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温もり ルーフェイア・シリーズ05  作者: こっこ
Chapter:02 神話
15/16

Episode:15

「あと四年で……あたし、総領になるの。でも、あたしには……ムリ……」

 こんなことを人に言ったのは、初めてだった。今まで周囲にはシュマーの人間しかいなくて、とても言えなかった。


 あたしにとってシュマーの人間たちの、あの敬愛のまなざしは重荷だった。

 彼らはあたしを疑わない。そういうふうに出来ていない。グレイスと総領には絶対服従、それがシュマーだ。

 だから、間違うなんて許されない。


「そんなの、あたしに、出来るわけ……」

 うつむいてため息をつくあたしに、イマドが言葉をかけた。

「ん〜、お前ならできるんじゃねぇかな」

「――どうして?」

「すぐ泣くから」

「え?」


 これは――初めて言われた。当然意味などわからない。

 あたしの驚いた様子に、イマドは「上手くいえない」と言いながら、言葉を続けた。

「なんつーのかなぁ……お前マジ泣き虫だろ? ぜんぜんリーダーっぽくないって言うか」

 気のせいか、ひどいことを言われてるような……。


「でもよ、だからいいと思うんだ。リーダー然としてるヤツって確かに頼り甲斐あるけど、どっか雲の上って感じじゃん。

 だけどお前だと、誰かになんかあっただけで泣いちまってさ。そりゃそーゆーの、リーダー向きじゃないかもしんねぇけど、ついてく側にはありがたいぜ?」

「そう、なの……?」

 あたしはいつも周囲から、泣くのを止めろとばかり言われていた。


「全員が全員そうとは言わねぇけどさ。

 でもお前みたいなのがトップだと、『あ、心配してくれてるんだな』って気になるんだよな。自分たちのこと、ただの駒みたいに考えてねぇなって。

――だから、できると思うぜ」

 毎度のことで我ながら情けないけど、また涙が出てくる。


「ほらな、これだけで泣いちまうし。

 まぁ、お前自身はそうとうツラいだろうけどさ、周りは好きでついてきてる、ってパターンになるんじゃねぇのか?

 だから、やってみろよ」


 最大級の、励まし。

 イマドにそう言われると、できそうな気がする。

「ありがと……」

 泣きながらだけど、笑ってみる。

 そんなあたしを見て、彼も笑った。


「そうそう、その顔な。

――あ、そうだ。すっかり忘れてたぜ」

 何かを思い出したようで、イマドがポケットをまさぐった。



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