Episode:06
「ねぇ、こんな格好、やだ……」
「どして? カワイイよ」
「だって……」
ひたすら動きづらい。
だいいちスカートの類なんて、何かあったときの正装以外、着たことがない。
「ほら、いいからこっち来なよ」
またもや引きずって行かれる。
次に連れて行かれたのは、ミルの家の食堂だった。なんだかいろいろ、テーブルの上に並べられている。
でもこれ、どうみても何かのお祝い……?
「ねぇ、これ……何?」
あたしが聞くと、みんなが爆笑した。
「やだもう。忘れちゃってるの?」
「でもさぁ、らしくていいんじゃないか?」
まったくわけが分からない。
「ねぇ……だから何なの?」
「しょうがないなぁ。イマド、説明したげなよ?」
水を向けられて、初めてイマドが口を開く。
「お前、今日誕生日だろ」
「え……あ!」
忘れてた。
でも、あたしだって忘れてたのに、どうしてみんな知ってるんだろう?
「お前のお袋だよ、俺らに教えたのは」
よほどあたしが不思議そうにしていたらしくて、イマドが説明する。
――母さんてば!
あたしの母さんはかなり変わってる上に、ともかくなにかと、過剰なくらいに世話を焼きたがる人だ。
けど……今回は許せるかな?
また涙が出てくる。
「あ〜あ、やっぱりルーフェイア、泣いちゃった〜」
「ほらほら、泣くことないでしょ。さ、座って座って」
自分でも泣いてちゃダメだとは思うんだけど、どうしても涙が止まらない。
「さ、泣いてないで食べよう?」
「うん」
あたしやっと涙を拭いて、席についた。