透明人間の女ってやつです :約8000文字 :淫 :透明人間
えー、皆さんは透明人間というものをご存じでしょうか。
まあ、知らない方はいないでしょうし、その名のとおり、姿が透明で目に見えない人間のことです。映画や漫画でお馴染みの存在ですし、一度くらいは、もし自分が透明人間になったら、なんて想像を巡らせたことがある方も多いのではないでしょうか。『まずは温泉の女湯だな』なんて考えたりして。ははは、男というものは単純な生き物です。
もっとも、実際に透明人間を見たことがあるかと聞かれれば、皆さん首を横に振るでしょう。ああ、そもそも姿が見えないのですから、見たことがあるかどうか尋ねること自体、妙な話でしたね。これは失敬、失敬。
……ところがですよ。実は私、この前の夜、その透明人間に出くわしましてね。
仕事を終え、疲れた体を引きずるようにして自宅アパートへ帰ったときのことでした。玄関の鍵を開けて部屋に入ってほどなく、奥のほうからガタッと物音がしたんです。
あれ? と思った私はその場でぴたりと動きを止めました。私は一人暮らしでペットも飼っておりません。隣の部屋の物音かとも思ったのですが、耳を澄ませば、部屋の奥から確かに誰かが動いているような気配が伝わってきました。
よし……と、私は鼻から大きく息を吸うと、静かに靴を脱ぎ、足音を立てないように廊下を進みました。昨今は闇バイトだの何だのと物騒な話が世間を騒がせていますからね。取っ捕まえてやろう、なんて考えたんですよ。
いや、今になって振り返ると、ずいぶん大胆なことをしたものです。相手がどんな体格で、何人いて、何を持っているのかもわからないというのに、こちらから向かっていくなんて、ええ、実に恐ろしい話です。普段の私ならそんな無謀な真似はしなかったでしょう。おそらく仕事のストレスが溜まり、判断が鈍っていたのでしょう。恐怖よりも怒りのほうが勝っていたのだと思います。
電気を点けず、そろそろりとワンルームのリビングに入りました。
するとその直後です。
バタバタバタッ!
明らかに何かが慌てて動く音がしたんですよ。
気づかれたか。逃げる気だな。させるか! と、私は暗闇の中、音のしたほうへ勢いよく飛びかかりました。
そして、ドンッ! と狙いどおり体当たりを食らわせてやりましたよ。
相手はその勢いで机にぶつかったらしく、上に置いてあった小物がばらばらと床に散らばりました。
私はすかさず手を伸ばし、相手を取り押さえようとしました。
すると、どうやらうまいこと相手の手首を掴めたようです。細い腕で、こちらの手を振りほどこうと必死に身をよじっていました。私は離すまいと、しっかり握り直し、そして空いているほうの手で拳を作りました。まずは一発殴ってやろう。そう考え、腕を振り上げたのです。
ところが、そのときです。妙なことに気づきました。
確かに、手の中には細い手首の感触がある。はっきりと抵抗も感じるし、すぐ目の前でばたばたともがく気配もある。それなのに、そこに誰の姿も見えなかったのです。
最初は黒い服でも着込んでいるのかと思いました。しかし、どれだけ目を凝らしても体の輪郭どころか影すら見えません。カーテンの向こうから差し込む外灯の薄明かりにフローリングが淡く光っているばかりでした。
いったいこれはどうなっているんだ。
ただでさえ泥棒に入られたというだけでいっぱいいっぱいだったところへ、この異常事態です。もう頭の中が真っ白になりましてね。私は拳を振り上げたまま、すっかり硬直してしまいました。
すると、あちらさん、好機と見たのか体勢を立て直そうとしたらしく、掴んでいた手首をぐいっと引っ張られましてね。不意を突かれた私は踏ん張る間もなく、相手に覆いかぶさる形で床に倒れ込んでしまいました。
その瞬間です。
むにゅ。
……おや?
おやおやおや……?
手の中に、なんとも柔らかな感触があったんです。温かくて弾力があり、触れた瞬間、ふわっと脳が甘く蕩けるような何かが。
私は思わず両手を離してしまいました。
今のはまさか、いやでも、え……?
「と、透明人間……?」
気づけば、そんな言葉がぼそりと口をついて出ていました。
いや、声に出したものの、そんな馬鹿なとは思いましたよ。けれど、目の前の状況を説明しようとすれば、他に思い当たるものなどなく、それ以外にはないという確信がじわじわと湧いてきました。
そこで私ははっと我に返り、慌てて手を伸ばしました。
幸いにも相手に馬乗りになっていたらしく、逃げられる前に両手首を探り当てることができました。私はそのまま左右の手首をしっかりと掴み、床に押しつけました。
すると――。
「あんっ」
と……若い女の声がしました。
「え、女の?」
私は思わずまた呟いてしまいました。
女の透明人間? そんなことがあり得るのか――と、一瞬思いましたが、よくよく考えてみれば、透明人間が男だと決まっているわけでもないか。このご時世、決めつけはよくないな、などと妙な納得をしましてね。いや、もちろん透明人間自体が信じがたい話なんですが、こちらはただでさえ動揺していましたから、どうにか冷静になろうと必死だったんでしょうね。
相手が女だとわかると、少しほっとしましてね。ええ、だって男のほうが力は上ですし、こちらが完全に押さえ込んでいるわけですから。
そしたらね、なんと言いますか……興奮してしまいましてね。
いや、だって透明人間ってことはですよ。全裸ということじゃないですか。それに、先ほどのあの柔らかく温かい感触。そして、密着した股に伝わってくる華奢な身体つき。それが逃げようともがき続け、そのたびに振動がこちらの下腹部に……。ええ、誰だってぶるりと震えちゃいますよ。
私は相手の腕を上へ持ち上げ、どうにか両手首を片手でまとめて押さえ込みました。
そして空いた手で、女の胸のあたりを、ね。いや、これは単純に学術的な興味といいますか、ええ、あくまで検証です。はい。
おお……と思わず声を漏らしてしまいましたよ。
いやあ、結構な大きさでしてね。形もなかなかこれが、ほほうほうほう。突起なんて、ぷくっとして新芽のようでねえ。いやあ、初めての体験にもうすっかり脳が痺れましたね、はい。あ、いや、別に私がこれまで女性に触れたことがないとか、そういうわけではなくてですね。経験はもちろんあるんですよ、ええ。ただ、あの子は胸が小さいというか、ほとんどなくてねえ……。胸を触っていたつもりが、いつの間にかおなかの肉を揉んでいた、なんてことがあったくらいでしたよ。
それに比べて、こっちは……ふふふ。まあ、“ない”という点では同じと言えるかもしれませんが、形や質感は確かに伝わってくる。それがまた想像力を掻き立てるといいますか。
それから私は、手のひらを下へ下へと滑らせていき、腰回りを検分しました。
うん、合格。細身で腰にはきちんとくびれがあるようでした。
こうなってくると、もう……ね。
私は震える手でベルトを外しにかかりました。カチャカチャという金属音と自分の荒い息遣いが、やけに耳に響き、ますます気持ちが逸っていきました。
そして、パンツごとズボンをずらすと、ぶるんっとモノが実に元気よく飛び出し、ええ、すでに準備万端です。私は着弾地点を手探りで確かめ……ふふ、身体は正直ってやつじゃないですか。オーライ、オーライってなもんです。
私は手でそっとモノを掴み、目標へ優しく誘導してやりました。暗がりの上に相手は透明ですからね、少々手間取りましたが、それもまた興奮を高めてくれましたよ。
そして、ぬぷ、ずぷり……と。いやあ、感無量です。興奮もひとしお。無理やりやりと。相手は泥棒なのだから何をしてもいいんだと、そういうシチュエーションが興奮を掻き立てましてね。征服感のようなものを覚えていたんでしょうねえ。柄にもなく「おらあ、おらっ」なんて息を荒げて、腰を動かしてやりましたよ。
女もまた女でねえ。「ああ」だの「いい」だの、声を漏らすんですよ。顔は見えませんが、まあ、そんなことは関係ないですね。ブスや年増かもしれませんし、むしろ見えなくてよかった。しかも透明人間という優位な立場の存在を支配するという状況が、またそそるわけです。
モノが温かい肉に包まれ、きゅっと圧迫されるわけですね。そらもう最高の気分でしたよ。ただ、そのときはじっくり楽しもうとか、そういう気持ちはなくてですね。いつ逃げられるかもわからないから、とにかくやってやろうという気持ちしかなかったんです。野生動物もあんな感じなんですかねえ。でも、それがまた興奮しますよねえ。
女の艶めかしい声を聞いているうちに、だんだん余裕というか、自信が湧いてくるわけですよ。「気持ちいいか?」なんて囁いたりして。こんなにぐじゅぐじゅになって、こりゃあ相手ももう逃げる気はないだろうなんて、まあ、男というのは女を都合よく解釈してしまう生き物ですから。
それで、腰を動かしながら胸を揉んでやったりしたんですよ。指でクリクリと乳首やアソコなんかをいじってやったりなんかしてねえ。
でもね……ふと妙なことに気づいたんです。
「右がいいか、左がいいか? ああ?」なんて、左右の胸を揉みながら、すっかりドエスな気分で囁いてやっていたときでした。
右モミモミ、左モミモミ、真ん中モミモミ……真ん中?
右胸、左胸、真ん中。
なんと、女には胸が三つあったんですよ。
最初は勘違いかと思ったんですよ。また腹の肉でも揉んでいたのかと。暗い上に相手は透明人間ですからね、見失うのも無理はありません。
ですが、もう一度じっくりと、パン生地を伸ばすように手のひらで撫でながら確かめたところ、間違いない。やっぱり三つある。
私は思わず、あれー? と首を傾げましてね。いつの間にか酔っぱらっちゃったのかなーなんて。その日はまだ一滴も飲んでいないというのにねえ。
いやあ、驚きましたねえ。泥棒に入られた上に、その相手が透明人間だったというだけでも、もう十分に理解の範疇を超えているのに、今度は人間の体の常識までひっくり返されてしまったわけです。
こうなってくると、自分の身体のことまで疑問に思えてきちゃいましてね。なんでおちんちんは大きくなるんだろう、なんで金玉はあんな場所にぶら下がっているんだろう。人類の進化とは……なんて迷路に迷い込みかけたのですが、でもまあ、世の中には生まれつき身体の構造が普通ではない人もいるだろう。それでコンプレックスを抱え、誰にも見られたくないと思った結果、透明人間になったのかもしれない。いや、もしかすると彼女の父親や祖父が研究者で、実験に付き合わされているうちに身体に異変が起きてしまったのかもしれない。透明人間になったのも、その実験が原因なのではないか。と、どれも根拠のない想像にすぎませんが、私は、ひとまず自分の中で折り合いをつけようとしたわけです。
そしたら今度は、彼女のことが少しばかり不憫に思えてきましてねえ。まあ、それでも腰は振り続けたんですが、とうとう萎えてしまいましてね。いやあ、駄目なんですよ、私そういうの。ごめんなさいね。いや、別に差別主義者というわけじゃないんですけどねえ。彼女、喘ぐばかりで何も言わないんですよ。ひょっとしたら頭が弱い子なのかも。実験を苦にして逃げ出し、行く当てもなく、たまたま私の部屋に忍び込んだのかもしれない。そんな想像が次々と頭に浮かんできて、すっかり気持ちが冷めてしまったんです。
それでいったんモノを引き抜こうと思い、腰を後ろに引いたんですよ。
ところが、その瞬間でした。
がしっ、と何かが私の腰を捉えたんです。
おそらく足でした。逃がすまいとするように、彼女が両足で私の腰をしっかりと挟み込んできたんですよ。
そして、そのままぎゅっと押し込んできましてね。おほお、じゃなかった。うわっとびっくりしましてね。でも、まあ……おほおですよね。
このメス豚そんなにやりたいか、なんてドSな私がただいま。ついでにモノも元気復活です。興奮が蘇ってきましてねえ。ああ、いいぜ。その気ならやってやるよ、なんてワイルドぶって再び腰を振ってやりましたよ。
いやいや、呆れないでくださいよ。女の挟み込む力がまた強いこと強いこと。「まだやめないで……!」なーんて言っているのだろうと解釈してしまうのも当然です。締まりもまたきゅっとしてね、きゅっと。
しかも私の肩に手を回したりなんかして、ノリノリでね。こりゃあ、いい女だ。男に自信を持たせてくれる女は最高だ、などと胸にじんときたほどです。女の甘い喘ぎ声に、私はすっかり気をよくしていました。
でもね、あれ? あれれれ?
どうにもおかしいんですよ。
だって、考えてみてください。私は先ほどから、女の両手首をしっかり押さえ込んでいる。それなのに、女は私の肩に両手を回している。
これはいったい、どういうことなんでしょうねえ。
私は背筋が冷たくなるのを感じながら、おそるおそる彼女の肩へ手を伸ばしました。
すると二本。左右の肩からそれぞれ二本ずつ、都合四本の腕が生えているじゃないですか。
いやいやいや、ちょっと待ってくれよ、と。腕が四本あんのかい、と。胸三つに腕四本って、あんたはいったいどこの国の神様なんだ、と。きったない川のほとりにでもお住まいか、と。
こんなの、もうシナシナですよ。もちろん、神秘性やありがたみを感じたわけじゃありませんよ。いくら胸が大きいからって、私は豊胸ってのはどうにもね……。ここまで盛った整形女は、不気味の谷の向こうで仲間と醜い争いでもしていてくださいよってことです。
ええ、もう騙されたような気分ですよ。こんなのに興奮していた自分がひどく間抜けに思えてきましてねえ。すっかり萎えてしまった私は上体を起こし、彼女から離れようとしました。
ところが、肉体的に繋がっているからわかるんですかね。いやはや、女と心が通じ合うことなどあり得ないと思っているのですが、勘だけは鋭いようでして、こちらが逃げようとしているのを察した彼女は、私の手首をがっと掴んできたんですよ。
しかも、これがまた力が強くてですね。いや、尋常ではありませんでした。私は必死に抵抗したのですが、びくともせず、ぐぐぐっと腕を引っ張られ、あっという間に押さえ込まれてしまいました。
当然そうなれば、私が押さえつけていた彼女の両手も自由になりますよね。
そしたら彼女、私の頭を掴んで、ぐっと下へ、つまり自分の顔のほうへ引き寄せてきたんです。
そして――唇に、柔らかいものが触れました。弾力があって少し湿った感触でしたね。甘酸っぱい……なんて思う間もありませんでした。
直後、口の中へぬぷりと舌が入り込んできたんですよ。
こうなると男ってのはね、許容できてしまうんですよ。ああ、もういいか、と。整形女だろうがビッチだろうが、積極的に迫ってきて、簡単にヤラせてくれる女は女神様だ、世界平和だ。私は以前から、そういう持論を持っていましたからね。
でもね……ぬぷり、ぬぷりと。おやおやおや……?
どうにもおかしいんですよ。
まさかと思い、こちらからも舌を絡めてみると、ああ、なんということでしょう。女には舌が二本あったんですよ。
いや、驚きましたね。口の中で鰻でも暴れてんのかい、と。しかも今度は鼻の穴に細くてヌメヌメしたものが入り込んできましてね。いやいや、これはどうなってんだ。ケツと唇に脂肪を足せば美しくなれると信じ込んでいる美的感覚の狂った整形の化け物だとしても、ここまでやらないぞ、と。
そう思った直後でした。
女の背中のあたりから、ギシギシ……ギシギシと不気味な音が聞こえてきたんです。そして次の瞬間、まるで折り畳み式のベッドを起こすように、女の身体がゆっくりとせり上がっていきました。
私は何が起きているのか理解できないまま、反対に床へと押し下げられていきました。抵抗しようとしてもまるで意味がなく、ついには女に抱え込まれるような格好で、背中を床にぴったりと押しつけられてしまいました。
さらには、うぞうぞと額のあたりに細かい毛のようなものが触れ始めました。虫の足が這うような気味の悪い感触です。それから、腹のあたりに鋭く尖ったものをいくつも押し当てられる感触が伝わってきたのです。
女は相変わらず、あんあん喘いでいましてね。そのときになって、私はようやく気づきましたよ。これ、まるで録音された音声みたいだなってね。
ああ、もう駄目だ。逝かされる――いや、殺される。
目に見えないという恐怖を今さらながら思い知らされ、私はがたがた震え始めました。
先ほどまでの興奮は跡形もなく消え失せ、何をされているのかもわからないまま、私はこのまま殺されるのか――そう思った、そのときでした。
窓の向こうから、火球が飛び込んできたんです。
ほんの一瞬、部屋の中が昼間のように明るくなり、壁も家具も、床に散らばった小物も白く照らし出されました。
そして火球は女に直撃したのです。
ぶわりと熱が私の額を撫で、ドンッと衝撃が走りました。女は弾き飛ばされ、そのまま壁に叩きつけられたようでした。
直後、ぎいいいいっという耳障りな声が響き渡りましてね。金属を引き裂いたような、あるいは獣が喉の奥から絞り出したような背筋が凍る音でした。
私は思わず耳を塞ぎ、身をよじりました。
すると、ふわりと。部屋の中に煤のような黒いものが舞い始め、何かが焼け焦げたような臭いが鼻を突きました。
声は次第に弱まっていき、煤もまた静かに消えていきました。
私は呆然としたまま身を起こし、窓のほうへ目を向けました。
すると、そこには大きな穴が開いていたのです。溶けたようにぽっかりと、その縁は赤く焼けて、細い煙が立ち上っていたのです。
いったい何が飛び込んできたのか――答えを考える余裕などありませんでした。
なぜなら、その穴の向こうに奇妙なものが立っていたからです。
それは白い靄のような人型の光でした。
手に銃のようなものを握っていてね。先ほどの火球はあれか? と思いながら見つめていると、その人影はひょいと頭を動かし、こちらを覗き込むような仕草をしました。私の無事を確認した――というよりは化け物が死んだか確認しているように感じましたね。
それから、その人影は手首のあたりをいじり始めました。すると、光が薄れ始め、闇に溶け込むようにすうっと消えていったんです。
声をかける間もありませんでした。あたりには静寂が戻り、部屋には焦げた臭いと、モノを放り出した私だけが残されました。
いえ、もう一つとんでもない置き土産が残されていましたね。ただ、それに気づくのはもう少し先の話になります。
しかし、結局あれらはなんだったのでしょうね。姿を消せる化け物と、それを一撃で仕留めた正体不明の人影。逃亡した危険な宇宙生物と、それを追跡していた宇宙組織――私にはそれくらいしか思い浮かびませんでしたし、これ以上考える気にもなれません。だって話したところで、誰にも信じてもらえないでしょうから。警察に届けようにも何と説明すればいいんです? 自宅に泥棒に入られた。犯人は透明で、胸が三つあって腕が四本で、舌が二枚……と。私のほうが取り調べを受ける羽目になっちゃいますよ。
まあ、少なくとも、あれは透明人間の女などではなかったということだけは確かでしょう。
もっとも、ある意味では私がそれになったと言えるのかもしれませんね。
というのもその後、私のモノにとんでもない吹き出物ができましてね。みるみるうちに紫色に腫れ上がり、慌てて病院に駆け込んだら、医者は……ははは、「切断するしかない」と。
ええ、私のモノは見事に“透明”になってしまったというわけですよ。




