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温もり ルーフェイア・シリーズ05  作者: こっこ
Chapter:01 遠出
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Episode:01 遠出

◇Rufeir

「シーモア!」

 かけた声に、彼女が顔を上げる。

「遅いよ……って、なんだよそのカッコ」

「?」


 あたしは首をかしげた。

 別にいつもと同じで、どこか変わっていないはずだけど……。

 だけどシーモアの目には、そう映らなかったみたいだ。


「もうちょっとなんか、可愛げのある格好してくると思ってたのにさ。それじゃまるで、男子じゃないか」

「あたし一度も、男子に間違えられたこと、ないけど……?」

「そーゆー話じゃないって」

 シーモアが呆れた顔をした。


「――少し期待してたんだけどな。損した」

 損したって……なんだろう?

「まったく、シエラNo.1の呼び声も高い美少女が、なんだってそんなカッコ……」

「いつも、こうだけど……?」


 ショートパンツにジャケットにロングブーツ。あと最近はさすがに寒くなってきたから、中に薄手のハイネックのセーター。

 ほんとだったら冬の戦闘用を着てたいとこ――軽いし、動きやすいし、あったかいし――だけど、そうもいかなくて、たいていこんなふうだ。

 でも他にも、似たような格好をしてる女子は多い。


「もういい、分かった。あんたに期待したあたしが、バカだったよ」

「?」

 やっぱりよくわからない。

 けどシーモアのほうはなんだか、自己解決したようだ。


「さ、行こうか?」

「うん」

 行くというのは、ケンディクの街のことだ。ナティエスたちに誘われて、これからひとまわりすることになってる。

 ただちょっと時間の都合がつかなくて、あたしとシーモアはあとから二人で行って、合流することになった。


「ほら早く、船が出ちまうよ?」

「あ!」

 慌てて、出る寸前の連絡船に飛び乗る。すぐに綱が解かれて、船がすべるように動き出した。


 学院のある島は冬だというのに緑色で、その向こうに広がる海との対比が、とてもきれいだ。温暖なことで知られる、ケンディクならではの光景なんだろう。

 そういえば前にこの連絡船に乗ったのは、真夏だった。シエラへ入学する時に乗って以来、まだ二度目だ。

 そして気がついた。


――もう半年も、過ぎたんだ。

 なんだかとても、不思議な気がする。



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