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温もり ルーフェイア・シリーズ05  作者: こっこ
Chapter:01 遠出
3/16

Episode:03

◇Seamor Side

 ケンディクまでの連絡船の中、隣の美少女をシーモアは、なんとなく眺めていた。

 不思議、としか言いようのない少女だ。

 こうしていると華奢で儚げで、とても独りで生きていけるようには見えない。だがひとたびバトルとなれば、並ぶもののない戦女神と化すのだ。


(ほんと、アンバランスってやつだね)

 まさにその一言に尽きた。

 しかも性格にいたっては繊細としかいいようがなく、すぐ泣き出してしまう。

 ただこれは周りの話では、シエラへ来る前が何かいろいろたいへんだったとかで、その反動もあるらしいが。


(けど、このカワイさで泣くってのは、やっぱ反則だなぁ)

 たとえ彼女に非があったとしても、こちらが悪者にされてしまいそうだ。

 船が揺れる。

 もうそろそろ、ケンディクの街に着く頃だった。


「ルーフェイア、着くよ」

 言って、気がつく。

 少女は泣いていた。


(まさか、さっき言ったことで?)

 思わず心配になる。ふつうならどうという言葉ではなくても、この少女は傷ついてしまうことがあるのだ。

 もう少し、自信を持っていいと思うのだが……。


「ゴメン、あたしなんか言っちゃったかな?」

「ううん、違う、違うの。

 あたしこんなふうに、友達と出歩けるようになるなんて、思ってなかった……」


 シーモアの問いに、ルーフェイアはそう答える。

 聞きようによっては、以前イジメたことを責めているような言い方だ。だがこの少女には、そういったイヤミなところはない。

 本気で嬉しくて泣いている、と思って間違いないだろう。


(……言ってくれるねぇ)

 とても同い年とは思えないほど華奢な少女にこう言われると、とても意地悪など出来なくなってしまう。

 何より、あれだけの騒ぎをすべて水に流してくれているのだ。これ以上こっちから何かするのは、シーモアにしてみればプライドが許さない。


「ばーか。行くよ」

 照れ隠しにわざとそう言うと、シーモアは荷物を肩にかけた。

「あ、ごめん」

 涙を拭いて、ルーフェイアもついて来た。




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