Episode:04
◇Rufeir
潮風が優しく吹きぬけた。
後ろに控える海のせいなんだろうか? ケンディクの街は、なんとなく青のイメージがある。それに街全体も、観光都市のせいか手入れが行き届いていて、とてもきれいだ。
「どこで……待ちあわせ?」
「駅前の広場だよ」
あたしの問いに、シーモアはそう答えた。
白い石畳の道を歩いていく。
メインストリートをずっと行って、大きな交差点で右に折れる。もうそのすぐ先が、駅前の広場だ。
あたしたちは広場をざっと見まわして、すぐナティエスとミルを見つけた。しかもなぜか、イマドとその友だちまでいる。
「悪い、待たせたね」
「ううん、時間ぴったりだよ」
「待ってないよん♪」
シーモアの言葉に、ナティエスとミルがはしゃぐ。
それからこの2人、今度はのあたしの方に向き直って、また騒ぎ出した。
「あー、ダメじゃん。ルーフェってば、やっぱりそんなカッコしてる〜!」
「ほぉんと、なんでそんな、男の子みたいにしてんの?!」
なんか、シーモアとおんなじことを言う。
「あたしも言ったんだよ。でもルーフェイア、ちっとも分かってなくてさ」
「もぉ! とことん常識ないんだから」
なんだか、ひどい言われようだ。
「そしたらさ、先にうちに行こうよ♪ どうせ行くんだから〜」
ミルが勝手に決める。
「そうだね。そうしようか?」
「イマド、こっちにしちゃっていい?」
「ああ」
ナティエスの言葉に、イマドたちも笑いながら立ち上がる。どうも状況を飲み込んでいないの、あたしだけみたいだ。
――でもなんか、ヤな予感がするんだけど。
「んじゃ決まり〜! さ、こっちこっち」
ミルが強引に、あたしの手を引いて歩き出した。
「何……?」
「いいからいいから」
わけも分からないまま、引きずられていく。
「こっこだよ〜ん♪」
彼女が得意げに立ち止まったのは、一軒のブティックの前だった。そして勢いよくドアを開けて、店に入っていく。
「お父さ〜ん、ごめぇん! ちょっと予定変わってね、早くなっちゃったんだ〜♪」
はじけるような声で、店の奥に声をかけた。