23話:移住大家族用の新築住宅
市長から、電話で海津に市の職員宿舎跡地を使ってアパートか大家族用の一戸建
てを建てたいと言われた。そこで市長に1人者でも良いから移住者を呼び込みた
いのか、将来を考えて大家族の移住者を呼び込みたいのかを聞くと、もちろん大
家族を呼びたいと言った。それならローコスト住宅の大きめの1軒屋を建てた方
が良いのではないかと言うと、広さと価格を調べて欲しいと言われた。 その後、
業者に電話して聞いてみた。するとパソコンの業者のホームページを開くように
言われ、その中でDTJ-1という商品名の住宅を見て欲しいと言われた。この
家は、5、6人大家族でも十分な広さの総2階で土地面積114平米、34.5
坪、延床面積112平米、33.8坪が販売価格1200万円。これでいかかでし
ょうかと言われた。わかりました、検討しますと言い電話を切った。
海津は市長室へ行き市長に職員宿舎の跡地の広さなら、6軒ずつ縦に2列の1
2軒できると話した。12軒で1億4400万円で+整地費用(600万円)=
1億5千万円。市長が何とか造れないかと言うので、海津が採算が取れるかどう
か不明で、リスクが大きすぎると答えた。すると市長が6軒でも試しに建ててみ
てくれないかと言われた。そこで、海津が市から無利子で7500万円、貸して
いただけるならやってみますと答えた。数日後、国の交付金で、7500万円、
貸してくれる事となった。
そこで、IFホームに電話して、お願いしてみると、地元の誠実建設がIFホ
ームのフランチャイズだから、そちらで建てて欲しいと言われた。誠実建設の社
長に直接、話をするとネット限定の商品で利益が少なくて、やりたくないと言っ
てきた。そこで、整地費用を300万円出すからと言うと、どこの土地に建てる
のかと聞かれ、市の職員宿舎の跡地というと、あそこなら建てやすいと言い。引
き受けると言ってくれた。
ただ、あの格安住宅はネット販売のみでアフターサービスなしだと言った。
その条件で良ければ引き受けると言った。この話と市長に話すと、新築の家だ、
そんなに簡単にこわれることもあるまいと言い、建ててくれと言った。
工期を聞くと、うちの従業員だけでは半年かかると言われた。何とか応援を頼
めないのか聞くと、忙しい時期ではないので、知り合いの因幡ホームにも応援を
頼んでみると言ってくれた。
念のため、池田建設の池田社長に誠実建設と因幡ホームについて評判を聞くこ
とにした。電話をすると社長が今なら時間をとれると言うので、池田建設へ出か
けた。池田社長が誠実建設の先代社長は立派な大工の棟梁だったが、今の社長は、
からっきし不器用で、口だけだ、注文住宅を取れなくて、つぶれそうになったと
ころをIFホームのフランチャイズになって、何とか食いつないでる会社で、腕
は二流だと言った。因幡ホームも同じ様なもので良家のお坊ちゃまという感じで、
計算高くて、あまり好きになれないから付き合いはないと言った。フランチャイ
ズだから図面と設計図通り建てれば、材料は比較的良いものを使っているから悪
くないと思うが、あまり期待できないねと言った。市長がつくれというなら、何
か問題が起きても市長に言われたからといえば良いのだから、従ったらどうだと
いう始末だった。最後に、幾らかかるんだと言うので7500万円、金はどうす
ると聞くので、国からの補助金を無利子で融資してくれると言うと、面白い試み
だから、やってみたらと言った。どうせ海津さんの懐が痛むわけではないからと
笑った。海津がどうしたら良いか迷っていると言うと全国でも大家族を誘致する
ために、ここまでの試みをした自治体はない筈だからチャレンジしたら良いと池
田社長が言った。海津は、わかりました、すすめてみますと答えた。
池田社長が乗りかかった船だから頑張れよと海津の方をたたいた。翌日、作業
開始して下さいと誠実建設の岩野建男社長に連絡した。因幡ホームが手伝って
くれるというので4ヶ月で6軒の住宅と建てられると言ってくれ、3月初旬に
建設に着手した。やがて春が来て、4月、桜が咲き、散ってゴールデンウイーク
を越えて6月下旬に6軒の新築住宅が完成した。家賃6万円3千円として年76万円
20年で1512万円、つまり20年の賃貸で建築費用が出る計算だ。
海津が、この条件でいこうと考えた。新築住宅は市の援助で完成した家なので
家賃の補助はないという条件で移住者達に提案した所、8家族から、この条件で
新築住宅に入居したいとの申し出があり、抽選して、当選した6家族が
入居できるようになった。




