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G05「電柱が四角い」R03

「佐倉さんと瀬戸さん、放課後少し職員室に来てくださいね?」


次回の範囲を告げたあと、先生がふと思い出したように私たちに言った。


え?

自分の名前を呼ばれた瞬間、心臓がドキンと跳ねた。

私とまよちゃん?


後ろを振り返ると、まよちゃんもまん丸な目で私を見ている。


「何したの?」って、近くの席の子がひそひそ声で聞いてくる。


いや、私だって知りたい。


「では、今日の授業はここまで。みなさん、地理を楽しみましょうね。」


白峰先生は微笑み、教室を出て行った。


残された私とまよちゃんは顔を見合わせたまま、しばらく固まる。


「ちとちゃん、何かやらかしたっすか?」


「ま、まよちゃんこそ……。」


心当たりがなさすぎて、不安になる。

授業中にちょっと小声で喋ったけど、騒いだってほどでもない。


そのあと受けた授業は、ほとんど頭に入らなかった。

ノートを取る手がぎこちない。

早く放課後になれ。でも、できれば行きたくない。そんな気持ちが交互に押し寄せる。


放課後になって、教科書をかばんに詰めながら深呼吸。

職員室までの廊下を、まよちゃんと歩く。


「遅刻してないっすよね? 廊下走った?」


「……してないはず。」


不安と冗談が半々みたいな会話をしながらも、心臓のドキドキは収まらない。


職員室は一般教室があるA棟と、専門教室があるB棟に挟まれたC棟にある。


先生たちが授業ごとに移動しやすいように、真ん中に配置されてるらしい。


扉の前に立つと、中からは知らない先生たちの話し声や電話のベル。

取っ手を握る手がじんわり汗ばむ。

スカートで手のひらをぬぐって、もう1回深呼吸。


「し、失礼します……。」


おそるおそる扉を開けて中に入ると、思っていたより広くて机がきっちり並んでいる。

コピー機の音、紙をめくる音、教室とはまるで違う空気。


白峰先生はすぐに見つかった。窓際の席で何やら書類に目を通している。

私たちに気付くと、にこっと柔らかい笑みを向けてくれた。


「佐倉さん、瀬戸さん。来てくれてありがとう。ちょっと待ってね。」


先生は書類をファイルに挟むと立ち上がった。

きょとんとする私たちに、先生はウインク。


「さ、場所を変えましょうか。部室がいいわよね。」


え、部室?

てっきりここで話があるのかと思ってた私たちは、少し面食らいながらも先生の後ろを追いかけた。

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