8話:利益率向上作戦1
2020年の春、海津の奥さんが今年度は利益率の高い、粉ものの販売を提案
してきた。具体的には、お好み焼きとピザだった。ピザと言っても実際にはピザ風
のナンであるがトッピングにサラミ、チーズ、ベーコン、野菜をいれたミックス
ピザを電子レンジで作るというものだ。海津の奥さんは自宅でも中力粉でミック
スピザ風のナンを作っていた。他の職員にも作り方を教えて3月中旬から試験的
に販売する事にした。そのために三つ叉ガスコンロと電子レンジを増設した。
実際に海津夫婦がビザ風ナンを中力粉と砂糖と生イーストをいれて熱湯を粉に
入れては、お箸でかき混ぜ、水分を十分に含ませて、手で十分に練り、赤ちゃん
のほっぺの様に、柔らかく、みずみずしくなったら、熱湯が入った大きなフライ
パンの上に練ったピザ生地を入れた金属のボールをのせ蓋をして20分、1次発
酵させる。時間になったら、それをナイフで12等分して、分けた塊を12個の
丸い団子にして、厚手のプラスティックシートの上にのせて、団子の上に濡れふ
きんか日本てぬぐいをのせ、10分間、二次発酵させる。終了したらパンで使う
木製の回転する、のばし棒で、大きめの楕円形に伸ばし、それを半分に切断し、
24枚のピザ生地にする。
それを数人で大きめ28cmフライパンで焼き、焦げ目がついて、一部が膨ら
んできたら完成。1kgの中力粉で24枚のピザ風ナンができあがる。翌日から
10時から午後3時までの試験販売をする事にした。海津がの配合表とレシピを
作成して料理係に渡した。9時からピザ風ナンを作り始めた。同時に3つの大き
なフライパンで手際よく焼く。焼けたそばから、あらかじめ切っておいた具材の
野菜、ベーコン、チーズをのせて電子レンジで3-40秒。チーズがとけたら
完成。製造するのに約一時間。
注文が多くなれば、あらかじめ焼けたピザ生地を多く作っておく方が効率的だ。
その週の土曜日は8時に早出して9時にはピザ24枚完成、その後連続して
10時までに48枚製造。10時過ぎる頃から、お客さんが増えてきてピザの注文
が増えて特に持ち帰りの人が多くなり、11時、12時と連続して48枚焼き合計
96枚。昼過ぎからもピザの注文が増えて、午後3時過ぎには全部売り切れた。
売切れの看板を掛けて終了した。
今日の反省会でピザの製造の中で中力粉の練りに力がいるので途中で交代した
方が良い事。小麦粉が飛び散り汚れるというのが問題になり掃除するために小さな
掃除機が必要という事になった。土日祭日は一時間早出して午前8時から午前中
に96枚製造し、売れる数量を見て使い製造をしていく事にして、もし製造が
間に合わないようであれば販売終了の看板を出すしかない。翌日の日曜日も
開場までに48枚用意した。10時に20枚近く売れたので、お昼までに
24枚製造したが売れ行きが良さそうなので連続して48枚製造した。
午後3時過ぎに全て売り切ったので販売終了の看板を上げた。
120枚で12万円の売り上げであり、拡幅工事後の売り上げは予想通り
汁物、丼物が好調で対前年5割増であり、利益額も予想通り順調。最後に
海津から役場の山田さんへ今年の2020年4月以降はお客さんの増加を前年比
5割増とすると職員を10名ほど増員しないと難しいし、夏休み中はさらに
10名、計20名の人員は必要だと言った。
正式職員、又は季節職員、学生さんのアルバイトでもいいから増員を真剣に考
えて欲しいとの要望を出し、最低、今月から土日祭日は10人の増員をお願いし
たいと話し、ついに桜の季節を迎えて観光客が増えだしピザは土日祭日は
192枚製造した。土日祭日の忙しさは特にひどくアルバイト職員を平日から
土日祝日に変更できるように要請した。ピザの注文が多いので2グループ制で
1時間当たり48枚の製造体制をテストした。翌週の土曜から早出して昼まで
に192枚作り、お昼までに全部売れた。そこで在庫が残ったら職員が持って
帰ってもいいから連続して昼過ぎからも192枚製造するよう指示し、
午後3時半時点で残り枚数12枚、午後4時で3枚となり直ぐ売れた。
192枚、19万2千円。一品でもちろん最大であり昔の一日の売り上げ
に相当する金額だ。
今年から導入した100円コーヒーマシンも好調、ピザを食べるときにコーヒ
ーやコーラ、ジュースも売れまくった。ピザは全体の3割程度が持ち帰りで
原価率から言うと、お好み焼き、ピザなどの粉物の収益率が一番良い。
お好み焼きの注文も多くの種類を用意して販売し好調だった。2019年
から比べても原価率は半分以下になり、その分、純利益は昨年の数倍に
なっていた。