お転婆姫の大冒険
皆さん、おまたせしました!
「お転婆姫の大冒険」のはじまり、はじまり。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
むかしむかし、あるところに、おひめさまがいました。
おひめさまはとてもおてんば、いつもばあやにしかられています。
「ひめさま!またおしろをぬけだして、まちにいったのですか!」
「ばあや、ごめんなさい!」にげだすおひめさま。
「まったく、ひめさまには、はくしゃくけ れいじょうとしての、じかくをもってもらわないと」
「ははは、まあ、いいではないか、メードちょう」
いつもかばってくれるのはじいやです。
「|じいや、そうはおっしゃりますが」
「しろのものからも、たみからも あいされている。このまま、まっすぐにそだってほしいものだ」
ところが、あるとき、おひめさまのおとうさまが、おうさまにとらえられてしまったのです。
「ひめさま、はやくおにげください」
じいやとばあやがおひめさまをにがそうとしますが---
「ひめ、にがしませんよ」
そこにたちはだかるのは、わるいままはは と てしたのへいしたち。
このままでは、おひめさまがつかまってしまう、とおもった、そのとき!
「おにいちゃん!」
まちであそんでくれる、ぼうけんしゃのおにいさんが、たすけにきたのです。
「えい!」
ぼうけんしゃのおにいさんはとてもつよく、てしたのへいしたちをあっというまにやっつけました。
「あなたは?」とじいやがたずねると---
「わがなはトル・イスタ。イスタこくおうさんなんにして、おういけいしょうじゅんいだいさんいのもの」
なんと、ぼうけんしゃのおにいさんは、おうじさまだったのです。
「ひめ、いっしょにおとうさまをたすけにいきましょう」
「わかりました」
おひめさまはおうじさまといっしょに、おうこくのおしろにいきましたが---
「ギャオー!」
そこでは、わるいドラゴンがあばれていました。
「えい!」
おうじさまは、わるいドラゴンをやっつけました。
おうじさまとおひめさまは、おしろのなかにはいりました。
「そこまでだ、トルおうじ」
そこでまちうけていたのは、わるいこうしゃくでした。
「やはり、きさまか。くんそくのかんめ」
「ふははは、なんとでもほざけ。ドラゴンとのたたかいでちからをつかいはたしたおまえに、わたしをたおすことはできない!」
「くっ!」
おうじさま、だいピンチです。
そのとき、おひめさまが、
「破滅風禍!」
かぜまじゅつをつかって、わるいこうしゃくをやっつけました。
「ちちうえ!」
「おとうさま!」
おうじさまとおひめさまは、わるいこうしゃくにとらえられていた
おうさまとおとうさまをたすけました。
「トルおうじ、よくやった。おまえにおうさまのざをゆずろう」
「わかりました」
おうじさまは、おひめさまのまえでひざをおり、こういいました。
「ひめ、けっこんしてほしい。いっしょにこのくにのたみをしあわせにしよう」
「つつしんでおうけいたします。おうじさま、おしたいもうしあておりました」
こうしておひめさまはおうじさまとけっこんして、いつまでもしあわせにくらしましたとさ。
おしまい
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「「「うお~!!!」」」
吟遊詩人の演奏が終わった直後、耳をつんざくばかりの歓声が湧きおこった。
吟遊詩人は優雅に一礼。
拍手の音と、次々に投げ込まれるおひねりはなかなかおさまりそうもない。
ここはアンタルヤ領都、下町にある居酒屋。
50人入れば満席になるその店に、きょうは倍の100人が入っている。
拍手が鳴り止んだ後も、観客たちの余韻は収まらず、あちらこちらでエールの追加注文をする声がする。
「いや~、姫様の破滅風禍、かっこいいな!」
「あら、わたしは『お慕い申しておりました』というところが一番好きよ」
「俺はこの物語を聞くのは3回目だが、全然聞き飽きないな」
「俺は5回も聞いているぜ」
話が盛り上げればエールもすすむ。エールがすすめば酔いも回る。酔いが回れば---
「おい、あの姫様って、クリスティーナ様のことだろう」
「しっ!声が大きいぞ」
「やはり、『風の聖女』ティナ様は、クリスティーナ様なのか」
「ティナ様はクリスティーナ様にそっくりだという話だ」
「生きているのか、クリスティーナ様は」
不穏な話をする者が出てくる。
そんな時に---
「全員、その場を動くな!アンタルヤ領都警備隊の臨検だ!」
騒然とする店内。
「黙れ!口を開いたら拘束する!動いても拘束するぞ!!」
徐々に静まりかえる店内。
「店主は誰だ!?」
「わ、わたくしでございますか---」
「貴様が店主か。王歴11年5月20日午後11時05分、反乱予備罪の現行犯で逮捕する。しょっ引け!!」
「は、反乱予備罪!?そ、そんな---」
「そこの男、貴様が吟遊詩人か!!」
「---はい」
「王歴11年5月20日午後11時07分、同罪で逮捕!!しょっ引け!!」
「従業員を除き、全員退去せよ!従業員は後ほど取り調べを行う。早く店から出ろ!それとも逮捕されたいのか!!」
こうして『お転婆姫の大冒険』はアンタルヤ領で演じることはなくなった。
しかしながら領民の間では密かに伝わり、これが王歴36年のアンタルヤ住民の蜂起につながることとなるのであった。
捕らえられた吟遊詩人の運命は如何に!?
気になる方は、拙作「2度目の転生に関する報告書」第63話をお読みください。




