2話:山陰の海辺の町へ移住
今まで海津一郎は営業所の新車・販売コンテスト・トップの報奨金で家族旅行
や車の買い換えなど大きな買い物をしていたので、それがなくなり生活費、以外
の余力がなくなった。ある日の夕飯の時、海津は、奥さんに田舎で、ゆったりと
暮らさないかと切り出した。それに対し奥さんは、心配そうに、本当にやってい
けるのと言うのだった。奥さんは両親に聞いてみようと、数日後、実家へ行った。
そして、その話を切り出すと、お父さんは、そう言う考えも一つの選択肢だと
言い、都会は物価が高いし、忙しい生活だ。その点、田舎は生活費も安く過疎化
、高齢化で大変だから、歓迎されるし、良いかもしれないと言った。
まだ、若いから駄目だったら、戻ってくれば良いんだと話してくれた。
彼女のお母さんも若い人や子供が少ない所では大事にされるから良いかもしれ
ないねと言った。これを聞いて奥さんは移住する決心がついて、翌月、あの海辺
の過疎の町に出かけた。農家民宿のご主人に移住件を話すと喜んでくれ、すぐに
役場の移住係の人に関係書類をもらっておくと言ってくれ、翌日、役場の移住課
の山田さんが関係書類を持って来てくれ、民宿の食堂で話を聞くと子供の保育料
と医療費の補助があり希望すれば市営住宅を安く借りられるという。
子供さんが3人以上は、子供の保育料と医療費は全額を市が負担してくれると
教えてくれた。ご主人の移住してからの仕事は市役所で、1人位、雇えるだろう
と言い、特に運転手を欲しがっている様だ。定期的にスーパーや病院へ老人を
送り迎えしてくれたら助かるし、週3回10人乗りワゴンの運転手をやれば月に
10万円の給料が出ると言った。また奥さんが老人介護施設で正規所員で働け
れば月に15万円、それだけ稼げれば、ここでは十分暮らしていけると言った。
更に5人以上の大家族なら5万円の移住支度金まで出るというのには驚いた。
それを聞いていた、奥さんは皆が喜んでくれるなら移住計画を進めてみま
しょうと告げると、市役所の山田さんが宜しくお願いしますと頭を下げた。
農家民宿の主人は、私が仲介役になるから電話してくれと言った。そして
海津一郎は今年のボーナスをもらって来春から移住という計画で行く事にした。
奥さんが実家で両親に話した所、喜んで、挑戦したら良いと応援してくれた。
その年も暮れて2019年の新春を迎え、初詣で今年の移住計画がうまく
いきます様にと海津夫婦は願った。