十本足の宇宙人シリーズ 漫談 桃太郎
えー。日本の昔話に「桃太郎」っていうお話がございます。
サル、キジ、イヌをお供にして、鬼ヶ島で鬼を退治し、財宝をたくさん持ち帰って来るっていうお話でございます。
しかし、この財宝。警察に届けるとか、元の持ち主に返すとかせず、勝手に自分の物にして良かったのでしょうか?
地球から遠く離れ、十本足の宇宙人が住む惑星にも似た話がございます。
この星のおじいさんとおばあさん。ある島に住んでおります。ある日、おばあさんは海に浮かぶ大きな桃を見つけまして、桃太郎はそこから生まれます。
大きく育った桃太郎は、サル、キジ、イヌをお供にして鬼ヶ島に乗り込みますが、自分の倍以上もある鬼の大きさに驚き、戦意を無くしてしまいます。
しかし、皆に鬼退治をすると吹聴してしまった手前、手ぶらで帰るわけにはいきません。そこで、鬼から財宝を盗み出し、鬼を退治した戦利品だという事で、誤魔化そうと企みます。
しかし、自分でやる気はございません。
「お前達 どうにかしろ」
桃太郎はお供の三匹に命じます。そこで仕方なく、サルが考えます。
まず、イヌが外で大声で吠え、鬼を外に誘き寄せます。次に、サルがキジに捕まり、空から鬼の屋敷に侵入し、財宝を盗むというものでございます。
案外 これが上手く成功致しまして、桃太郎は両手いっぱいの財宝を持ち帰り、おじいさんとおばあさんは大喜び致します。
これに味を占めた桃太郎。この後、鬼退治と称しまして、鬼の家々に忍び込み次々と財宝を盗みます。
おじいさんとおばあさんは、そんな事とはつゆ知らず、大喜びしておりました。
そんなある日、桃太郎の島に一匹の青鬼が乗り込んでまいります。
「俺はメロンから生まれたメロン太郎。お前か、悪さをしている人間は」
桃よりも高級な果物とされておりますマスクメロンから生まれた青鬼は、桃太郎よりもずっと大きく、その上、お供にゴリラ、ワシ、トラを従えています。
桃太郎にとても勝ち目はございません。そこで桃太郎は誤魔化す事に致します。
「さて、何の事か、さっぱり分かりませんなあ」
「とぼけても無駄だぞ。そこのおばあさんが付けているネックレスは三丁目の青鬼さんから被害届が出ている。おじいさんの指輪は五丁目の赤鬼さんの物だ。他の島からも沢山の被害届が提出されている。検めさせてもらうぞ」
桃太郎の島は 善良な鬼達の島に囲まれた唯一、人の住む島だったのです。誤魔化せないと観念した桃太郎。
「やけくそだ―」
メロン太郎に飛び掛かりますが、あっけなく負けてしまいます。
無事にメロン太郎は財宝を取り戻し、元の持ち主に返して回ったという事でございました。
人ヶ島の泥棒退治のお話でございます。
めでたし。めでたし。




