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成功者倶楽部  作者: ララダ タカハシ
6/22

6話

 洗面所の鏡を見つめている。

 文字通り自分との会話をするのである。

 

『定期的に鏡を見て、自分とコミュニケーションをとる時間を取るべし』


 何かの本で書いてあったのを思い出したのだ。


「スタイリッシュでカッコいい男か……。具体的にどんな男なんだ? 僕はスタイリッシュなのか?」

 鏡に映るのは猿顔の冴えない男。

 今日の『成功者倶楽部』での藤さんからの宿題を思い出す。

 なりたい自分のイメージを具体化させること。

 スタイリッシュでカッコいい…。

 言葉で言うのは簡単だ。

だが、そんな男にどうやったら僕はなれる?

どうやって目指せばいい?

 鏡の向こうの猿は何も答えてくれない。


「今の僕はまだまだカッコいい男ではない。それは認める。でも、逆に考える。どうして僕はカッコよくないんだ?」

 

何気なく呟かれた疑問。

だが、それはヒントにもなりそうだった。


「魅力がないから? 勉強ができないから? スポーツができないから?」 

 鏡の自分に向けられた言葉。

 その刹那、僕は衝撃的な事実に気が付いた。

 もしかしたらこの現実もゲームとそこまで大きくは変わらないのかもしれない。


 自慢ではないが、僕はこれまでの人生でいくつもの恋愛シミュレーションゲームを遊んできた。

 魅力的なキャラクター達の好感度を上げるために必要なのは2つ。

 

 「適切な選択」と「好感度パラメーターを上げること」の2つだ。


 そして、僕が注目したのは「好感度パラメーターを上げること」だ。

 つまり、僕がカッコよくない理由はシンプル。

 「好感度パラメーターが低いから」である。 

 カッコいい男・モテる男というのはクールでユーモアがあり、運動神経がよく、博学で、優しい男のことで、カッコいい男は今言ったポイントを外していないことが必須、またそれらのパラメーターが高いことが求められる……!

カッコいい男の条件をパラメーター化して、それらを日々意識して高める! 

パラメーターは全部で4つ。

①魅力

②知識

③体力

④優しさ


無性に自分は天才なのではないかという感覚が体を走る。

 効率的に自分を鍛える画期的な発明…そんな気がする。

 これらの項目を考慮して、なりたい自分のイメージを具体化できるように宣誓文を作ろう。

 

僕は鏡の前で息を吸い込み、

「僕、佐渡琉飯は高校2年生の間に必ず誰もが認める成功者になり、学年一位の成績を取り、12月のマラソン大会では上位に入選し、そして――彼女を作る! その為に日々、魅力・知識・体力・優しさのパラメーターを高めるためにどんな努力も厭わないことをここに誓います!」

 力いっぱい叫んだ。

 思いっきり藤さんの宣誓文のパクリであり、しかも目標も低俗ではあるが、今の僕が立てられる目標としては及第点は与えられるだろう。


「あぁ……頑張れよ」


 鏡の向こう側で苦虫を潰したような顔をしている兄がいた。

 ちょっとしたホラーである。


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