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形而上の書庫  作者: 明星
8/9

怪物 BE

めーりさんのひっつっじー

めえめえひっつっじー

めーりさんのひっつっじー

まっしろねえ


さいきんまでわたしは「ことば」をしらなかった。

ずっとずっとむかしから「しろいへや」のなかにいた。

だからわたしは「めーりさん」も「ひっつっじー」もよくわからない。

この「うた」をおしえてくれたのは「やえちゃん」だった。


どこでもついていく

めえめえついていく

どこまでついていく

かわいいわね


いつもわたしをたたく「さんたさん」たちとはちがって「やえちゃん」はわたしにやさしくしてくれた。

「ほん」をよんでくれて、「うた」をおしえてくれた。

わたしはいつも「やえちゃん」をおいかけた。


あるときがっこうへ

がっこうへがっこうへ

あるときがっこうへついてきた


「がっこう」がなにかきいたけどおしえてくれなかった。

そのかわり「たくさんおはなしができるようになってきたね」ってあたまをなでてくれた。


せいとがわらった

あははあはは

せいとがわらった

それをみて


「やえちゃん」が「これはなみだっていうのよ」をしながら「だきしめる」をおしえてくれた。

でもつぎのひからこなくなった。


せんせいはかんかんに

おこっておこって

せんせいはおこっておいだした


「さんたさん」たちがたくさんおはなししてきたけどたのしくなかった。

「しらない」をいったらたたかれた。

「わからない」もたたかれた。

「ほん」のなかの「さんたさん」はわらいながら「ぷれぜんと」をわたしていたのに、この「さんたさん」たちはいやなことしかしてこない。


めーりさんはこまって

こまってこまって

めーりさんはしくしくなきだした


わたしは「ことば」をおぼえてから「ないたり」「わらったり」がふえた。

「おこったり」もふえた。


めーりさんはこまって

こまってこまって

めーりさんはしくしくなきだした


だからわたしは「おこったり」をして「さんたさん」にかみついた。

たたかれても、かみついた。


めーりさんはこまって

こまってこまって

めーりさんはしくしくなきだした


からだが「いたい」になった。

「ち」がたくさんながれている。

「さんたさん」からもたくさん「ち」がながれている。

でもすぐにおきあがってくる。

おきあがってきてかんだことをたたかれる。


めーりさんはこまって

こまってこまって

めーりさんはしくしくなきだした


いつまでまっても「さんたさん」たちはおきてこない。

なんでだろう。

わたしはたたかれてもやかれてもきられてももとにもどるから「さんたさん」もそうだとおもっていたのに。


めーりさんのひっつっじー

めえめえひっつっじー

めーりさんのひっつっじー

まっしろねえ


うごかなくなった「さんたさん」から「しかくいの」をとった。

いつもこれで「しろいへや」にはいってきてたから。

わたしはこれでていこうとおもった。

でもどこにいけばいい。

わたしはここしかしらないのに。


あ。


「やえちゃん」をさがしにいこう。

「やえちゃん」にあいにいこう。

またあたまをなでてもらおう


どこでもついていく

めえめえついていく

どこまでついていく

かわいいわね





## 記録番号:プロトコル07(最終報告)


日時: 2025年11月29日 23:45

事案名: 逸脱被験体07による施設内飼育員殺害および外部逃走試行

識別名: なし(直前の行動により便宜上「ラム」と呼称)


鎮圧部隊報告:

鎮圧完了。目標07は、逃走直後から「メリーさんの羊」を繰り返し歌いながら特異行動パターン(徘徊)を示したが、速やかに焼却処理フェーズへ移行。残骸は完全に消滅。

データは安全に保護された。

この「ラム」による逸脱は、規則通りの処理を持って収束した。

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