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ボロい筆箱を拾ったのは理系の秀才でした!?  作者: 表 裏淳
第一章【買えない物は落ちていないか、探すべし】
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第七話【盗み聞きと夫婦と龍之息吹】

やっほー読者の皆!貝塚大誠だぜ!

剣間アリアよ。

今回は俺とアリアと襟沢は出番が無いんだよなー。

そうね。

ん、どうしたアリア。今日はテンションが低いじゃねぇか。

五月蝿いわよ。

あ!もしかして出番がないのがそんなに堪えてるのか!?

五月蝿いって言ってるでしょ!そんなことより前書きよ!

いや、もう会話の中で説明は出来てるからなぁ。

だったらサブタイトルよ!

ハイハイ。

『ボロイ筆箱を拾ったのは理系の秀才でした!?

第七話!【盗み聞きと夫婦と龍之息吹】!』

はじまるぜ!

ところでどこかで聞いたことあるような語呂合わせじゃない?

 「あー腹減った…………」

 もう使い古された第一声を呟きながら夕日が沈みかけていながらもささやかに照らされている廊下をトボトボと重い足取りで歩く。

 校内に残っているのは運動部か生徒会や委員会の連中または成績が危うく現在補習を受けている生徒とそこの監督を務めている生活指導の鬼教師ぐらいだろう。

 「実際その生徒の中には…………あの変人がなぁ……ハァ」

 そう。本来俺の隣にいるであろう某変人は補習という奈落に落ちてしまったのだ。何でも、最近提出物を出さずにサボっていたらしく鬼教師に連行されてしまったという。

 俺は連行されそうになっている変人のことは全く知らなかった。それもそうだろう。何故なら、その頃俺は転校生にまた追い掛け回されていたんだから。懲りない奴だよな、まったく。

 という訳で俺は今一人だ。

 ぼっちじゃない。一人なだけだ。

 翼とも帰ろうとして神乃を振り切った後すぐ教室に戻ったがもぬけの殻だった。

 お姫様は冷たいな…………まぁ仕方の無いことか。

 頭の中でいろんなことを考えていながら歩いているとこの時間帯に校内にいるのは珍しい人物を発見した。因みに俺は走り回って疲れたから休憩のついでに大誠を待っている。

 「……先生……………待って……さい…………はい…………ですから…………もう少し……」

 我らが委員長天咲雪海さん。

 どうやら、教師に頼み事をしているらしいな。

 ちょっと、盗み聞きを…………。

 「何度も言っている。顧問の教師には部員が集まり次第なってやると。まずは可能性を私に証明しろ」

 「ですから、部員ならもう少しで集まります!」

 「その部員を全員つれて私の前に来いと前からさんざん言っている筈だが?」

 部員?顧問?もしかして、天咲はなにか部活を作りたいのか?あの無表情で静かな委員長が?しかも前から……一体どういうことだ…………いつから天咲は部活を作りたがっていたんだ?

 「………………」

 天咲……悔しがっているのか?

 「確かに私は貴様に『優等生なら部を作りやすい』と言った。だが、貴様は優等生と言うものを勘違いしていないか?ただひたすら勉学に励み物事に真面目に取り組むことが優等生ではない」

 「っ!?」

 「やはり、勘違いをしていたか…………通りで貴様らしからぬ行動をする訳だ」

 その行動ってまさか昨日の授業で俺を助けたことか?確かにいつもは襟沢がやることを……。

 「いいか、天咲。優等生というのは――――――」

 「失礼します」

 一礼→回れ右→職員室、退室。

「………………まったく…………優等生どころか、問題児ではないか」

 本当にまったくです。まぁ俺は、天咲に見つからなかったのは単にあいつが出て行った方とはま逆にいたからなんですけどね…………。

 「私の担当するクラスには何故問題児ばかりいるのだ?…………それともこの学校がおかしいのか?」

 うん、それは違う!

 この学校がおかしいんじゃなくてこの学校の校長がおかしいんだと思いますよ。

 あの人、集会に教員ライブと称して美人教師と評判の教員全員を舐めまわす様に見てたしね。

 いい歳してそんな事するオッサンが校長ってのが無理あるんです。

 まぁ、それに乗る男子一同もおかしいんですけど………………。

 「だが…………そんな問題児共を自然と許せてしまうのは、私自身がそれを楽しんでいるからかもしれないな………………私も甘くなったものだ…………」

 どうかな。先生は元から甘いと思いますよ。

 俺が一年の時からずっと………………。

 「それにしても神乃という転校生……あれは一体何者だ?」

 あ、それ、俺も知りたい。

 とついつい身体が前に出てしまい――――――

 「貴様!?筆無!!」

 「あ――――バレた?」

 「何時からそこにいた!」

 「天咲が部の設立について先生とモメていた時からです」

 というか、何で奥に座っているその位置から出口にいるのが俺だと分かる?普通見えないぞ。

 「堂々とするな!」

 俺を怒鳴りつけると春日先生は溜め息を吐く。完全に呆れられてるな…………。

 「ところで貴様、神乃とはどういう関係だ?」

 「別に、何も」

 「あれ程、校内を爆走しておいて何も無いと言えるのか?」

 「今になって冷静キャラに戻ったか…………!」

 「答えろ、筆無」

 「はぁ……俺の今持っている筆箱が元は自分のだって言って取り返そうとしてるのさ。凪さん」

 「春日先生と呼べ…………だが、それは貴様がその筆箱を神乃に返せばことは収まるのだろう?なら何故それをしない?」

 「簡単に言えば、返せと言われたら返したくなくなるっていう事だよ」

 「決め顔で言うな。それと親しげに話すな、此処は学校だ」

 「ハイハイ、春日先生」

 振り返り手をプラプラと振りながら退室しようとすると春日先生が威圧感たっぷりの声で「待て」と俺に言い放つ。

 そして、俺に歩み寄っては何かしらの白い紙を差し出してくる。

 「昨日、忘れていったものだ」

 無言でそれを震える手で受け取る。

 「英単語、百個。明日の昼までに提出しろ」


 …………………………。


 いぃやぁぁだァァァァァァ!!!!


 逃げようとしたところを春日先生に肩を掴まれる……それを振り解こうとしたら……関節技をかけられた。「体罰だァ!?」って叫んだら、「個人同士のじゃれ合いだ」と躱された。

 大誠を待つ気力がもう無い。

 帰る。


     *


 「…………ただいま」

 いつにも増して低いテンションで言う。その瞬間――――――

 「おーかーえーりー!!」

 いつものように俺に飛び付こうとする茜を……………………受け止めた。

 「へ?…………兄々?」

 いつもと違う反応で戸惑っている茜を抱き締める。

 「…………にぃ、にぃ?何かあったの?」

 「ちょっとな…………」

 妹には、弱いところは見せられない。だが、これぐらいなら…………いいよな。

 「そっか…………辛いことは我慢しないほうがいいよ」

 「…………我慢してるわけじゃない」

 

 「あらあらまあまあ…………禁断の恋!」

 「母さん、多分違うから早とちりしないように」

 

 『お袋(お母さん)!?親父(お父さん)!?』


 そこには、今日の昼時に帰ってきたと思われる、我らが両親のお姿があった。

 「一体、何時から見ていた!?」

 「何時からって…………最初から?」

 「母さん、何故疑問系なんだい?」

 「いやぁね、秀が茜を抱き締めたあたりから見たから、その前に何かあったかもしれないじゃない」

 「何にもないよぉ…………」

 「あら?そうなの?」

 『そうだよ!?』

 兄妹揃ってお袋の誤解を必死になって解く。

 ……………………………………………………。

 ………………疲れた。

 「まぁ、兄妹仲が良いのは良いことだよ。秀、茜」

 「……限度があると俺は思う」

 「照れなくていいよ!兄々!」

 笑顔を向けてくる妹に少し癒される俺がいる。……言っておくが俺はシスコンじゃない。

 多忙だった今日を乗り越えた俺に母さんが気を利かせてくれるかのように手を二回ほど叩く。

 「さ、ご飯にしましょ!」

 「賛成その一」

 「賛成その二」

 親父、俺と男二人が手を挙げる。流れで言えば次は茜だが…………。

 「賛成その三!」

 何故かお袋が勢いよく手を挙げた。…………いい歳して恥ずかしくないのか?

 そして、茜は……「う~ん」と何か考えている。そして――――――

 「賛成その五!」

 『四はどうした!?』

 「お母さんの後ろにいる知らない小父ちゃんが言ったよ!」

 何それ怖い。え、なに、俺の妹って実は霊感体質とかいうやつだったのか?そして何故知らない小父ちゃんが家族のノリに乗ったのか?

 お袋の顔がみるみる青くなっていく。普段から肌が白いが今はさらに上を突き破った超青白くなっている。貧血で倒れた人とさしてかわらない。

 「そんな顔しなくても大丈夫だよ、お母さん。小父ちゃん、いい人だったみたいだよ!」

 過去形なのが余計に怖さを醸し出しています。お袋が失神の間際に立たさせているな…………怖い話とか苦手だからなぁ、お袋は………………。

 「茜、そこまでにしとけ」

 「え~」

 「え~じゃない。お袋を殺す気か?」

 「は~い」

 本当にこいつは…………根は素直でいい奴なのに所々変なんだよなぁ…………勿体ない。

 「母さん、大丈夫か?」

 「…………は!え、えぇ!大丈夫よ………………」

 「ゴメンね、お母さん」

 「い、いいのよ」

 「うん、今度からは居ても言わないようにするね。お母さんに何をしようとしても…………」

 「イィヤァァァァアァァァ!?」

 攻撃力一万越えのモンスターでの攻撃が成功し、お袋のライフが0になった。

 …………気の毒に………………。

 「茜、母さんに何か恨みでもあるのかい?」

 「ん?別に~」

 あ、この顔は何か恨みがある顔だな。一体なんだ?

 「親父、茜を疑っても何も出ない。早く飯にしよう」

 「うーん…………そうだな。母さんはしばらく寝かせておいてあげよう」

 「同意だな」

 「さんせーい!」

 家族全員(一名を除く)の賛同によりお袋は床の間へ。親父がお姫様抱っこをして運んだ。それを見ていた茜がこちらに目線を向けている。

 「兄々、私もお姫様抱っこ~」

 「小学生じゃねぇんだからよ…………あんまり夢はみるな」

 「いや!抱っこ!」

 「本当に小学生じゃねぇんだから駄々をこねるな!?」

 「ぶ~。ケチ~」

 「兄にそれを望む妹は妹としてどうだろうな!?」

 「私は私だよ!」

 「うん。知ってる」

 「静かにしなさい!」

 親父の逆鱗に触れた俺たち兄妹はその息吹を浴びる破目に………………。


 何時になっても親は強しと俺と茜は思い出した。


     *


 シャワーを浴び、湯船に浸かる。さっき入れておいた草津の入浴剤が聞いているな。

 「ふぅ~気持ちいい」

 一番風呂を満喫している中不意に浴室に影が現れる。

 『つばさー、湯加減はどう?』

 「いい感じかな」

 『そう。ちゃんと肩まで浸かって暖まるのよー』

 「分かってるよ、姉さん」

 面倒見のいい姉さんだったようだなさっきの影は。

 『ところで、秀君とはどうなのよ~』

 「なっ!何でこの流れで急に秀が出てくる!?」

 『で、で、で、結局どうなのよ~?』

 「姉さんに教えなければいけないという規定はない!」

 『いいじゃなーい。教えてくれても~』

 「断固として断る!!」

 『じゃ、ちゃんと暖まるのよ~翼』

 ここで話を区切るのか……ボクの姉さんは…………。

 そんな姉さんは本当に浴室から出て行った。一体何しに来たんだ?姉さん?

 ぶくぶくぶく……秀ぶくぶくぶく折角ボクが学校にいったのにぶくぶくぶく…………あの神乃という女ぶくぶくぶく胸が大きかったな……ぶくぶくぶくぶく秀はああいうのがいいのか?

 ぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶく…………

 (翼やーまだお前さんが来るところじゃないよー)

 ぶはっ!?

 「ハァハァ……息を吐き出し続けていてお婆ちゃんが見えた……ハァハァ」

 久しぶりだったな、お婆ちゃんを見たのは……。

 「ボクの胸は…………神乃に比べたら…………いや剣間よりはある」

 神乃はアレなのか?ロリ巨乳という立ち位置なのか?身長は一五〇ぐらいだと思うがそれとは割りに合わないぐらい胸が大きい。うらやま―――――いやいや、あんなのは邪魔なだけだ。大きすぎず小さすぎず、形さえ整っていれば問題無い。

 

 秀とまた…………一緒に………………。


 ボクは願いを胸に抱きつつ湯船を上がった。

  

 

 

 

 

翼の入浴シーンキター!!

五月蝿い!

いてっ!なにもチョップ入れることはねぇだろ!?

そんなことより後書きよ、後書き。

はぁ、分かったよ…………。

今回は、和む話だったと思うけど。

いや、アレで和むのは無理があるだろ。

黙ってなさい!

アリア何か俺に怒ってるのか?

怒ってないわよ!

いやどう見たって……

今度は喉を抉ってあげようか?大誠?

遠慮します!!

土下座が様になりそうね貝塚。

まあ秀やお前にかなりやらされてるからな…………。

そんなことより、次回は筆無が眼鏡をかけるのよね?

ああ。秀は高校に入学すると同時に眼鏡を買ったからな。

視力でも落ちたの?

さぁ、それは読んでからのお楽しみだぜ。

あ、でも確か中学の時アンタと筆無って何かあだ名みたいなのが付いてたわよね?

それも次回の楽しみだぜ!

そ。

んじゃ読者の皆!またな~

さようなら。

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