なろう文学の異世界ものテンプレ考察
・転生系なろうテンプレで大切なこと
最重要:俺が強いこと
重要:俺が俺であること
重要:俺を強いと周りが言うこと
ちょっと重要:俺が異世界に行っても出来そうであること
ちょっと重要:俺が強いことを示したい世界であること
ちょっと重要:俺が強い理由が奇抜であること
・メインプロット
ある主人公がいた。
彼は現代社会から
[異世界に/過去に/ゲームに]――現実で無いどこかに
[転生した/転移した/遊びに行った]――逃避して
[最強の/人並みの/最弱の/少し劣る/少し優れた]――自己投影/理想
[高校生/大学生/社会人/老人]――自己投影
であり、
ある目標[を/に]
[目指して/巻き込まれて/投げ出して]――マゾかサドか微サドか、精神趣向
その世界で
[楽しむ/苦しむ/ハーレム/etc]――ゲーム、成長、性欲、etc
する。
・メインオプション
彼には、
[最強の/特殊な/チートの/etc]――ある領域で重宝される、(俗に言う俺tuee)
[能力/アイテム/環境/仲間]――都合の良い理由
があり、
[最強の/危険な/勘違いされている]――倒した時のカタルシス
敵や
美しい[理解のある/見下してくる]――保護欲求やカタルシス
仲間が
いる。
・上記テンプレの形成経緯考察
なろう文学において最も重要なことは主人公の最強性を示すことである。
しかし、最強とは比較の中で存在する概念であり、打倒すべき敵や崇拝してくる他者を必要とする。
それゆえ、性欲や名声欲などを満たしながら、魔王やハーレムなどの他者をなろう文学に内包していく。
読者の増加に伴い俺tuee小説がDOSアタックの如く投稿され、俺が強いことに対する差別化を求めるようになり、所持スキルが最強、女神様と一緒にいて最強、奇抜な発想をして最強、現代知識を用いて最強、というように細分化していった結果、最強性の証明のために多彩な手法が出てくるに至った。
とりわけ、未開文明社会の中に現代文明を生きた普通の人がどれほど重宝されるか、という思考実験は日本社会を生きる読者が自己投影するために非常に優れた手法であり、需用者も供給者も爆発的に増えた。
――以上、異世界チートの形成。
・個人的感想
異世界転生テンプレは現代人が~に行ったらどうなるか、という思考実験だと思われる。感覚としてはゲームに近く、それゆえサクセスストーリーが求められている気がする。考えてみれば古来から英雄譚は英雄の俺つええに過ぎないため俺つええの起源は恐らく太古にさかのぼれる。
なろう文学において特徴的なのは、英雄である現代社会人が活躍する場所が異世界、現実で無いどこかという点であり、これは日本社会における厭世的な雰囲気を投影したものじゃ無いか。
現実で無いどこかで活躍するのは北欧神話などの神話で見られたりするので、なろう文学は英雄譚というより神話に近いかも知れない。
貴方様のご意見を教えて頂けるととても嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。(_ _)