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王子様の物語


まずは王子様視点。

イメージは中世のヨーロッパに近い雰囲気を持つ異世界です。魔法とかありますし。

ごゆるりとお楽しみいただければ、と。


「王子、今からどこに?」

「いつもの場所だ」

「ああ、恋するお方との密会ですか」

「い、言うな!!」

「まあ、楽しんでいらっしゃいな。来客の方は私が適当に誤魔化しておきますよ」

「頼んだ!!」


 頼れる部下への礼の言葉もほどほどに、俺は自らの部屋を飛び出す。目的の場所である城の図書館までは走っても数分はかかる。それまで彼女はいてくれるだろうか。


「帰ってないと……いいな……」


 息を切らせて扉を図書館の扉を開け、いつも彼女がいる最奥へと向かう。たどり着いた時には体力の殆どを切らせ、本棚に寄りかかって息をするような無様な状態だ。

 だが――


「今日もお勤め、ご苦労様……」


 愛しい彼女――スノウがまだいてくれた。それだけで、今までの疲労が吹き飛んでしまうというものだ。


「良かったよ、君がいてくれて」

「もし後五分以内に貴方が来なかったら、確実に帰ってた……」


 ……歩いていたらアウトでしたか。


「はは、手厳しい。で、今日は何を読むんだ?」

「これと、これ……貴方には理解出来ないでしょうけど、特別に解説してあげる……感謝して……」


 そう言っていつものように見せられたのは、これまたいつものように古めかしい魔術の教本。どう考えても熟練の魔導師用のものであり、普通に読めば魔術にはからっきしの俺には理解出来ないものだろう。

 でも、スノウはああはいいつつも懇切丁寧に俺に本の内容を理解出来るように話してくれる。おかげで、最近初歩の初歩の魔術くらいは使えるようになった。

 ……基本的には剣の方が使い慣れているので、実戦で使う機会はほぼ無いに等しいが。


「ここは、魔力を大気の中から圧縮して、自らの身に纏わせることで、身体を鍛えていなくても、戦士並みに戦えるようにすることが出来る――って、話聞いてる……?」

「ん、ああ、聞いてるよ」

「嘘……ウルクはいつも誤魔化す時はそう言う……まあいいけど……」


 プイ、とそっぽを向いてまた魔術の説明に移行する彼女は本当に可愛い。この光景を見てると、初めて会った時を思い出し、変わったものだ、と実感する。

 三年前。当時十六だった俺は、人間として壊れそうになっていた。教養、武術、政治――――くる日もくる日も勉強ばかり。その頃のお目付役はこれまた頭が固い俗物で、俺を置物か何かと考えており、武術の訓練をする時以外は部屋から出させてすら貰えなかった。

 そんな中、訓練の途中で寄った図書館。苛々が極度にまでつのった俺は、誰にも見つからないような、最奥にまで足を踏み入れ、


――そこで会った少女に、俺は心を奪われた。


 髪の色は空の色すら寄せ付けないような淡い青色。瞳は深淵を映し出すかのような黒。そして何よりも、その雰囲気。周りの全てを否定するような、そんな少女から、俺は目を離せなかった。


「初めてかも……こんな辺境に足を踏み入れる人なんて……」


 眼鏡をかけた理知的な、それでいて美しい顔が俺の方を向く。心臓の鼓動が止まらない。そんな俺に構うことなく、機械的に少女は、自らの聞きだいことを聞いた。


「貴方の、名前は……?」

「俺の、名前……?」

「うん……名前を聞かなきゃ、呼べないでしょ……」


 何故かこの時、身分を言わない方がいいような気がした。何故かわからないまま、俺は名前を適当にもじった言葉を口にした。


「ウルク、ウルクだ」

「私はスノウ……で、なんでこんな辺境に来たの……?」

「う……それは……」


 聞かれたく無いことを聞かれ、俺の口は自然と閉じる。なのに、気がついたら、俺は自然と思いを吐露していた。


「逃げて、きたんだ……厄介なことや、面倒なことから……」

「そう、それならわ――じね……」

「え?」

「とにかく、今日はもう帰った方がいい……」


 後半が聞こえなかったので、聞き返そうとしたら、本へと意識を戻したのか、それからその日は言葉を交わすことは無くなった。次の日に、彼女に読んでる本は何なのか、と聞き、それが彼女と俺との、合い言葉のような物へと変化していった。

 まあ、今は。


「ちゃんと、聞いてる……?」

「ああ、聞いてるよ」


 彼女の背中から手を回し、抱き締めることが出来るまでになった。こうしながら、スノウと一時間話すことが日課であり、俺の休息でもある。

 そしてそれは、彼女に俺が王子だということを伝えても、なんら変化しなかった。






「今日も来たか、あの鬱陶しい女」

「ええ。散々怒鳴り散らして出て行かれました」


 スノウとの楽しい時間を終え、仕事に戻る前に、いつものことを聞く。案の定、例の女がここに来たことを聞いた俺は、頭が痛くなってくるのを感じた。

 例の女――ミーシャ侯爵家の娘は、事あるごとに俺の所にくる。それどころか、求婚さえも行ってくるのだ。

 それだけならまだいい。問題は、彼女に男がいて、それにもかかわらず俺に求婚してくることだ。内心では俺のことなど何とも思ってはおらず、権力だけを狙って来る女だが、無碍に扱うと俺の立場も危なくなる。その為、放置しておくしかなかった。


「お前にも苦労をかける」

「いえ。それが私の役目ですから」


 やや俺を弄って楽しんでいるきらいはあるものの、こいつがいなければ俺は精神がやられていただろう。これも、冗談ではなく本気なのだ。


「はあ……」


 先の事を考え、頭をもう一度痛めた。







 その日もいつものように彼女を抱き締め、いつものようにわけがわからない彼女の魔術理論を聞き、くだらない話しをしたり、笑いあったりする、そんな筈だった。


「やっと見つけましたわ!!ウルクラム様!!」


 そうやって図書館の中に乱雑に入ってきた招かれざる客――鬱陶しい女は、俺を見つけたかと思うと途端にそうヒステリック気味に叫んだ。演技であることも承知の上で。


「さあ行きますわよ!!私という者がいながら、こんな女と……」


 無断で俺の服を掴んだ女は、もうこんな所に用は無い、とばかりに歩きだそうとする。それを辛うじて振り払い、後ろに進むことで距離をとった。


「離せ!!それに、どうやって俺がここにいることを知った!!」

「簡単ですわよ?貴方のすぐ後ろを一日中歩いていただけですわ」

「な――」


 女の言葉に、俺は驚きを隠せない。どこかおかしな奴だとは思ってはいたが、まさかここまでとは。


「……やめて……」

「は?」


 そんな俺と女の間に割って入ったのは、他ならないスノウだった。


「ウルクが、困ってる……」

「それがどうしたのですか!?彼が困ろうと困らなかろうと、私には何も問題はありませんわ。それに、下賤な者がウルクラム様の名前を呼ばないでいただけます?」

「それとこれとは関係ない……さっさと、離れて……」

「……鬱陶しいですわね……いいでしょう。魔術で決闘ですわ!!」


 しびれを切らしたらしい女が、スノウに向かって手袋を投げつけた。まずい。確か女はこの国でも有数の魔導師……スノウに勝ち目はない。

 そう思って止めようとした時には、彼女は手袋を拾っていた……ておい。


「その決闘、受けてあげる……ただし、一つ条件がある……」

「条件……?なんですの?」


「純粋な実力だけで勝負しなさい……」

「元からそのつもりですわ!!」


……何が起こっているのか、さっぱりわけがわからない。何故、スノウは自信ありげにこの決闘を受けるのだろうか。


「後悔しないようにすることね!!」


 そう捨て台詞を吐いて、女はこの場所を後にした。

 ……それよりも、だ。


「何考えてるんだ!!一応あの女は、この国でも十指に入る程の魔導師なんだぞ!!」

「問題ない……それよりも、別のことが不安になってきた……」

「……別のこと……?」


 駄目だ。話が全く読めない。


「それよりも……心配してくれて、ありがと……」

「……ッ!!」


 なんだ、この可愛い生物は。

 いつもは無口で表情を変えないのを知っているからこそ、今の顔を真っ赤にして恥ずかしげなスノウがさらに可愛く見えてくる。あれか。『ぎゃっぷ』というのはこれなのか。


「……とっ、とにかくっ!!絶対に死ぬなよな!!」

「大丈夫……あ――に倒されるほど私は弱くないから……」


 また聞きとれなかった。たまに小さな声でなおかつ早口で言う言葉があるから、それはとても聞き取りずらいんだよな。


「出来ればこのまま、ずっとこうしていたかった……」

「馬鹿なことを言うなよ。お前が望めばいつだってお前の所に行ってやるよ」

「……うん、わかった」


 止めろ。止めてくれ。

 どうしてお前は、そんな――痛ましい笑顔で俺を見つめるんだ。


「今日は、帰るね……」

「……ああ……」


 スノウが姿を消しても、俺の中の葛藤は収まることを知らなかった。何故あんなことを言うのか。どうしてあんな痛ましい笑顔を見せつけるのか。

 そう思って、今初めて俺は彼女のことを何も知らない、という現実に直面した。

 今までなら良かった。

 彼女と一緒に過ごせるのなら。

 彼女と一緒に話していたら。

 彼女と会えさえ出来たら。

 だが、今は違う。スノウのことをもっと知りたい。知らなければ恐らく彼女は俺の元から姿を消す。それは嫌だ。だからこそ知らなければならない。

 でも――それは、スノウ自身から聞くべきだろう。

 俺が彼女のことを調べて知ったとしても、それは彼女の『表側』を知っただけで、彼女が隠している『裏側』までは知り得ない。だが俺は、その『裏側』も知りたい。


何故なら。俺は――


「――スノウのことが、好きだからなあ……」


 頭をかく。我ながら余程彼女にぞっこんらしい。普通なら引いてるぞ。

 だが、とりあえず結論はついた。今日は部屋に戻るとしよう。そう決め、名残惜しくも俺は図書館を後にした。







 ……待て。待ってくれ。これは一体どうなっているんだ。


『さあ、我が国の至宝、ウルクラム・スウェル・ウィンダール様を巡る激しい女の決闘です!!面倒くさい挨拶とかは全て省きます!!なーんか熱い展開になってきましたねー、解説のコートミーさん!!』

『そうですね。しかも片方は我が国が誇る魔導師軍『十の魔導』の一人、『爆炎の魔女』の異名をとるクロイス・フォート・ミーシャさんですからね。

素晴らしい魔術対決になるでしょう』


 おいこら解説と実況。お前ら絶対に楽しんでるだろ。部下達よ。なんか正装に着替えろとか剣を持てとかおかしな要求があったと思ったら、どうしてこんな見晴らしのいいコロセウムの一等席に座らねばならん。おかげで注目を浴びまくりだろうが。

 まだあれから一日しかたってないのに、どうしてこうなったのやら……


『さてさて、その注目のミーシャさんと戦うのは――ってあれ。情報が無い……?って、今コロセウムに姿を現しました!!……なんというか、ちんまい少女ですね。しかも、両手でなんとか持てるほどの大きな杖……今から勝負の行方が大丈夫か不安になってきましたよ』


 おいこら実況。仕事しろや。

 だがしかし、実況の言葉も言いえて妙である。スノウは両手で杖をなんとか持っているような状態だ。あれではスノウは動けそうにない。女の杖は小型のコンパクトなものだが、逆を言えば動きやすい。杖の性能としてはスノウの物の方が上であろうが、行動のしやすさでは女の方が勝る。あれでは、一撃外せばスノウは終わりだ。

 本当に大丈夫だよな、スノウ……


「どうやら、この勝負は私が貰ったみたいですわね。その杖では動けそうも無い。それに、生憎ですが私の回避出来ない魔術は詠唱に時間がかかる高範囲殲滅魔術のみ!!今詠唱をしていない貴女では、勝ち目はありませんわ」

「それは、どうかな……?見た所、貴女では私に勝つどころか傷一つさえ負わせられないと思う……」

「生意気な小娘ですわね……いいですわ……地面に這い蹲らしてあげましょう!!」


 ……スノウもスノウで止せばいいのに挑発なんかしてるし……大丈夫なんだよな、本当に……?


「それでは、試合開始です!!初め!!」


 試合開始の号砲が鳴り響く。次の瞬間、俺達観客は一人残さず目の前の光景に目を奪われた。

 コロセウムの中は完全に凍土と化し、女は氷山で出来た檻に閉じ込められる。空気すら凍りついた世界の中で、自由に動けるのは巨大な杖を持った少女のみであった。


「馬鹿な……遅延呪文、ですって……?」


 そんな空気の中で、呆然としたような声で女が言う。スノウも、空を魔力で形作った六枚の羽で飛びながら、数個の巨大な魔法陣を形成し、女に狙いを定め、魔力を貯める。それはまさしく要塞のよう。ほとばしる魔力の奔流は、一人の女が敵いそうもないということを知らしめるには十分であった。


「馬鹿な……遅延呪文は習得が難しく、この私でも数秒が限界だと言いますのに……一体何物なんですの、貴女は!!」


 魔力で形成した炎の砲弾で抵抗しながらも女は叫ぶ。だが、そんな抵抗も意味は無く、スノウの操る魔法陣には綻び一つ存在していなかった。

 そんな圧倒的な実力差を見せつける少女は、あえて何も話さない。余計な情報を与えたく無いのか。はたまた――自らの正体を、知られるのが怖いのか。


「氷の範囲殲滅魔術、六枚羽……まさか、貴女は――」

「おしゃべりは終わり……砕け散れ……ヘブンズ・ゲート……!!」


 轟音とともに、魔法陣に穴が空く。そして女に向かって放たれたのは、圧倒的な光の奔流。先程女が放っていた砲弾がまるで塵に等しく見える程の、眩しき光の洗礼であった。


「……死なないように、手加減はした……」


 未だに空を飛びながらも、静かにスノウは宣言する。その言葉が正しかったことを示すかのように、女は膝を震わせながらも立ち上がった。


「素直に負けを認めなさい……先程の一撃で、実力差は理解出来たと思うから……」

「ええ、理解しましたわ。スノウ・ブラット・ヴィクティム……『終焉の使者』さん?」


 ……『終焉の使者』……?なんなんだ、その物騒な名前は……?


「聞いたことがありますわ。五歳で基礎呪文の全てを理解し、十歳で全ての呪文を修め、某国の最終兵器となった少女のことを」

「言うな……」

「初陣は十二歳。その圧倒的な魔術で敵味方問わず半分近くの人間を殺しつくし、ついた異名が『終焉の使者』……居場所が特定出来なかったらしいですが、まさかこんな所に隠れていたとは。びっくりですわ」

「その口を……閉じろ……ッ……!!」


 スノウの悲鳴共に放たれた数千もの魔弾は、反撃の一撃を放とうとした女に完全にとどめを刺した。


『なな、なんと……!!驚き桃の木山椒の木、勝利したのは、『終焉の使者』スノウ・ブラット・ヴィクティムだーっ!!』

『これは驚きですね。まさか彼女が生きていたとは。終焉の名に恥じない凄まじい魔術でした』


 コロセウム全体が歓声を挙げる中、スノウは静かに一礼した後、転移魔法で姿を消した。

 待て。それはわかる。問題は、彼女がどこに行ったかだ。逆探が出来るような魔術を使ったりはしないだろう。

 となると、彼女はどこに――そう考えた時、俺の頭が導き出した答えは、他の国や洞窟の中などではなく、何故かいつもスノウと会っていた図書館だった。







「やっぱり、来てくれた……」


 いつもの場所についた時には、スノウは巨大な鞄をいくつも持ち、巨大な魔法陣――恐らく、空間転移魔法の物を敷いていた。


「この国を離れる前に……もう一度、ウルクと話しておきたかったから待ってたけど……まさか本当に来てくれるなんて……正直、予想外……」

「……最後だなんて、言うなよ……」


 頼む。お願いだ。

 そんな悲しそうな顔で、そんなことを言わないでくれ。


「お前が望めば、俺がお前を守ってやる!!だから!!」

「私をこの国に置いておいても、メリットなんか無いのに……?」

「……どういう、意味だ……?」

「『終焉の魔女』が行方不明では無かった……その言葉は、色々な物を生む……私のような化物を生み出してはいけないという者……私の力を利用しようという者……そんな集団が合わさって、最終的には他の国全てがこの国を狙った戦争になる……そして最終的には、この国が滅ぶ……私を生かしておいても、メリットどころか、デメリットの方が多い……そんな私」

「いい加減にしろ!!」


 ああ、彼女は。

 こんなに小さな身体に、そこまでの大事を抱え込んでいたのか。

 でも、そんな楔は――


「メリットとかデメリットとかの話じゃ無いんだよ。お前のことが好きだから!!離れたく無いんだ!!一緒にいて欲しいんだよ!!」


 ――俺が、完膚なきまでに破壊してやる。


「戦争?どんとこいだ。お前を守る為なら、俺はこの手で千の屍を築き上げる。お前の為に、俺の全てを捨ててもいい。――だから、お願いだ。最後だなんて、言わないでくれ……」


 いつの間にか涙腺が決壊していたのか、ポタリ、ポタリと床に雫が流れ落ちる。


「……私以外にも、立派な女性は――」

「お前でなくちゃ駄目なんだよ」


 スノウを引き寄せ、二度と離れない程に強く抱きしめる。最初は抵抗されたものの、最終的には抵抗も無くなった。


「……馬鹿、馬鹿ぁ……」


「ああ、馬鹿で臆病者だよ。でも、こんな俺でもお前に捧げる愛だけは忠実だ。だから、こんな俺が相手でよければ――俺と、結婚して欲しい」

「――――!!!」


 見えなくてもわかるくらい、彼女の頬が朱に染まったことがわかる。そんな彼女が愛おしい。


「お前の全てが好きだ、スノウ」

「……ウルクは王子なんだから……私以外にも……」

「お前じゃなきゃ嫌なんだよ、スノウ」

「……馬鹿」


 馬鹿と言われて気落ちした瞬間、俺の唇には柔らかい感触が、目の前にはスノウの顔が……へ?

 全く事態が理解出来ていない間に、口の中を蹂躙される。永遠にも等しい時間の中で、満足したのかスノウはやっと口を離してくれた。


「もう一回……」

「へ?」

「もう一回、あの言葉を言って……」


 俺の手の中でうずくまる少女を愛しく思いながら、彼女の希望の言葉をかける。


「好きだ、スノウ」

「もう一回……」

「愛してる、スノウ」

「もう一回、だけ……」

「結婚して下さい、スノウ」


 返事は今一度のキス。言葉は要らない。既に俺達は心で繋がっていた。







 その後、先王を説得という名の決闘で討ち倒したウルクラムは、母の協力もあってスノウと結婚。変な恋敵や敵対者がたびたび現れることも無く、スノウ目当てに敵対して来る国もウルクラムとスノウの二人の圧倒的なまでの力でフルボッコ。五年もすれば、表立って敵対して来る国は無くなりました。

 そのまま、仲睦まじく、何人もの聡明な子供を生み、たいそう幸せに暮らしたということです。

 めでたし、めでたし。



お次は女の子視点の物語。

王子様って書くの難しいな、本当に……


感想、批評等お待ちしています。

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