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全ての始まり

『お疲れ~! 今日もいいレイド戦でしたね!』

『いえいえ。ギルドのみんなのおかげですよ。・・・それにしてもこのゲームがサービス終了って寂しいですね』

『しょうがないですよ。今の時代にMMOオンラインゲームなんて流行らないんですから。むしろ運営はここまでよく頑張ってくれてましたよ。それに最後の最後でレンさんと狩りに行けて嬉しかったです』


 MMOオンラインゲームの一つであるフリーダムワールドが終わろうとしていた。サービス期間約10年という長期間のサービスだったが、最近ではかなり人口も減ってしまっていた。そこで運営はサービスの終了を発表したという訳だ。

 長いようで短かったな。キャラクリから何もかもが自由なMMOというのがキャッチコピーというのもあり、全てが自由にやれるゲームで斬新だった。それでサービス開始時はかなりの人口だったんだよな。


『そういえば、レンさんって社会人でしたよね? 今度飯でもどうです?』

『いいですけど・・・オーレリアさんって女性ですよね。俺、男ですけど大丈夫です?』

『もしかして狙ってます~? 大丈夫ですよ。私、レンさんのこと興味ないですし』

『ハッキリ言われるのも傷つく・・・。来週の土曜だったら大丈夫です』

『来週了解です! 店の予約とか頼みました!』

『誘ってきておいて俺がやるのかよ。はぁ、分かりましたよ。ただし期待はしないで下さいよ』

『どんなお店でも大丈夫ですよ~! 来週楽しみだなー』


 こうしてオーレリアさんとの会話が終わった。まさかネトゲの女子と実際にオフ会出来るとは。ブラックな会社で頑張って働きつつネトゲしてて良かった!

 それにしてもオーレリアさんって何歳なんだろ。喋り方とか的には20代前半とかみたいだけど。まぁ、実際に会ってみれば分かるだろ。店の予約をして来週に備えないと。


「へぇ~、あのネトゲで知り合った女子と実際に会えるなんてやるな」

「俺も驚いたよ。明日が楽しみだ」

「俺も続けてやってれば良かったな。仕事がブラック過ぎて無理過ぎだった・・・。怜はあのゲームどこまでやって終わったんだ?」

「まぁ、俺もブラックな労働のストレス発散でやってないと無理だからってので続けてただけだから。とりあえず、エンドコンテンツまで終わってたよ。後は、ギルドランキングで3位までいったかな」

「やり込み過ぎだろ!」


 会社の同僚である明と飲みながら今週末のオフ会について話していた。実際、ネトゲで知り合った女子と会えるのは嬉しい。下心が無いと言えば嘘になるが、フリーダムワールドについて語りたかった。ギルド戦で最後まで戦った戦友とも呼べる人と話したいことはゲーム内だけでは語れない。


「オーレリアさんだっけ? 俺がギルドにいた時にはいなかったよな」

「明が抜けてギルドを解散しようかなって思ってた時に加入してきたんだよ」

「へぇ~、そこからよくギルドを続けようって思ったな」

「実は解散しようと思ってるって話をしたら、この弱小ギルドを必ず上位のギルドにしてみせるから一緒に戦って欲しいって言われてな」

「なるほどな。そこで女性だからってことで心が揺れたってことか」

「ちげぇよ。その時は女性って知らなかったんだ。ただ、熱気に押されたのと・・・どうせだったら頑張ってみてどこまでやれるのか見てみたいと思ってな」

「珍しいじゃん。お前がそこまで頑張ろうって思うなんて、よっぽど惹かれる何かがあったんだろうな」

「確かに・・・。何か不思議とやってみようと思えたんだ」


 あの頃を思い返すと、明の言う通り何か惹かれるかのように不思議とオーレリアさんの一緒に頑張ろうって言葉に突き動かされたんだよな。

 まぁ、そのおかげでいい思い出が出来たんだから感謝だ。


「んじゃ、明日も早いしそろそろ帰るわ」

「だな。ここは俺が奢ってやるよ」

「・・・パチンコでも勝ったのか?」

「その通り!」


 そうして、居酒屋を後にして帰り道を歩いていた。明日の事を楽しみにしながらの帰りほど気分がいいことはない。そう、あの時までは。


「・・・これが竜の姫が選んだ存在か。何とも弱き存在だな」


 独り言を話してるの男が道の真ん中にいる。怖過ぎだろ。え? 何なのこの人。関わらずに無視して帰ろうっと。にしても、周りにいる人は気付いてないぽいな。


「待て。お前に用がある」

「あーっと・・・こっちには用が無いので失礼しまーす」

「オーレリアと言えば分かるか?」

「え? 何でその名前を?」

「お前は選ばれた。だからこそ死んでもらわなければならない。全ては多元宇宙のために」

「急に何を言っ―――は?」

「一撃か。どうしてこいつを選んだのだ。私という存在がいながら」


 男の腕が俺の胸を貫いている。一発でダメだと分かる。周りからは悲鳴などが聞こえてくるが意識が遠のいていく。どうやら心臓を抜き取られたらしい。いや、そんなことが出来る人間って何なんだよ。


「あいつは人間じゃないですよ」

「え? は!? その声はオーレリアさん・・・?」

「はいオーレリアです」


 目の前には金髪のロングヘアをなびかせ、真紅と紺碧の双眸を持つ美少女がいた。妖艶なスタイルで、出るところは主張し過ぎるぐらい出ており、締まっているところはしっかりと締まっている。その体のラインを強調するような服の上からロングコートを羽織っている出で立ちに気品すら感じる。


「いやー、このまま目が覚めないのかと思いました。ん? どうかしましたか? 私の体をそんなにジロジロと見て。いやらしいですよ」

「あ、ごめん。じゃなくて! 俺は死んだはずだ。あの時、確かに男に胸を貫かれた。信じられないかもしれないが、腕で胸を貫かれたんだ」

「信じますよ。あいつならそれぐらいやって当然です」

「あいつ?」

「名前はバハムート。次元の竜とも呼ばれ、様々な世界に出没して自身の目的のために動いてます」

「・・・なるほど」

「分かってないことだけは分かります。何にせよこれ以上説明しても混乱するだけなので、一旦どうなったのかだけ説明します」

「助かります」

「レンさんは死にました」


 あまりにも直球な説明に目の前が真っ暗になりそうだ。死んだ? え? けど、今生きてるけど。やっぱりあの時死んだんだ。などなど。様々な考えが一気に脳裏をよぎる。


「受け入れて無くても進まないといけないので説明を進めますね。そして、レンさんに付与していた竜の紋によってレンさんの死の知らせを受け取りました。

 私がその後、竜の誓いを発動させて死から復活させました」

「もう意味が分からない単語だらけだ」

「私は・・・竜の姫です。簡単に言うと竜の姫としての力を使って生き返らせたのです」

「なるほど! ってそうなる訳無い!」

「もう! 難しいことは後々分かるので今はとりあえず生き返ったことだけ分かってくれればいいんです! こういったのは漫画とかだと後の伏線になっていて、説明があるものじゃないですか!」

「まぁ、そういうものか・・・。分かりました」

「素直!? ・・・とりあえず、この世界の事を知るところから始めましょう」

「この世界のこと?」


 そう言うと、突然、オーレリアさんがキスをしてきた。突然のことに驚きを隠せないでいると、頬を赤く染めた顔をゆっくりと離していく。


「あなたは竜の姫である私に選ばれた異端の従者。ようこそ、異世界 アナザーへ」


 薄暗かった部屋に明かりが差し込む。閉じていたカーテンが開けられ、世界が広がる。目の前には空を飛ぶドラゴンに魔法のような神秘的な妖精のような存在。空には月が2つ存在している。


「これが異世界・・・。ファンタジーな世界とか最高だろ」

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