ショートカット・リストカット
グサリ、グサリ、グサリ。
ゆっくりと、カッターで腕を切る。
なに、痛みなんて感じない。快楽の方が勝って、痛みなど眼中にないのだ。
ポタリ、ポタリ、ポタリ。
薄暗闇に、真っ赤な鮮血が滴り落ちる。
一つ、また一つと床にシミを作っていく。動かすことはもうできなくなったが、どうやらまだ繋がっているみたいだ。
なぜ、私はこんなことをしているのか。それは私にも分からない。ただただ無意味に、自傷行為に浸るだけ。
……そうだ。思い出した。これは私の野望のためだった。その望みに近づくには、この方法が、一番手っ取り早い。
意識が朦朧としてくる。次第に目の前がぼやけていく。
だが、これでいいんだ。いや、これがいいんだ。
きっと、今の私の顔は、狂気に歪んでいる事だろう。
無駄なプロセスを踏まずに、すぐに答えに辿り着けるなら、歪んでいても、仕方ない。
さぁ、最期の一振りだ。ここまでの傷量であれば、死ぬのも容易い。
「さよなら、世界。さよなら、人類。」
そう言い遺して、私は短い人生に幕を下ろした。
この世を変える、神になるために。