは動きが止まってからだ。あまりにも速すぎて状況を認識する前に今の状態になっていた。
ルナリアは領地をすべて奪っている状況なのでステータスが上昇している。STRの関係で抑え込むことは可能だが、速く動けるわけではない。
そんな状況でオーバークロック状態のアマンダを捕まえたということになる。
「嘘でしょ!?」
「嘘じゃない。これはアズマ流体術。たとえ速く動けてもこうなったら動けない」
「ふざけんじゃ――え?」
なんとか抜け出そうとアマンダはもがこうとしたが、ルナリアは自分から極めていた腕を離して立ち上がった。
さらには落ちている武器も取らずにアマンダと距離を取る。
「まぐれだと思われたくないからチャンスをあげる。敵わないと思ったら謝って」
アマンダはゆっくりと立ち上がってルナリアを睨んだ。
「初めて人を殺したいと思ったわ……!」
「そう? 私はいままでもこれからもそんなことは思わない。でも、怒りを覚えたのは間違いない。こんな感情は早く捨てたいからすぐに謝って」
「さっきあれほどの殺気を放っておいて良く言えるわね!」
アマンダは怒りの形相でルナリアに接近する。
対照的にルナリアは冷静だ。今では痛みを感じていないと思えるほどの無表情でアマンダの攻撃を受け流している。
アマンダの物理法則を超える動き。本来なら受けることも躱すことも難しいはずだが、ルナリアは必要最低限の動きでその攻撃をさばいている。
「ルナリアちゃん、すごい……」
ゼノビアが驚きの顔でつぶやく。
「俺には速すぎて見えないんだけど、やっぱりすごいの?」
「う、うん。ルナリアちゃんは攻撃を躱しているんじゃなくて、攻撃やフェイントを使ってアマンダちゃんの攻撃をずらしてる。自分よりはるかに速い攻撃だから来る場所を正確に予測しなくちゃあんなことは無理。むしろルナリアちゃんがアマンダちゃんの攻撃を操っていると言っていいほどかも……」
そんなことを言われてもハヤトには理解できないが、かなりの状況であることは理解できた。
少なくともルナリアのHPは減っていない。アマンダの持つ剣「デュランダル」や投擲用のナイフが当たっていない証拠だ。
アマンダの嵐のような攻撃にもかかわらず、ルナリアはゆっくりとした動きで躱している。単にハヤトにはそう見えるだけなのかもしれないが、その動きがすべてルナリアの計算なら相当なものなのだろう。
(これが本気のルナリアさんか。エクスカリバーとかいらなかったな。それに用意した指輪とかも使う必要がなさそうだ)
アマンダ以上に速く動くために用意したエクスカリバーだったが、そんなことをしなくてもオーバークロック状態のアマンダを圧倒している。
「柳に雪折れなしとはこのこと。どんな吹雪でも嵐でも私は倒せない。貴方はミスをした。記憶を取り戻させたのは悪手。今の私はスーパー魔王」
「ハッ! 防御だけじゃ私には――ぐっ!」
勝てないと言おうとしたのか、その前にルナリアのパンチがアマンダの腹に当たる。
素手の攻撃なのでダメージは低いが、その衝撃でアマンダはくの字に折れる。その隙にルナリアはしゃがみ込むようにしてアマンダの両足を後ろ側から片手で勢いよく払った。
体勢を崩していたためか、アマンダはものの見事に空中で一回転して床に仰向けに倒れる。
ルナリアはそんなアマンダを冷酷な目で見下ろし、アマンダは驚愕の目でルナリアを見上げた。
「これはセシルちゃんとイヴァンに教わった攻撃。HPが無くなる前に謝ってほしいから攻撃しなかったけどやろうと思えばやれる」
アマンダはすぐさまルナリアの足を自分の足で払うようにするが、ルナリアはバク転して後退しながら躱した。
アマンダも足払いの勢いと風魔法を使って体勢を戻し距離を取る。
息が荒いアマンダと特に難しいことは何もしていないと言わんばかりのルナリア。
(圧倒的だな。これなら負けることはないけど……)
ハヤトとしてはやや複雑だ。間違いなくルナリアの味方ではあるが、アマンダのことを悪く思っているわけでもない。その目的ややり方に関しては共感できないところもあるが、そこまで悪だとも思えない。一番良いのは和解だが、それは無理だろうと状況を見守る。
「まだ続ける?」
ルナリアがそう尋ねると、アマンダは大きく息を吐きだしてから笑った。
「当たり前でしょ。もう勝ったつもりでいるの?」
「数年前からもう勝ってる。仲間がいない一人ぼっちの貴方が私に勝てる理由はない」
「……そうかもしれないわね」
アマンダがそうつぶやくと、全員が「え?」という顔でアマンダを見た。
いつもなら人を馬鹿にしたような笑みを浮かべているアマンダが、いつになく穏やかな顔をしているのだ。
「でも、こんな私にもね、一緒になって悪だくみをしてくれる仲間ができたの。悪いけど一人ぼっちじゃないわ」
「……それをアンブロシアのメンバーに対して思ってほしかったけど」
「それは無理ね。あの頃のクランメンバーは仲間じゃないわ。そもそも、あの頃の私は研究所――財団に対してどう復讐するかだけを考えていたから、ただの駒として使っていただけよ」
「……駒」
「貴方になら共感を得られると思っていたのにねぇ。覚えているでしょう、あの研究所のことを。私はね、あそこに復讐するために他人を利用しただけ。復讐は悪いことかしら?」
「復讐に関して謝れなんて言ってない。他人を利用したことと、皆を罵ったことを謝れって言ってる」
「ああ、言葉が足りなかったわね。他人を利用することも悪いことだって思ってないの。そして使えない人間に使えないと本当のことを言ったことも悪いと思ってないわ。そんなことよりもどう? 今からでも私と一緒に研究所や財団に復讐しない?」
アマンダの提案にハヤトは驚くが、ルナリアはすぐに首を横に振った。
「研究所や財団のことなんてどうでもいい。さっき思い出したけど、もう忘れる。今の私にはみんながいるこの場所さえあればいい」
「貴方が何かを忘れるわけないでしょ。まあいいわ、交渉は決裂ね」
そう言ったアマンダはちらりとハヤトを見た。
(まただ。さっきからチラチラと目が合うような……?)
ハヤトはそう思ったが、すぐにアマンダは視線を逸らす。
「オーバークロックはもう使えないわね。さて、どうしようかしら?」
効果時間が切れているが、なぜか余裕があるようにふるまうアマンダ。奥の手があるのかとハヤトは思う。ルナリアも同じように思ったのか警戒を解いていない。
「ところで本気を出さなくてもいいの? そんなことだとまた勝ちを逃すわよ。あの時もゼノビアを見捨てていれば私に勝てたかもしれないのに」
「魔王はそういう勝ち方をしない。圧倒的な強さで勝つのが魔王」
「貴方の魔王論はどうでもいいけど、それで負けたら意味がないでしょうに」
「魔王は負けても変身するから平気」
「あっそう」
アマンダはいきなりルナリアに対してナイフを投げる。
ルナリアは漫画でよく目にする人差し指と中指でそのナイフを挟むようにして止めた。
「こんな攻撃で魔王は――」
なぜナイフを投げたのか。接近するためだと誰もが思っていたが、そうではなかった。アマンダは床に落ちていたアロンダイトとエクスカリバーを拾い上げている。
「言っておくけど、それは私専用装備――」
「今の私には限定的だけど管理者権限があるのよ。所有者権限を無視して装備できるわ」
アマンダが右手と左手にそれぞれアロンダイトとエクスカリバーを持つ。
「さあ、第二ラウンドよ。手を抜いていたことを後悔しなさい――ブラックスワン、ホワイトライトニング」
アマンダが武器専用のウェポンスキルを発動する。
本来であれば強敵に一撃を当てるまで使えないウェポンスキルを何の制限もなく使用した。そしてオーバークロックとは比較にならない高スピードで接近するアマンダ。
ルナリアは慌てることなくその攻撃を捌くが、先ほどよりも速い攻撃に防御が間に合っていない。特にスキル中、剣の軌道が白や黒に染まる攻撃は対人戦ではこの上なく邪魔だ。
クリーンヒットはないものの、徐々にルナリアのHPが減り始めた。
「ルナリアさん!」
先ほどまでアマンダに同情的だったのも忘れ、ハヤトは叫ぶ。
その声にアマンダは少しだけ体が硬直したが、それは一瞬、すぐにルナリアに対して攻撃を放つ。
「え?」
アマンダが驚きの声を出す。
ルナリアが格闘スキルの「白刃取り」を使い、アロンダイトの攻撃を防いだのだ。
格闘スキルを持たないルナリアが「白刃取り」を使えるのは魔王スキルの恩恵。勇者スキルと同じようにあらゆる戦闘スキルが使える魔王固有のユニークスキル。
白刃取りを使うよりも自身の身体能力で攻撃を躱せるはずのルナリアが、なぜそんなことをするのかとアマンダは不思議に思ったのだろう。その一瞬が命取りだった。
ルナリアはすぐにハヤトから渡されていた指輪と腕輪の装備に切り替える。
その装備は窃盗スキルが上がるだけの指輪と腕輪。
どちらも窃盗スキルが40上がる装備だが、装備でスキルを上げることができるのは50までという制限がある。なので現在のルナリアは窃盗スキルが50まで上昇した。
ルナリアはすぐさま窃盗のスキルを使った。
白刃取り中に窃盗スキルを使うと相手の武器を奪うというスキルコンボ。ハヤトもディーテとの戦いでAI殺しを奪われたことがあったが、それをルナリアに教えていたのだ。
窃盗は窃盗スキルの値によって確率が変わる。現在の窃盗スキルは50なので、50%の確率。
だが、ルナリアはそれが当然というように当たりを引く。
アマンダの手にあったアロンダイトをルナリアが奪い返した。
「なによそれ!?」
混乱したアマンダはすぐに距離を取る。その間にルナリアはアロンダイトを装備した。
「これはハヤトさんから教わったスキルコンボ。この指輪と腕輪で窃盗スキルを一時的に上げた」
ルナリアは指輪と腕輪をアマンダに見せてから、装備を外してアイテムバッグにしまった。そして戻ってきたアロンダイトに対してうんうんと頷く。
「アロンダイトも私の方がいいって言ってる」
笑顔でそう言ったルナリアはアロンダイトの剣先をアマンダに向けて真剣な顔になった。
「これが最後。皆に謝って」
「……え? ああ……死んでも嫌よ」
「じゃあ、もういい。皆には私から謝っておく」
ルナリアは魔王スキルによる縮地でアマンダに接近した。そしてアマンダを攻撃。アマンダが持っていたエクスカリバーと鍔迫り合いの状態になった。
「この子は貴方を強敵だと認識した。これ以上手加減されるとは思わない方がいい」
「手加減してなんて一言も言ってないわよ」
「なら、ここからは本気で行く。貴方に魔王はまだ早い。もっと魔王を勉強して――ブラックスワン」
その言葉を皮切りに激しい戦いが始まる。
が、一方的だ。ルナリアのアロンダイトがアマンダの防御をかいくぐって攻撃を積み重ねる。
ホワイトライトニングを使用しているアマンダはルナリアとほぼ同じスピードで動ける。だが、防御が追い付いていない。
その状況をハヤトは不思議に思う。
(アマンダさんはなんでデュランダルを使わないんだ? オーバークロックが使えないから? でも防御に専念すれば何とかなると思うんだけど……装備を切り替えるのは一瞬なのになんで?)
アマンダはエクスカリバーでルナリアの攻撃を受けている。受けているだけではなく攻撃もしている。
デュランダルは耐久力がない武器。延々と攻撃を受けることができるチート級の装備だ。防御に専念することで相手の武器の耐久力を減らすことができるので、対人戦では無類の強さを誇る。
だが、アマンダはエクスカリバーで戦っている。
装備を変えればホワイトライトニングが使えなくなるというデメリットもあるが、デュランダルで防御に専念すればルナリアの攻撃も捌けるのではないかとハヤトは思っている。
そんな風に思っているとアマンダが繰り出すエクスカリバーの白い軌道をアロンダイトの黒い軌道が徐々に塗りつぶしていく。
アマンダの表情は苦し気だ。
それから数秒後、ルナリアの攻撃がアマンダにクリーンヒットした。
痛みはないだろうが、攻撃の衝撃で体勢を崩し、ふらふらと後退する。
「アマンダさん!」
ハヤトはアマンダの名前を叫んでしまった。
これまでもチラチラとハヤトの方を見ていたアマンダだが、今度はハヤトをじっと見つめている。そして弱弱しくも口元に笑みを浮かべた。
直後にルナリアの突き刺すような攻撃がアマンダを襲う。アマンダはエクスカリバーでは間に合わないと思ったのか、左手の手刀で相打ちを狙った。
ほぼ同時にお互いの攻撃が当たる。
だが、アマンダの方だけが壁まで吹き飛んだ。
それでも立っていたアマンダだったが力が抜けるようにゆっくりと膝をついた。そしてうつぶせに倒れる。
倒れるまでの間、アマンダはずっとハヤトを見つめていた。穏やかな視線は何かを言いたげだったとハヤトにはそんな風に思えた。
先ほどの攻撃と同時に見えない壁が消え去ったようでゼノビアがルナリアの方へ駆け寄った。
ルナリアは不思議そうな顔でアマンダの手刀を受けた部分をさすりながら首を傾げている。
それも気になったが、ハヤトはアマンダの方へ駆け寄った。
「アマンダさん」
そう問いかけるが何の反応も示さない。そして徐々に体が透け始める。
「……え?」
ハヤトはアマンダの指に指輪が装備されていると気付く。それはルナリアに渡したはずの窃盗スキルが上がる指輪。
ハヤトは口を開くが言葉を発する前にアマンダは静かに消え去った。




