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第七話 二人揃えば絶対に負けないんだよ

 私たちは、異世界に召喚されてから有り得ない速さで生き急いでいる気がする。


 勝手に召喚しておいて、獲得したスキルが野蛮だと追放され……

 追放された先で地獄サソリなる化け物と戦わされ……

 何とか助かったと思ったらSランククランの【えとらんぜ】へ勧誘され……


 そして今、キングリザードなる更なる化け物の目の前にいる。


 「……なんぞこれ?」


 いや、展開早すぎだろう。


 ギルドを出た瞬間、カグヤさんの【兎跳び(ラビットジャンプ)】で一瞬でここまで来ちゃうんだもんなー。

 一応、私たちのスキルに関して多少の確認や、歩美との打ち合わせは行ったが、ぶっつけ本番には変わりない。


 ちなみに、私たちが死にかけながら倒した地獄サソリはCランクだそうな。

 そんで目の前のキングリザードはBランクだって。

 うん、順調にステップアップしてるねー、じゃねえんだわ。


 死ぬって、私たち本当にただの女子高生だぞ。


 カグヤさんとアデリナさんは、少し離れたところで見物している。

 私と歩美だけで倒してみろっていう訓練だそうな。


 ちなみに、あの後ステータスの見方とかスキルの使い方は簡単には教えてもらえた。

 やはり、この異世界には全員共通でステータス機能が備わっているらしい。


 私の今のステータスを見てみると――


 子々津 都

 

 ジョブ : なし

 レベル : 8

 HP : 32

 МP : 15

 攻撃力 : 20

 防御力 : 9

 素早さ : 21

 魔法力 : 10

 スキル : 【特性・ねずみ】


 あまりこの異世界のことを知らない私でもわかる。

 一言で言うと弱い、とてつもなく弱い。

 レベルが8なのは地獄サソリを倒したからだけど、こんなステータスで目の前の巨大なトカゲみたいなのを倒そうなんておこがましいとしか言いようがない。


 ちなみに歩美のステータスはというと――


 牛乃 歩美


 ジョブ : なし

 レベル : 8

 HP : 45

 МP : 15

 攻撃力 : 22

 防御力 : 18

 素早さ : 8

 魔法力 : 7

 スキル : 【特性・うし】


 んー、私よりも全体的に攻撃力とかが高いのは身体能力のせいかな?

 それともスキルのせい?

 ……だとしても、やはり低いことには変わりないだろう。


 カグヤさんから聞いた限り、キングリザードのステータスは平均300オーバーらしい。

 勝てるか!

 一撃かすっただけであの世行きじゃんか!



 ちなみに地獄サソリは平均150オーバーだってさ。

 あれ?ほぼ二倍の強さじゃね?


 アデリナさんからは、スキルをいかに効率よく使うかが勝利の鍵だとアドバイスをもらえた。

 私もその通りだと思う。

 

 それを踏まえた上で、歩美と色々と作戦を練った上でこの戦いに挑んだが、未だにとてつもなく不安なのは事実だ。


 「はあ、歩美ぃ、今度こそ私だめかもしれない……」

 「あはは、都ちゃん、まあ何とか最後まで頑張ってみようよ、最悪の場合は、アデリナさんたちが助けてくれるだろうしさ」


 私の吐いた弱音に対して、歩美が苦笑いを浮かべながらフォローしてくれる。

 

 「さあ、そろそろ行きましょうか。もたもたしてるとキングリザードの方から襲ってくるわよ」


 アデリナさんの言葉通り、キングリザードはさっきから我慢の限界のようで、こっちを見ながら盛んに舌なめずりをしたり、前足を地面に叩きつけたり、だんだん落ち着きが無くなってきている。


 ははーん、あいつめ、さてはお腹が減ってきたな?

 そんで今回の餌は私たちってわけか、なるほどね……


 「って食われてたまるかぁ!」

 「うわお!急に叫んでどうしたの都ちゃん?」


 突然、怒りを吐き出した私に歩美が驚いている。


 「いや、こっちの世界に召喚されてからの、不条理に対する気持ちが溢れ出してつい……」

 「あはは、気持ちはわかるよ都ちゃん、もうこうなったらあいつを二人で倒して生き延びようよ。さっきの地獄サソリの時はわけがわからなかったけど、今ならわかるな。私たち二人が揃ったら絶対に負けないんだよ!」

 「……ああ、そうだね。ありがとう歩美! よーし! 絶対にあいつをぶちのめして生き延びよう!」


 色々と心の中で葛藤はあったけど、歩美のおかげで覚悟は決まった。


 そうだ、歩美のいう通り、私たち二人が揃ったら絶対に負けるわけがない!


 「よし!歩美!いくよー!!!」

 「うん!」


 二人で掛け声を交わし、キングリザードへ向けてスタートを切る。


 「シャァアアアアア!!!」


 それと同時にキングリザードも明確な殺意も露わに、突っ込んでくる。


 予想はしてたけど、やはり速い。

 さすが、ステータスが私たちの約数十倍なだけはある。

 いや、改めてステータス差を見る限り、やはり勝てるわけがない。

 しかし、そのステータス差をスキルで埋めるのが今回のクエストの目標なのだ。

 

 「歩美ぃ!お願い!」

 「はいよー!【牛歩戦術(ディレイゾーン)】!」


 歩美が早速【牛歩戦術(ディレイゾーン)】を使用し、キングリザードの動きを遅くする。

 以前の地獄サソリと同じく、途端にスローモーションのような動きになる。

 よし、第一段階は成功だ。


 続いて第二段階!


 「【火鼠(バーニングマウス)】!」


 私は新しいスキル【火鼠(バーニングマウス)】を発動する。

 このスキルの効果はというと――


 【火鼠(バーニングマウス)】 :【特性:ねずみ】を持つものが習得できるスキル、自分のステータスを一時的に大幅に上昇させることができる。ただし、使用中はHPが自動的に減少していく。


 スキルを使用した瞬間、私の体に炎のようなエフェクトが宿ると同時に、体中からパワーが湧いてくるのがわかる。

 ただし、このスキルを使用する目的はステータスの上昇ではない。

 炎のようなエフェクトは私の体を徐々に焼いていき、それに応じてHPが見る見る減っていく。

 最大で32あったHPがいまや10を切り、8になり……5……3……今だ!


 すぐさまスキルを解除した瞬間――


 『スキル【窮鼠猫を噛む(ファイナルリベンジ)】を発動しました』


 ウインドウが開き、【窮鼠猫を噛む(ファイナルリベンジ)】が発動、今度は体に青い光のエフェクトが宿る。

 

 【火鼠(バーニングマウス)】のスリップダメージ効果でHPを調整し、最大HPの一割以下に調整することに成功した。


 ……よし、これで最終段階だ!


 未だ【牛歩戦術(ディレイゾーン)】によって、動きが鈍くなっているキングリザードに攻撃を行う。

 地獄サソリの時は咄嗟にビンタで消し飛ばしてしまったが、今度はちゃんとグーパンチで決めよう。


 キングリザードへ素早く近づき、胸元へ向かって精一杯の力を込めてパンチをお見舞いする。


 「せーのぉ!よいしょおおお!」


 私の渾身のグーパンチを受けてキングリザードは物凄い勢いで地面と平行に吹っ飛んでいき、反対側の壁に激突した瞬間粉々に砕け散った……

 よく考えたら【窮鼠猫を噛む(ファイナルリベンジ)】の効果は攻撃力を千倍にすることができる。

 私の攻撃力が普段、20だから今はなんと20、000もあることになる。

 キングリザードのステータスが平均300だから……うん、桁が二つほど違うね。

 ひょっとしなくても、これはいわゆるチートってやつじゃないですか?


 「私たちのスキルって……」

 「うん、おかしいよね……」


 私と歩美は苦笑いを浮かべながら顔を合わせた。


  【キングリザード】討伐報酬


  王蜥蜴の皮、王蜥蜴の爪、王蜥蜴の棘、王蜥蜴の核を入手しました。


  経験値2600を入手、レベルがアップしました。  【Lv8→12】 


 

 

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― 新着の感想 ―
第7話まで読んだのですが、テンポ感が良く、サクッと読める感じがいいと思いました 主人公の都ちゃんのツッコミがいい味出てますね 干支が題材というのも、とっつき易くイメージもしやすい物というのも気に入った…
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