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2転報告書

お転婆姫の大冒険

作者: トール
掲載日:2026/09/07

皆さん、おまたせしました!

「お転婆姫の大冒険」のはじまり、はじまり。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


むかしむかし、あるところに、おひめさまがいました。

おひめさまはとてもおてんば、いつもばあや(メード長)にしかられています。


「ひめさま!またおしろ(城)をぬけだして、まち(街)にいったのですか!」

「ばあや、ごめんなさい!」にげだすおひめさま。


「まったく、ひめさまには、はくしゃくけ(伯爵家) れいじょう(令嬢)としての、じかく(自覚)をもってもらわないと」

「ははは、まあ、いいではないか、メードちょう(長)」

いつもかばってくれるのはじいやです。

「|じいや(家宰様)、そうはおっしゃりますが」

「しろ(城)のものからも、たみ(民)からも あい(愛)されている。このまま、まっすぐにそだってほしいものだ」


ところが、あるとき、おひめさまのおとうさまが、おうさま(国王)にとらえられてしまったのです。


「ひめさま、はやくおにげください」

じいやとばあやがおひめさまをにがそうとしますが---


「ひめ、にがしませんよ」

そこにたちはだかるのは、わるいままはは(継母) と てした(手下)のへいし(兵士)たち。

このままでは、おひめさまがつかまってしまう、とおもった、そのとき!

「おにいちゃん!」


まち(街)であそんでくれる、ぼうけんしゃ(冒険者)のおにいさんが、たすけにきたのです。


「えい!」

ぼうけんしゃのおにいさんはとてもつよく、てしたのへいしたちをあっというまにやっつけました。


「あなたは?」とじいやがたずねると---

「わがな(我が名)はトル・イスタ。イスタこくおう(国王)さんなん(三男)にして、おういけいしょう(王位継承)じゅんい(順位)だいさんい(第三位)のもの」


なんと、ぼうけんしゃのおにいさんは、おうじさまだったのです。


「ひめ、いっしょにおとうさまをたすけにいきましょう」

「わかりました」


おひめさまはおうじさまといっしょに、おうこく(王国)のおしろ(城)にいきましたが---

「ギャオー!」

そこでは、わるいドラゴンがあばれていました。


「えい!」

おうじさまは、わるいドラゴンをやっつけました。


おうじさまとおひめさまは、おしろのなかにはいりました。


「そこまでだ、トルおうじ」

そこでまちうけていたのは、わるいこうしゃく(侯爵)でした。

「やはり、きさまか。くんそくのかん(君側の奸)め」

「ふははは、なんとでもほざけ。ドラゴンとのたたかいでちから(魔力)をつかいはたしたおまえに、わたしをたおすことはできない!」

「くっ!」

おうじさま、だいピンチです。


そのとき、おひめさまが、


「破滅風禍(ルイン・ストーム)!」


かぜまじゅつ(風魔術)をつかって、わるいこうしゃくをやっつけました。


「ちちうえ!」

「おとうさま!」

おうじさまとおひめさまは、わるいこうしゃくにとらえられていた

おうさま(国王)とおとうさま(アンタルヤ伯爵)をたすけました。


「トルおうじ、よくやった。おまえにおうさま(国王)のざ(座)をゆずろう(継承しよう)」

「わかりました」


おうじさまは、おひめさまのまえでひざ(膝)をおり(折り)、こういいました。

「ひめ、けっこんしてほしい。いっしょにこのくにのたみ(民)をしあわせにしよう」

「つつしんで(謹んで)おうけいたします。おうじさま、おしたい(慕い)もうしあて(申し上げて)おりました」


こうしておひめさまはおうじさまとけっこんして、いつまでもしあわせにくらしましたとさ。


                           おしまい


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「「「うお~!!!」」」


吟遊詩人の演奏が終わった直後、耳をつんざくばかりの歓声が湧きおこった。

吟遊詩人は優雅に一礼。

拍手の音と、次々に投げ込まれるおひねりはなかなかおさまりそうもない。


ここはアンタルヤ領都、下町にある居酒屋。

50人入れば満席になるその店に、きょうは倍の100人が入っている。

拍手が鳴り止んだ後も、観客たちの余韻は収まらず、あちらこちらでエールの追加注文をする声がする。

「いや~、姫様の破滅風禍(ルイン・ストーム)、かっこいいな!」

「あら、わたしは『お慕い申しておりました』というところが一番好きよ」

「俺はこの物語を聞くのは3回目だが、全然聞き飽きないな」

「俺は5回も聞いているぜ」

話が盛り上げればエールもすすむ。エールがすすめば酔いも回る。酔いが回れば---


「おい、あの姫様って、クリスティーナ様のことだろう」

「しっ!声が大きいぞ」

「やはり、『風の聖女』ティナ様は、クリスティーナ様なのか」

「ティナ様はクリスティーナ様にそっくりだという話だ」

「生きているのか、クリスティーナ様は」

不穏な話をする者が出てくる。

そんな時に---


「全員、その場を動くな!アンタルヤ領都警備隊の臨検だ!」

騒然とする店内。

「黙れ!口を開いたら拘束する!動いても拘束するぞ!!」

徐々に静まりかえる店内。

「店主は誰だ!?」

「わ、わたくしでございますか---」

「貴様が店主か。王歴11年5月20日午後11時05分、反乱予備罪の現行犯で逮捕する。しょっ引け!!」

「は、反乱予備罪!?そ、そんな---」

「そこの男、貴様が吟遊詩人か!!」

「---はい」

「王歴11年5月20日午後11時07分、同罪で逮捕!!しょっ引け!!」


「従業員を除き、全員退去せよ!従業員は後ほど取り調べを行う。早く店から出ろ!それとも逮捕されたいのか!!」


こうして『お転婆姫の大冒険』はアンタルヤ領で演じることはなくなった。

しかしながら領民の間では密かに伝わり、これが王歴36年のアンタルヤ住民の蜂起につながることとなるのであった。

























捕らえられた吟遊詩人の運命は如何に!?

気になる方は、拙作「2度目の転生に関する報告書」第63話をお読みください。

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