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ボロい筆箱を拾ったのは理系の秀才でした!?  作者: 表 裏淳
第一章【買えない物は落ちていないか、探すべし】
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第四話【大体集合!】

こんにちは!表 裏淳です!

今回は予定を変更して少し早めに投稿することにしました。

アテナがようやく登場し妹と弟が……!そして、襟沢綾と天咲雪海との関係が……

それでは読んでください

ボロイ筆箱を拾ったのは理系の秀才でした!?

第四話【大体集合!】


 「ところでさぁ、兄々。お土産は?」

 「何で下校してきた兄に土産を求める?」

 「優しいから」

 「土産なんて無いぞ」

 「じゃあ、その荷物は?」

 「俺の買い物だ」

 「えー」

 「『えー』じゃない。……はぁ、分かった明日何か買って帰ってきてやるよ」

 「やったー!ありがと!!兄々!!」

 相変わらず俺は妹に甘いと自分で思う。

 こうして、すぐ俺に抱きつこうとする妹には少しお仕置きが必要かもしれないが両親のどちらも茜に甘いのでやったらやったで恐ろしい目に俺が遭う。それとは別に俺は甘い。

 「おい、ちゃんと座って食え」

 「はーい!」

 元気良く返事をした我が妹は言われた通り座って出前であるピザを美味しそうに頬張っている。

 その笑顔には本当に癒しの効果でもあるのかと思うぐらい癒される。いやホントマジで。

 「そう言えばさぁ、兄々。今日は学校どうだった?」

 「どうした?急に」

 「い、いやー兄々は上手くやってるかなーって」

 「俺の心配より自分はどうなんだ?」

 「私?私は勿論大丈夫だよ。新しい友達が二人も出来たよ」

 「そうか……良かったな」

 「でも、兄々みたいな男子は居ないけどね」

 「どういう意味だよ?」

 「兄々みたいにカッコよくて優しくて強い男子が居ないんだよ~」

 「お前は求めすぎだ。第一お前の中の俺はかなり美化されてるぞ」

 「えーそうかな?」

 「そうだ」

  どうやら、茜の中で俺という存在は超完璧に近い形に変換されているようだ。兄としてこの妹は社会的に何とかした方がいいと思う。

 「でもでも、本当にビビッてくるような男子が居ないんだよ~」

 「ビビッて…………大誠の弟はどうなんだ?アイツは中々だと思うが?」

 「(まこと)君の事?」

 「ああ」

 「うーん、真君は……ちょっと違うかな」

 「そうか?一本筋が通って優しくもありあの変人の弟というだけあってかなり強いと思うけどな」

 「と、兎に角!真君の事はもういいでしょ!?」

 茜はそう言うとピザを三切れほど持って自分の部屋に行ってしまった。

 「ふっ……かなり脈有りってとこか」

 真の事は俺も認めている。アイツなら茜を任せられる、そう確信している。

 「ん?待てよ」

 もし、真と茜がくっ付いたら……あの変人が茜の義兄になるってことか?

 そんなこと、俺が認めない。

 茜をあの変人に近づかせてなるものか!!

 「よし、これからはアイツ等の言動には注意……いや」

 そんなことを言っていたらまた昔と似たような事になってしまう。茜を二度と泣かせる訳にはいかない。アイツを悲しませる訳にはいかない。

 「はぁ……まあなるようにしかならねぇか」

 全部アイツ等に任せるとしよう。兄が出しゃばるところじゃない。

 「『俺は昔に戻るようなことはもうしない』」

 そう約束したもんな。

 さて、俺も部屋に戻るか。宿題もあるしな。ん?

 「あー何か忘れてるような……」

 確か春日先生の何かだったような気が……ま、いっか。

 「にいーにいー!お風呂先行ってもいいー!」

 「おう!いいぜ!」

 今はただ、妹と普通に会話が出来る事に俺の心を落ち着かせていよう。


     *

     

 ピーンポーン♪

 「はーい」

 ドアを開くとそこに私のクラスの委員長である雪海ちゃんが立っていた。

 「夜遅くに申し訳ありません。明日の時間割と今日配布されたプリントを渡しに来ました」

 「あ!有難う!ユキちゃん!」

 「体調はもう大丈夫なようですね」

 「うん!たくさん寝たからね!」

 「そうですか……では」

 ユキちゃんは私に一礼すると振り返り夜の道に溶け込んでいった。

 

 「綾、お友達?」

 「うん!ユキちゃんだったよ」

 「そう、雪海ちゃん……昔と比べて随分大人しくなったわね」

 「うん……高校入ってからずっとなんだ」

 「何かあったの?」

 「分かんない……ユキちゃん、私にも何にも言ってくれないし」

 「そうなの?何かあったらお母さんにも言ってね。力になるから!」

 「有難う、お母さん」

 「いいのよ。それより、綾。早く時間割合わせてきなさい」

 「はーい」

 私はお母さんに言われた通り二階にある自室に入る。

 「ユキちゃん……本当にどうしちゃったの?」

 部屋に入るなりそんな事を思わず呟いてしまっていた。

 

     *


 「じゃ、行くか?」

 「うん!」

 朝、俺達兄妹はそれぞれ学校に向かうため朝食を済ませ準備を済ませ着替えを済ませた。

 そして、歩む。

 「ねえ兄々、今日は何か良い事ありそうな予感がするよ!」

 「へぇ、例えば?」

 「うーんとね、新しい出会いがあるでしょう。だって」

 「だって?」

 「うん、占いで言ってた」

 「それは予感じゃない」

 「予感だよ!私の第七感がそう言ってるの!」

 「六はどこいった?」

 「兄々の中にワープしたんだよ!」

 「そんなわけあるか!」

 「じゃあ、私の頭の上にある!」

 「目に見えないのに何で分かるのかな!?」

 「私の第八感がそう言ってるんだよ!」

 「また新たな感覚が登場か!?」

 「全部で第十五感だよ!」

 「ここに超能力者が誕生していた!?」

 「えっへん!」

 「威張る超能力者、お仕置きするか?」

 「ごめんなさい!」

 「よろしい」

 素直な妹は良し!

 そんな兄妹のコミュニケーションを邪魔する奴が現れた。

 「なぁに道端で漫才披露してんだよ」

 「兄さん、あれはコミュニケーションだと思うからあんまり関らない方がいいと思うよ?」

 「大誠、真。お前等は相変わらず仲睦まじいな」

 「秀には言われたくないな」

 「茜さん、兄さんの事は無視していいから」

 「うん、そうするよ」

 「お前等俺を何だと思ってるんだ?」

 「変人」

 「真君のお兄さん」

 「兄さん」

 各々それぞれ正直に答えをストレートに投げた。それに対して変人は……俺をガンつけている。

 「よし、秀。お前は消す」

 「やれるものならやってみろ」

 「上等じゃねぇか」

 「同感だ」

 いつかは決着を付けねぇとって思っていたからな。丁度いい。

 「真君それぞれ兄を止めない?」

 「賛成だけど……あの火花が散っている中には僕だけで行くよ」

 「え?何で」

 「だって、もし茜さんが怪我したら大変でしょ」

 「…………い、幾ら兄々でもそこまではしないよ」

 「そうだね。僕の兄さんは……そこまでしそうだけど」

 何故か茜の顔が赤いが……真が付いてるから大丈夫だろう。

 それより今はこの変人を退治しねぇとな!

 『いくぞ!!』

 両者共に地を蹴る。そして間合いに入る。

 「そらよ!」

 「甘い!」

 右からの正拳突きにカウンターとして左腕でのボディブローをお見舞いする。

 「よっと」

 「逃がすか!」

 攻撃を止め、カウンターを体を捻ることでかわそうとするが俺はそれに喰いつく。そして――――

 「オラよ!」

 「ぐはっ!?」

 一発打ち込んだ。ボディブローではなかったが上手く鳩尾に当てられた。

 「……お、お前少しは手加減しろよ」

 「手加減したさ」

 「嘘だ!」

 「本当だ」

 まあコイツが余計な動きをしたせいで少し力が入ったが……本気とは程遠い。

 「ほら、兄々達早く行かないと遅刻だよ」

 「本当に間に合わなくなるよ」

 妹達からの忠告に俺はすぐさま動いた。

 まず、寝ている変人を叩き起こして蹴り飛ばし、道行く同学年達の反応など気にせず、もうダッシュした。茜に「ガンバレー兄々!」と応援されさらにスピードを上げた。


     *


 「ハァ……ハァ……間に合った……」

 「…………」

 やばい。少し飛ばし過ぎたか……大誠は目を回してるし……クラスメイトからの視線が痛いし……最悪だな。

 「ちょっと!貝塚!大丈夫!?」

 あらら、大誠の本妻が心配して走ってきたぞ。これは俺が攻められるかもな……。

 「筆無君、大丈夫?息が荒いけど……」

 「ああ……心配……ねぇ……走り過ぎた……だけだから……な」

 体調不良から見事に復帰した襟沢が俺の心配をしてくれている。何か幸せだな。

 「で、急で悪いんだけど……お願い、聞いてくれないかな?」

 「……何だ?」

 襟沢が手を合わせお願いしてくるのでとりあえず話だけ聞くことにする。

 「あのね、築谷さんにもうすぐHR(ホームルーム)が始まるから起きててって言って欲しいの」

 我が幼馴染の席(つまり俺の席の後ろ)を見ると……寝ていた。見事に爆睡していた。いびきはかいていないから快眠というやつか。

 「分かった。俺の言う事を聞くかは分からないけどな」

 「よろしくね」

 そういうと俺は息を整えアイツの前である自分の席に座る。そして後ろにいる快眠中の人に向かい――――

 「おい、起きろ。もうすぐHR始まるからな」

 「……Zzz」

 「お前実は起きてるだろ?」

 「…………Zz」

 「本気で寝てるなら始まるまで起こさないが、寝たふりなら……髪で遊ぶぞ」

 「ZzzZzzZzz」

 「お前はメール以外だと本当に分かりやすいな」

 「Zzz……五月蝿いZzzZzz」

 「よし、髪で遊ばせてもらうぞ」

 「止めろ」

 急に頭を上げ俺を睨んでいる翼を見るのは本当に久しぶりだ。そして、コイツで遊ぶと本当に面白い。

 

     *

 キーンコーンカーンコーン♪キーンコーンカーンコーン♪

 「貴様等早く席に着け。HRを始める前に転入生を紹介する」

 我らが担任春日先生は相変わらず勇ましいな。ん?転入生?聞いてないぞ。

 「入れ」

 「はい」

 落ち着いた声質を響かせた未知の転入生はドアを開くと春日先生の隣まで歩くと黒板に名前を書き出した。

 『神乃アテナ(かみのあてな)

 そして、俺から見た第一印象は……美少女か?

 ショートヘアーの黒髪。胸部は身長の割に大きい。攻撃的なつり目。雰囲気は天咲とはまた違った感じの真面目という処。

 「神乃、クラスの連中に一言」

 「はい。私は落し物をしてしまいました。白い無地の筆箱です。見かけたり、拾った人は私に返してください」

 放送委員かっ!と突っ込みたい。とはいえ、面倒な事になりそうだ。

 教室に入ってから神乃は俺に目を集中させているようだから、恐らく気づいている。俺がアイツの落し物を拾って今日持ってきている事を。


 

 

いかがでしたか?本日のボロ秀は?

アテナが少ししか出てなくて申し訳ございません……茜と真の関係を書くにいたって文字数が足りなくなってしまいまして。

(*別に規定はありません)

それでは謝罪はここらで終了!

予告です。

次回はアテナが追いかけます。翼が拗ねます。大誠が……死にかけます。

それでは今回はこの辺で!

サヨナラ、サヨナラ!


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